通常は経営状況が悪化したときは、募集を控えたり、早期退職募集を行ったり、何らかのリストラ策を講じ、その後に民事再生法もしくは会社更生法の適用申請、その後の再生計画案の提出、スポンサーの選定、それでも見つからず経営の見通しが全く立たない時に初めて「破産」を行うという方向になります。どうしてそのようないきなりの破産なのか、何らかの考えは旧経営陣にあったのかと思いますが、投資家を初めとし、その他の債権者となるべき人々は疑問に思います。
今回の破産は「リプラス本体」に関係するものであり、その子会社といえる、リプラスレジデンシャル投資法人ことリプラスリートマネージメント株式会社においては特に経営破たんの影響などは大きくしてきされていません。また破産時のリプラス本体の従業員数は約700名と言われています。
破産ということなので特段の明るい兆しが見えてこない限り、「解雇」(又の名を整理解雇)ということになり、早い人で破産の日の平成20年9月24日から、30日後に行われるかと思います。
但しこれについては、「解雇予告」の通知ということで、経営者(現在は破産管財人)が何らかの形で具体的に個別に通告する形を取らなければなりません。
通知を受け取ってから30日後というのが法律の規定です。
したがって30日後までは給与はしっかり払いますので、業務を引き続きお願いしますということになります。その部分についてはリプラスの現時点の残余財産がいくらあるのか、それとも従業員に支払う分しっかりと別枠で確保しているのかで、今後の状況が決まってきます。
ところで倒産するとよく話題にのぼる件で退職後(解雇後)の失業保険の給付になりますが、
この場合、破産による退職なので、自分の意志にで自らであっても失業給付は「会社都合扱い」の給付となります。しかし、退職(定年退職などを除く)の場合は自分から申し出るのが普通なので、その場合は書面で提出します。今は管財人あてになるかと思いますが、あくまでもトラブルにならないよう、退職願というよりは退職届にして、書面には「一身上の都合で」と書くのは控えたほうがいいと思います。
あくまでも話題になる「会社都合退職」や「自己都合退職」というのは失業給付をもらう上でのことになるので
会社(管財人)から辞めることを書面で決定されるのか(会社都合退職;解雇)、それとも自ら申し出る辞職(退職;自己都合退職)なのかしかありませんが転職時の履歴に書く場合は原則として、自分から申し出た場合は「一身上の都合で」の退職であり、解雇予告後30日経過したときでの退職(解雇)は、解雇もしくは柔らかい表現で「会社都合退職」ということになりますので、その点は念頭においておくべきです。
リプラス本体の場合、退職金という制度はないので実質的に会社都合か自己都合かで話題になるのは、この失業給付の件だけだと思います。
また、リプラス本体は創業して6年と若い会社で平均年齢が34歳なので、殆どの人の失業給付が、5年未満の枠で45歳未満の枠である、最高で90日(5年未満は会社都合も自己都合も同じ日数です)という決定になるかと思います。
破産手続き開始後の退職もしくは解雇の後は、離職票を発行してくれる(発行しなければならない)ので、働く意志のある人はすぐに、住民票の登録してある公共職業安定所(ハローワーク)へ行って、登録手続きをすることになります。その後1週間の待機(「会社都合退職」もしくは「正当な自己都合退職」と判定された場合)の後給付開始のスタート日を迎えることになります。
本来、賃金の支払は個別の事業主の責任の範囲に属するものですが、会社等が倒産した場合には、残された財産が乏しい場合も多く、実際に労働債権を回収できるとは限りません。 そこで、労働者の救済を図るために、法律上の倒産又は中小企業の事実上の倒産の場合に、賃金を支払ってもらえなまま退職した方を対象に、国が「未払賃金の立替払制度」を実施しています。 |
立替払を受けられる条件 | ||
・ | 勤め先が1年以上事業活動を行っていたこと。 | |
・ | 勤め先が倒産したこと(下記のいずれかに当てはまる場合)。 | |
法律上の倒産(破産、特別清算、会社整理、民事再生又は会社更生の手続に入った場合) この場合は、管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。 | ||
事実上の倒産(中小企業について、労働基準監督署長が倒産していると認定した場合) この場合は、労働基準監督署に認定の申請を行ってください。 | ||
・ | 労働者がその勤め先を既に退職していること。 ※退職日や申請日等について時期的な条件がありますので、ご注意ください。 |
・ | 立替払の対象となる未払賃金は、定期的な賃金及び退職金に限ります。 |
※賃金の支払期日について条件がありますので、ご注意ください。 | |
・ | 立替払される額は、未払賃金の額の8割です。 ただし、退職時の年齢に応じて88〜296万円の範囲で上限があります。 |
・手続は、おおよそ以下の流れで行います。 | |
倒産についての管財人等の証明又は労働基準監督署長の認定 未払賃金額についての管財人等の証明又は労働基準監督署長の確認 独立行政法人労働者健康福祉機構への立替払の請求 |
必要な書類や詳しい手順については、労働基準監督署又は独立行政法人労働者健康福祉機構で案内しておりますので、詳しくはお近くの労働基準監督署又は独立行政法人労働者健康福祉機構にご相談下さい。
(参考;労働局ホームページ、会社が倒産したときの労働債権確保)
「未払い賃金の立て替え制度ってどんな制度?」)より
http://www.roudoukyoku.go.jp/seido/kijunhou/roudousaiken/roudousaiken3.htm