2009年01月27日

「派遣村」成功に導いた新リーダー像AERA:2009年1月19日号

●派遣村関係の続報です。「派遣切り」が頻繁に行われている中、派遣村がもたらせた効果が報告されています。リプラスが破綻して資金的に苦しくなっていましたが、多くの善意の寄付や世論も多くあつまりこれからの力強い活動もきたいできるところです。
(以下参照)
「派遣村」成功に導いた新リーダー像AERA:2009年1月19日号
 年の瀬の都心に突如現れた新しき村。合言葉は「日比谷で年末年始を生き抜く」。注目度抜群、カンパも集まった成功に、政界や労組など旧人類も相乗りした。(AERA編集部・常井健一、鈴木琢磨)
 東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に到着した頃には夜10時をまわっていた。きっと「難民キャンプ」のように騒然としてるだろう−−。早稲田大学4年生の川津彰信さん(23)はそんな想像をしながら、三が日を過ごした帰省先から直接、友人と村に向かった。
 はじめてのウンドウ。とはいえ、半ば覗き見気分だから、準備なんてしていない。防寒対策もせず、いつもの薄手のコートで乗り込んだ。寒かった。
 「ボランティア受付」と書かれた看板を見つけ挨拶すると、いきなり指示が飛んだ。ひどい靴擦れのある「村民」のために、サンダルを買ってくるように、と。「ボランティア経験のない自分でも手伝いを頼まれて、誰かの役に立ってる。興奮しました」。屈託なく笑う。
 食品関連会社から内定はもらった。でも本来志望していたテレビの仕事を目指したくて、留年することにした。結果、厳しい就職戦線と重なった。晴れない気持ちで迎えた正月。テレビ番組で見た「非日常」に、何か刺激がありそうかな程度で来たが、自分でも役に立てることがあるとわかって自信になった。
 ●学園祭のような雰囲気
 翌日再び訪ねると、他にもフツーの学生ボランティアが数人。中にはヒールを履いた女子もいた。彼女らもテレビで知ってやってきていた。
 厚生労働省は昨年末、昨年10月から今年3月までに全国で非正社員8万5千人が失業する見込みだと発表した。うち7割が派遣。派遣村が開設されたのはその発表の直後、大みそかというタイミングだった。
 企業や官庁が休むこの時期、スポーツ以外のニュースは「冬枯れ」になる。派遣村は「派遣切り」の厳しさを象徴するニュースとして、連日テレビで報じられた。
 日に日に「村民」の数は膨らんだ。公園内の歩道には炊き出しの列と誘導するボランティア、その間を詰めかけた報道陣と見学者が縫うように歩く。腹話術にインド舞踊と様々なパフォーマンスも登場し、どこか学園祭のような雰囲気を醸し出していた。
 この雰囲気のせいか、それとも「明日はわが身」と共感した人が多かったせいか、集まったボランティアは約1700人。カンパは2300万円を超えた。
 派遣村のホームページでは、「取材時の注意点」として撮影方法や取材対象を細かく規制している。プライバシーやトラブル回避のためだろう。必然的に取材は「派遣村村長」を務めたNPO法人役員の湯浅誠氏に集中した。
 湯浅氏がパーカー姿で、官僚や政治家と折衝するたびに、取材陣は追っかける。派遣村の申し入れに理不尽な対応をすれば、お茶の間に即伝わった。湯浅氏はニュースだけでなく、格差や貧困をテーマにした年末年始の特集番組にも精力的に出演し、時の人になった。
 ●一流経営者で無香料
 一見、学者然とした風貌。実際、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程で研究生活を送っていた。早くから「格差」という言葉に隠された貧困問題に着目。彼の書いた『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』は昨年、大佛次郎論壇賞を受賞した。学問的なアプローチだけでなく、貧困に苦しむ人たちと接し続けた現場感覚に裏打ちされた論文として高く評価された。
 湯浅氏は、2001年に「自立生活サポートセンター・もやい」、07年に「反貧困ネットワーク」を設立。これまで1000人以上の生活保護申請に立ち会い、アパート入居時の連帯保証人をピーク時には300人も引き受けた。
 元旦未明の討論番組「朝まで生テレビ!」で、湯浅氏と共演したドリームインキュベータ会長の堀紘一氏は印象をこう話す。
 「派遣村をマスコミも霞が関も乗りやすいビークルとして見事に仕立て上げ、正しい世論形成を促した。湯浅君は一流経営者並みの状況認識力がある。空理空論を振りかざさず、『無香料』なんだ。いままでの左翼系運動家とは違うな」
 ●理念追求せず実務的
 菅直人氏ら政治家が動いたとはいえ、厚労省は省内の講堂を宿泊場所として一時開放し、厚労相からは製造業への派遣を規制すべきとの見解を引き出した。同省は住居の確保や就職活動に必要な費用の支給にも前向きに回答した。
 社会運動の潮流に詳しい毛利嘉孝東京芸術大准教授(文化研究)は派遣村の特徴を、「彼らの運動は当面の問題解決を目指すので目線が低く、極めて実務的。現実の変化は速いので、旧来の運動のように理念を追求するようなことはしない。同じ目的の個人が集まって仲間を増やしていく点も新しい。こうしたフリーターや派遣など非正規雇用労働者を中心とした運動は今後拡大するだろう」と指摘した上で、派遣村の成功要因として、やはり湯浅氏の「キャラ」を挙げた。(1)党派性へのアレルギーがある(2)暴力的な男臭さがない(3)隠すものがないからオープン(4)組織よりも運動の継続性(5)「仕切り屋」とは一線を画したリーダーシップ像がある。
 こうした特徴は、90年代半ばに学生として、渋谷や新宿でホームレス支援に携わり、企業に就職せずフリーター的な生活をしながら、活動を続けてきたアクターたちに共通する。彼らが従来の労組や団体とは違う、オルタナティブな異議申し立ての担い手になっている、という。その一人が湯浅氏なのだ。
 今回の派遣村には、湯浅氏は活動拠点の「もやい」とは別に個人で参加した。資金も100万円集めたという。
 名を連ねた連合前会長の笹森清氏も、連合とは別に個人としての参加だった。
 昨秋、連合では、湯浅氏らの「反貧困運動」への参加が三役会議の議題にあがり、否決された。だが、今回の派遣村には賛同した。各傘下の労組では依然として賛否が分かれており、カンパのみに留めた労組もある。
 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、こう話す。
 「(正社員が中心の)連合内では従来から非正規労働者に対する取り組みが実現しにくかった。だが、トヨタ、キヤノンといった大企業が派遣切りを始め、正社員の首切りまで問題になろうとしているなかで取り組まざるを得なくなったということだろう。参加率が低下しつつある労組側が生き残るために存在感を示す必要にも迫られた」
 ●自民からも二人参加
 派遣村には永田町も飛びついた。民主、共産、社民、国民新と野党幹部は、連日訪れた。
 鈴木宗男衆院議員は、派遣村の存在を年末のテレビ報道で知り、4日に地元から東京に戻ると、作家の雨宮処凛さんと連絡を取り合い、日比谷公園で待ち合わせた。
 公園内で開かれた集会で「村民」を前に雇用と宿泊所の確保について緊急の国会決議を提案すると、あっという間に野党共闘が固まったという。
 翌日、派遣村の参加者と野党が開いた国会内での会合には、自民党からも大村秀章厚労副大臣と片山さつき衆院議員が駆けつけた。 片山氏は事務所に届いた告知のファクスを見て、出席を決めたという。野党中心の会合にもかかわらず出席した理由を、こう話す。
 「厚労省はもっと早く寝場所を開放すべきだった。霞が関で働いていた人間として恥ずかしい。それだけでも言いに行こうと思った」
 片山氏は念のため、事前に「上の人」に一本電話を入れた。伊藤氏は派遣村に相乗りする永田町の動きには「選挙前のパフォーマンス」と手厳しい。
 先の毛利氏は、「労組や政党は、多様な人から成り立ち、中心のない新しい運動を取り込むのではなく、キチンと共闘できるかどうかが組織の存亡を占う」と言いつつ、こうも話す。
 「派遣村がメディアに真正面から肯定的に取り上げられたことは画期的だが、見慣れた風景になれば、問題の風化を早めてしまうかもしれない」
 元旦の「朝生」後、堀氏は湯浅氏に活動をいつまで続けるのか聞いた。
 「5日までです」
 引き際を決め込む様子に、堀氏は思わず唸ったという。

http://www.asahi.com/job/special/TKY200901210062.html
(2009/1/21/朝日新聞)

2009年01月26日

「追い出し行為」防止にガイドライン作り、国交省方針2009年1月24日

●賃貸保証業界に法的な規制へ向けて分読み段階に来ているところです。リプラスが経営破たんしてからこの問題が大きくなったような気がします。実際、無理な追い出しをやっている保証会社があったためにこのようなことに
なってしまいました。しかし、家主やそれを扱う管理会社にとっては少々頭の痛い問題です。滞納したまま長期間居座ってしまわれるとその損害も大きくなります。また賃貸保証を利用している正常な賃借人にとっても保証料金
の値上げのあおりを受けることは必至です。株式会社デジタルチェックに移籍したレントゴー保証株式会社も気になるところです。


(以下参考)
「追い出し行為」防止にガイドライン作り、国交省方針2009年1月24日

 賃貸住宅の家賃を滞納した借り主が、家賃保証会社から法的手続きを経ずに退去を迫られる「追い出し屋」被害が相次いでいるのを受け、国土交通省は家賃保証業務のガイドライン作りに乗り出すことを決めた。悪質な業者による「追い出し行為」を防ぐのがねらいだ。

 家賃保証業務は監督官庁がなく、政府も正確な業者数を把握していない。国交省は昨年12月に調査に着手。日本賃貸住宅管理協会を通じ、会員企業などに契約書の提出を求め、契約件数、売上高、利用者の相談窓口の有無などを調べている。全国宅地建物取引業協会連合会や全国賃貸住宅経営協会にも保証会社との取引状況などの報告を求めている。
 すでに届いた数十社分の契約書のなかにドアロックや家財処分など、違法性の高い記載があることを確認。これを踏まえ、国交省は被害の広がりをくい止めるためには、契約書の適正化に重きを置いたガイドラインが必要と判断した。
 2月上旬にも調査結果と合わせて、ガイドラインを公表。法外な違約金請求など、消費者契約法に触れる記載例を示し、違法な契約を結ばないよう呼びかける。また、業界団体に苦情の相談窓口を置くよう求める内容にする方針だ。

 世界同時不況のあおりで、「派遣切り」などで職と収入を失った非正規労働者らが増え、家賃を払えない借り主が続出すると予想されている。各地で支援活動に取り組む弁護士らは2月15日に全国組織を結成し、家賃保証業務の登録制を柱とする法規制の検討を進め、国に早期の法案化を要望する方針だ。(室矢英樹)
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK200901230063.html
(朝日新聞/2009/1/25/)

(2009/1/26/留)
posted by 管理人B at 00:13| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 賃貸保証・滞納家賃保証業界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

自主営業の元従業員、強制退去=警官隊導入、一時騒然−京品ホテル・東京地裁(京品ホテル)

●久々の京品ホテルのニュースです。リプラス同様、リーマンやサブプライムローンの影響を受けた京品ホテルですが、黒字経営にも関わらず、多額の負債を抱えた上に営業場所のホテルが担保になっていたために廃業のあおりを受けた従業員がついに強制執行を受けて立ち退きをさせられたようです。法律上の立ち退きなのでやむを得ないことですが
残念です。

(以下参照)
自主営業の元従業員、強制退去=警官隊導入、一時騒然−京品ホテル・東京地裁
 
2009年1月25日(日)13時15分配信 時事通信


 昨年10月に廃業し、解雇された従業員らが自主営業を続けていた老舗ホテル「京品ホテル」(東京都港区)の立ち退き問題で、東京地裁は25日、施設の明け渡しと退去を命じた15日の仮処分決定に基づき、強制執行を行った。
 25日早朝、地裁の執行官が多数の警察官を伴いJR品川駅前のホテル前に到着。元従業員らが所属する労働組合「東京ユニオン」の組合員ら約300人がホテル入り口にバリケードを張って待機する中、にらみ合いが始まった。
 組合側の求めで執行官との話し合いが行われたが決裂。午前9時ごろ、強制執行が始まると、抵抗する組合員らを警察官が排除し、ホテル周辺は怒号や悲鳴で一時騒然となった。組合側によると、数人のけが人が出たという。
 同ホテルの元支配人富田哲弘さん(58)は「30年以上前から働いていたところで、最後にこうなったのは残念だ」とぶぜんとした表情。「みんな今後は決まっていない。これから話し合いをしないといけないが、ただあぜんとしている状態だ」と憤った。 

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-25X066/1.htm
(2009/1/25/留)
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