●昨日から東京スター銀行の話題が多いですが、一見すると利用者や関係者には不安の念を抱く内容とも見受けられます。今回の決算では赤字ということだったので、別の銀行からお金を借りて、東京スター銀行の持ち株会社(大株主)となった、アドバンテッジパートナーズの資金繰りがショートしてしまったということです。
そして、そのお金を貸した銀行が、アドバンテッジからとるものがないので、経営権があるものを一部譲渡するということとなっています。
今回の気になる点は、債務の受け皿ということで特定目的会社(SPC)を設立するということです。このSPCは、東京スター銀行が赤字になった時の穴埋めの緊急処置で損失を行う会社です。その出資は「匿名組合」(とくめいくみあい)というやり方で、行うものと思われます。
もし、東京スター銀行が持ち直して、利益が充分出てきた場合は、出資者へは大きな配当がおこなわれますが、逆に今回のような赤字が続いた場合は、そのSPCから優先して補てんを行うため、配当はもちろんのこと元本返還まで大きく棄損されるという事態も予想されます。当然利率も5%などの大きな予想配当としなければならないので、いわゆるハイリスクハイリターンともいえるでしょう。
しかし、この匿名組合を行うということは、当然、「よほどのことがない限り配当の支払いや、元本の返還はできますよ」という状況でなければできないので、一応大丈夫なのかもしれませんが、ここ数年のこういった「債務の受け皿的な」SPCについては、親会社が破綻してしまっているケースも発生しているため、これに出資する場合は
慎重に行わなければならないと思います。
現にMUFG(三菱東京UFJ銀行)・SMBC(三井住友銀行)・みずほ銀行 などのメガバンクも、自社運営資金を調達するためのこれに近いような、ファンド(利率でいうと2%〜3%位)のものがここ1年前に発行されていたのを覚えています。特にこのようなファンドは「民事再生法の適用申請があった時」〜これ以上の条件がある場合は債務を免れることができる文言が記載されているので、このようなファンドの話を持ちかけられた時は要注意です。