●焼肉えびすが、食中毒の原因となった肉を仕入れている業者に賠償を求めているとのことです。
これはどういうことかと申しますと、お客様に出した、肉に食中毒の大腸菌が付いているのは、自分だけじゃなく仕入れの業者も悪いんだよということです。そのため、その仕入れ業者によってえびすに損害を引き起こされたと想定される被害賠償を請求するということになるのです。「えびす」は「任意整理」という方針で進めており、まだ破産とかになっていないので、通常の会社同様法人として、賠償請求する事になります。あとで起こる後遺症のようなものは武富士やアイフルなどへの「過払い金請求」と似たような点もあります。
そのとき、仮に因果関係があったとしても、仕入れ業者に「過失」があったことを示さなければなりません。
いくら因果関係があったとしても、「そもそも肉には流通の過程で大腸菌がつくことは当然のことなので、それを防ぐために肉は必ず焼いてお出しする、もしくはお客様が焼いて食べるのが当然なことを前提としている」ということがその肉の業界での常識であれば、「過失」というのは否定されるため、損害賠償請求は認められないということになります。
その時に話し合いでケリが付けば、その時の「示談」となり仕入れ業者からの賠償をもらう(請求額面でなくても)事になるのですが、お互いの主張が平行線であれば、裁判所による判断を求めるということで「訴訟」となります。
特に法律での規定がなければ、民事裁判(民事訴訟)は民法第709条に記載してある「故意もしくは過失により損害が発生したら、賠償を請求することができる」というような事を根拠に提訴することとなります。
よく車と自転車がぶつかれば、自動車が悪いことになる、というのは、自動車保険(強制保険)の自動車賠償責任法などにより、自動車に「無過失責任」を負担する規定があるので、仮に自動車の運転手になんら過失がなかったとしても、自転車の運転者に被害があったときは、無条件にその保険から被害の補填をするということになっています。