●ここ数日は武富士(DIP型会社更生法)とミレニアム司法書士事務所(破産)と、焼肉酒家えびす(フーズ・フォーラス;任意整理)の倒産事件を取り上げていますが、今回えびすについての最大の難点は食中毒を引き起こさせた被害者への弁償をどのようにおこなうかということとなっています。
当初は、会社の不動産投資物件(店舗・土地建物)や株・預金・保険の財産をかき集めればなんとかなるであろうという考えもあったのかもしれませんが、蓋を開けてみれば、この間までは3億円の債務超過の予想で、今となっては7億円という数字に膨れ上がっています。被害者弁済を優先したいのは誰もが持っている気持ちはあると思います。しかし、債権者の方も貸し倒れのようになってしまっては、たまったものではありません。現在の任意整理では大変難しい事になります。この社長の懇願している「債権放棄」がまとまらなかった場合は、「特別清算」にうつるという話です。特別清算は破産のように、会社の事業を閉じることとそれに向かっての債権債務の「精算」作業なので、実質的には会社を閉じる事にはかわりがありません。では何が違うかというと、任意整理の場合は、申し立ての代理人弁護士も含めて、裁判所を通さない話し合い等で清算を行うことですが、特別清算となると、裁判所が入ってきて、「特別清算」に従ったルールを適用して清算作業が進んでいきます。いうなれば「ミレニアム司法書士事務所」が行う「破産」と同じように見えるのですが、破産は、破産管財人が利害関係のないところから裁判所の選任により登場し、債権者の意見というよりは、破産法のルールと破産管財人(弁護士)によるやや一方的な処理が多いのが実情です。
しかし特別清算が破産とは違うのは、まず「債務超過」は実際におこったことではなく、明らかにこれから起こりそうという内容であることと、特別清算人が今の申し立ての弁護士(顧問弁護士)が付くことが多く(武富士のDIP型会社更生法も申し立て弁護士が更生管財人として就任しています。)、議事の進め方も、再生型の倒産処理のように債権者の出席数や意見などの多数決がまず尊重されるので、こういった意味で今までと違うのは裁判所が介入したということでいいのではないかと思います。
おそらく「特別清算」と言っても、裁判所が介入しているだけの事になるのかと思うので、それが成立しない可能性もございます。その時は「破産」という手続きに入って、(公租公課や転職・再就職した人も含めて未払い賃金などの労働債権の優先弁済が行われ)法律と破産管財人の裁量でおこなっていくのではないかとおもいますし。その可能性が高いのではと私的には思います。
(債務超過になったという実績がないのにいきなり「破産」ということはないです。武富士の場合を見ると仮に過去において、過払い金の請求が大きく起こるであろうであれば、破産はダメだけど特別清算はヨシとなります。そのため「特別清算」という方法が用いられるのです。)
その後