● 先の15日に行われた更生会社株式会社武富士の「債権者集会」のまとめと、傾向と対策になります。管財人から出された計画案として、当初、武富士を韓国のA&Pが買取り(つまりスポンサーとなり)武富士の持っている債権と債務を引きつぐ予定でしたが、過払い金などをはじめあまりにも債務が多過ぎるので、そのままでは引き継げないということで、「会社分割」という方法で「事業譲渡」としてA&Pに買い取ってもらうという事になりました。
そうすることにより、譲渡する会社は形の上では債務のない健全な会社となり、それをA&Pが買ってその代金を残りの更生会社武富士がうけ取るという仕組みです。
そこから試算された配当率は3.3%になるということです。
武富士に出資していたファンド(投資家)などからの試算だと武富士が再生して継続する場合の配当は4%だけど、破産したほうが5%となるので、破産したほうがいいという事です。
ファンドが試算した配当率4%と今回更生計画案で出された、配当率3.3%との違いは、過払い金やその他の債権者が増加したものからだと思います。
現在で確定している配当率は3.3%で、それが第1回の配当(中間配当)ということで、債権者に1年以内に支払われるということです。その後管財人は債権回収や不動産投資・資産・株等を換金化して、さらに国税当局への還付や創業者一族に対する流出分の請求をして、その回収を第2回の配当(予定の最期配当)ということを想定しているとのことです。しかし、武富士創業者一族への請求に関しては訴訟へ発展する可能性が高いため、その回収にはかなりの時間がかかりしかもその配当の行方は不透明ということです。
第2回回収で問題なのは、国税当局の還付金というのがあるのですが、通常倒産した会社も通常時に得ていた所得はどのみち優先してもっていかれるので、その差額がプラスになるのかマイナスになるのかとうことが不透明。
もうひとつは、以前にも何回も言っていますように「DIP型」会社更生法ということで、本来の会社更生法は、経営陣が総退陣し、管財人(弁護士が主に就任)が裁判所から選任された、武富士と縁故のない弁護士がなるのが通常なのですが、このDIPの場合は経営陣が居残り、しかも管財人弁護士が武富士の顧問弁護士がそのままスライドしてなるという、「裁判所が関与している任意整理」のようなものなので、縁故の関係から「武富士創業者一族」へ支払いを強力に請求していくことができるのかは甚だ疑問です。
まず、債権者ができることは、やはり計画案に対してしっかりと自分たちの意見を示し安易に妥協しないことです。もう一歩踏み込んでみれば、「事業譲渡」は武富士を破産させても可能なのですから、しかも一応従業員も転職や再就職をしないで雇用も維持できるのですから、ここでは焦らず管財人側の案を安易にのみこまず、「破産」に追い込むことが必要なのではないかとおもいます。
あと何事にも優先して配当されるのは、一般債権よりは労働債権や公租公課(税金)よりも「管財人の報酬」が最優先されるのですから、いたずらに業務が長引けばそれだけ、債権者への最期配当も減算されます。
そして、現在の管財人は総退陣して、新たな「破産管財人」を裁判所の公正な立場から選任されるべきだと思います。
いずれにせよ今の管財人がそのまま続投するのは債権者にとっては大変不利益になるかと思います。
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