● 武富士による会社更生法計画案の「押しつけ」とも言われる行為は、以前からも報道で報じられていましたが、なぜこういう事になるのか、というと、やはり、債務者主導型の会社更生法(DIP型会社更生法)の運用内容による影響を受けているためといえます。
通常「会社更生法」の運用というと、現経営人は続投せず、裁判所から選任された「第三者」といえる更生管財人が選任され、倒産処理の過程も透明度が高く債権者にも資金の流れがみえるような形になっています。しかし、厳格な運用であることと、管財人がその産業に精通しているわけではないこともあり、通常よく使われている「民事再生法」より最終決着に至るまで時間がかかるのが難点で、予め法的手続きに使うための裁判所に支払うためのお金(予納金)も同類の「民事再生法」よりかかるため、倒産して再生に向けた法的手続きをする場合は、会社更生法より「民事再生法」をより多く選択されているのが実情です。
さらにその実情が反映される以前から東京地方裁判所で扱う、会社更生法(東京地裁民事8部)の手続きは取り扱う部署も他の倒産処理(民事再生及び破産〜両者とも東京地裁民事20部)とは異なっているため、東京地裁民事8部においては「暇な部署」と言われるような話も出てきました。
本当の経緯は定かではありませんが、この武富士に適用されている「DIP型会社更生法」というのは作成当時、会社更生法の適用申請の部署であり、その件で「閑古鳥が泣いている」東京地裁民事8部にいた裁判官が、2000年から始まった人気の「民事再生」の部署である東京地裁民事20部へ行こうとする客を奪うことや、当時からある人気の無い「会社更生法」を改良することによりもっと迅速に利用してもらいたいという願望から生まれた倒産処理ともいわれています。
その結果「DIP型会社更生法」の最大の利点は、旧経営人が続投しながら、会社更生法の有利な点(債務者自身が「管財人」という強力な権限を持つ、民事再生では弱かったも担保権の拘束も会社更生法では可能となるなど)も活かせるということとなり、今後多くの企業(特に大企業や上場企業)で、民事再生よりはDIP型の会社更生法を利用しようとする動きが見られるものといわれています。
したがって、上記の理由から、現在の武富士が債務者が管財人という「強力な主導」を得ていることから、必然的に債務者(管財人)自身が計画した案を押し付けるとうことは、法的な規制でもない限り行われるものと思われます。その点は武富士被害者の会(武富士の創業者の責任を追及する全国会議)などで声を挙げるなどしていますがどうしてもそのようになってしまいます。
同様に、現在民事再生法で進行している大企業(資本金5億円もしくは負債200億円)の「安愚楽牧場」(資本金3000万円、見かけの負債600億円強)はなぜ、より主導権を握れるDIP型会社更生法にしないのかという理由は、やはり債務者(申し立て代理人の栃木柳沢法律事務所も含めて)のが強い主導件を握れるものの、透明度の高い倒産処理を要求される(つまり、人には見せられないような恥ずかしい財務内容などが見え見えになる)ので、そのような意味では当然「民事再生法」に傾いてしまうということになります。
また武富士が民事再生法の方を選ばない理由としては、武富士自体が倒産する前が「上場企業」という、財務内容を適時開示している企業であったため、「民事再生」でこそこそとやる必要もないし、先に申し上げたとおり、DIP型会社更生法の方が利点が高いため、その運用でおこなっているものと考えられます。
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