NTT(日本電信電話株式会社)グループがこの度65歳までの雇用延長の義務付けに対する対抗策として、40代〜50代迄の賃金上昇率(賃金カーブ)の勾配(右肩上がり)を緩やかにして、その分を本来60歳定年の分を65歳迄雇用できるようにしていこうという合意を「労使」との間で決めたということです。
一見65歳迄の5年間も雇用が延びるのだから、まだまだ働きたい人にとってはとてもいい話だと思うのですが、文章も含めて意味合いを見てみると、生涯賃金がかわらず、働く時間や期間が延びるだけ(時間が長くなる)という話です。
なぜこんな「不合理」といえるものに「労使」の「労働者側」が合意したのかわかりません。
例えば、現在30歳の4年生大学卒の総合職のNTTの正規雇用社員が22歳で新卒で入社したとします。
現在の制度では60歳定年なので、ザックリみると生涯賃金は約4億円と考えられます。
それが新制度では(希望により)65歳定年なので、生涯賃金は約4億円になります。
つまり、5年間働く期間は長くなるけど、生涯賃金は同じく約4億円ということになります。
だから新制度で5年間長く働いても、旧制度で60歳迄働いて、その後短時間のアルバイトに励む方が結果的にもらいがいいということになります。
この記事からだとそのようにしか読めないのですが、そんなバカな話に労働者側が合意するはずがありません。
ですから、この記事の詳細があるとすると、新制度の実際の生涯賃金は4億3000万とかそういった金額となり、労働者側がその方が有利だといえるような妥協点で妥協しているはずだと思います。
また企業は安定しているという大企業であってもちょっとした収益の誤差で一気に債務超過の倒産(破産)へと転落するリスクを抱えています。「人件費」はその大きな支出のNO1となっています。
恐らくここの重要ポイントは40代50代と言える最も多く給与を支払わなければならない従業員に対する「賃金カーブ」の勾配を大きく緩めていくことで、会社の経費を抑えることが目的なのではないのかと見ています。
ただこのことでとばっちりを最も大きく受けるのは、今後学校を新卒などで入ってくる新入社員です。
NTTに入れば入社時は月給20万円賞与4カ月で年収320万円で、30歳では月給32万円賞与4カ月の年収512万円 40歳で月給48万円賞与4カ月で年収768万円だったものが
新制度では、30歳では月給26万円将補4カ月の年収416万円 40歳で月給29万円賞与4カ月で年収464万円
という話が充分予想され、今の20代の学生さんにとっては夢が無くなる話です。
NTTは日本を代表する企業なのですが、中小企業の賃金現状はNTTの賃金新制度の予測よりもらいが少ないところもしばしばです。
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