この事件は、検察が不起訴にした事件を被害者がそれを不服として検察審査会の議決を依頼したところ、2回とも「起訴相当」となったため、検察官ではなく、検察官に相当する「(裁判所からの)指定弁護士」が公判の維持をすることになりました。
起訴事実は「詐欺罪」ということですが、一審の那覇地裁は「無罪」、二審の福岡高裁(那覇支部)も「無罪」という判決となりました。
結局「詐欺」については立証できなかったということです。
あとは指定弁護士が勝ち目があるかどうか検討して、上告するかどうかという事になります。
結局この「詐欺罪」の認定や認識が、プロの検察官をはじめとする法律家と一般市民で構成される「検察審査会」との間では異なっている可能性が高いと感じています。
ちなみに、今日は知らない方も多々いらっしゃるかと思いますが、「安愚楽牧場」において、出資者にとって一応の「念願」ともいえる旧経営陣に対する「強制捜査(逮捕)」が警視庁捜査二課において行われました。
倒産事件が発覚した2011年8月1日から約1年10ヶ月が経過してのことでした。
一応の考えていたシナリオ通りの部分も多かったのですが、逮捕事実(被疑事実)が「詐欺罪」(10年以下の懲役刑)ではなく、「特定商品預託法違反」(不実の告知)(最高懲役2年以下、罰金50万円)という詐欺罪よりははるかに軽い罪でした。
詐欺と違う部分は、「実態と異なる告知(つまり牛が6万頭しかいないのに10万頭いるということや、出資に対応する牛が他の出資者と同一のものを結びつけているということ)」をして募集をしていた「だけのこと」という部分です。そして、詐欺はそれに加えて、出資金を懐(自分もしくは会社の財布など)に入れてやろうという部分は考慮していないということです。
つまり、「故意」に詐取しようという部分がまだ明らかにされていないということです。
恐らくその「故意性」を立証するには、安愚楽牧場の「配当や満期返還を、他の出資者からのお金を充てていた」という事実が帳簿などから読み取れない限り、「詐欺罪」の成立は困難な状態になっているのかと察しています。けれども、被疑者(旧経営人)らが、そのことを「自白」すれば、それだけで「詐欺罪の成立の可能性」はあるのかと思いますが、その部分は警察の「口割」のテクニックで自白させるのだと見ています。報道では「認否」については警察では言えませんというのは、そのための可能性もあるかと思います。
本件とは違う事件を照らし合わせて考えてみましたが、「詐欺罪」というのは、本人の「意思」が明確に立証できなければならないので、今回の「無罪」の件においても「故意」があったという証拠がプロの裁判官からすれば見つかっておらず単なる「状況証拠ばかり」としかそろっていなかったと見ています。
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