フランチャイズやカリスマ店主などで有名なラーメン店「らーめん むつみ屋」を展開する「株式会社ハートランド」が東京地裁に自己破産の申請をしたとのことです。負債総額は約15億3000万円ということです。
当たり前のことですが、企業の法的倒産(破産・民事再生・会社更生など)は、借りたお金が返せないので、それを裁判所を通じて「勘弁してくれ」という行為です。
ですから、単に「利益が非常に少ないから店じまい」は単なる店じまいです。
このラーメン店ももともとは創業者が北海道で好きで始めたラーメン店だったのですが、それがとても味が良く次第にクチコミなどで多くの人が来るようになり、創業者も「自分の分身を広げよう」ということで、ラーメン店をチェーン店化ました。
北海道に初めてラーメン店を作るときは、銀行からお金を借りたのかもしれませんが、自分の今までためた預貯金などで開業している場合も少なくありません。
それがうまく行くと複数店やチェーン店として開業するものとなりますが、その開店資金は莫大なものになります。そのお金はいくら自分の1号店が儲かっているからと言ってその利益の蓄積でまかなえるようなものではありません。
どうすればいいか、「お金を借りる」のです。多くの企業は銀行からお金を借りています。お金を借りれば、自己資金の何倍何十倍の軍資金が手に入りますので、それで新しいお店を建てて従業員を雇います。そして、借りたお金以上に売り上げを得て、その差額の「利益」が出れば目的は達します。
それが10店舗分の利益であれば、創業者は相当な「儲け」を得たものと思います。また、その「儲け」たお金を自己資金にして今度は今までの3倍の30店舗を新たに出店します。同様にして今度は5倍の50店舗を出店、3年目にして90店舗になります。
銀行も返済期日遅れることなく返済してくれれば、御の字なので、その店の過去の状況などをもとに融資を実行します。
でもその次の年は初めての「赤字」でも銀行も何色を示すものの期日迄に借りた金額を返済してくれたので、翌年も本年と同様に融資を実行。しかし、今度は赤字だけでなく、銀行に期日迄に借りた金額を返済できませんでした。また「掛け」や小切手で払っていた仕入先においては銀行において当座残高がないため支払いを受け取ることができませんでした。これが「不渡り」で2回起こすことにより、銀行との取引停止という始末。これが倒産といわれるものであり、ラーメン店が裁判所に助けを求める行為が民事再生や破産ということになります。
今回は破産ということなので、裁判所に助けを求めるとともに「会社を閉めます」ということになります。
こういったことを考えると今回の倒産はオーソドックスなケースとも言えます。
しかし敗因分析をすると、右肩上がりの売り上げ・利益を過信してしまって「売り上げが落ちたとき」の事を先の先まで考えなかったという事も大きな要因です。
そのためには「内部留保」(儲かった金額の一部をそのまま預貯金や定期預金などで貯め込んでいくこと)を確保していくことが大切なのかと思いますが、このラーメン屋さんにおいては、内部留保を考えなかったり、「内部留保」も少なく見積もって蓄積をしていたという可能性もあります。
悪いことにチェーン店の拡大だけならともかく、「事業の多角化」も悪い方向に進んでしまい、結果的に「イケイケどんどん」という形の宛が外れてしまったということになります。
会社経営は、本当に難しいですが、儲かったときは有頂天にならず、「宵越しの金は持ち越さず」なんていう設備投資などをせず、「内部留保」をできるだけ多く作っておくこと、これは、無頓着な事業拡大も抑えられるので、とても重要なことです。
ニュース元・資料
posted by 管理人B at 17:57| 東京 ☁|
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