「求職者支援制度」とは、雇用保険を受給できない求職者の方が職業訓練によるスキルアップを通じて早期の就職を目指すための制度です。(厚生労働省HPより)
というように、この制度は「雇用保険」を受給できない人が、就職をするために、訓練校に通うことです。それによって訓練校から仕事を斡旋してもらったりなど手厚い支援が受けられます。またその時の自身の金融資産がある一定以下(現在は300万円以下)の場合は、月に10万円(単身者)〜12万円(扶養者等がある場合)の給付を訓練期間中受けることができます。
この制度は比較的新しく2009年から施行されたものです。
それまでは「雇用保険」を受給している人が、その中での求職活動の選択肢として「職業訓練校」の通学という方法があり、現在も前者の制度と並び続いています。
ただその窓口が前者後者とも職業安定所(ハローワーク)で扱っているため、混同する部分が多々あるのですが、制度的には別の法律により施行されているので、後者は「雇用保険」を受給している人に限られている訓練校になります。
ご存知の方も多いかもしれませんが、「雇用保険」に基づいて実施している「職業訓練校」の通学制度は、訓練校に通学開始時点で雇用保険の対象期間になっていることが条件で、その対象も、受給期間の経過日数などにより条件が異なります。受講を開始した場合は、受給条件に当てはまらない人以外は、現在受給している雇用保険(失業給付)を引き続きもらうことができ、受給期間の終了は、当初の受給予定期間と訓練校の終了期日の遅い方に変更になり、本来の予定給付日数より多くもらえることがほとんどになります。
今回の事件の場合は、前者にあたるものなので、「雇用保険」を受給できない人が対象となります。個人事業をやっていたけど事業を辞めた人、専業主婦や週20時間以内のパート労働者(雇用保険適用外)、学生をやっていた人を始め、家に閉じこもっていた人は勿論のこと、「雇用保険」が終了してしまった人などもこの対象になります。
さらにこの制度は、受講者に給付されるだけでなく、訓練校(事業者)にも資金が給付されることです。ですから受講者も訓練校も傍から見るとWIN-WINの関係になります。この費用を負担するのは全て国(税金)からになります。
これが今回悪用されました。内容的には、実際やりもしないのにパソコン教室を実施し、訓練校(事業者)が国から何食わぬ顔をして給付を受けていたということです。さらにひどいことは、国(恐らくその職業訓練を担当している独立行政法人)の職員がそれに携わっているということだから、とても酷いものです。このNPO法人が悪いのは確かですが、それをそそのかしている独立行政法人の職員が自ら手口をばらしているのであれば、悪さする事業者もいておかしくありません。
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