また、1)については、不動産バブル崩壊で大きな含み損を抱える状況となっていることに加え、東京都港区や中央区等の都心や大阪市の中心部に所有していた優良物件の多くは担保に入ってしまっており、手元に残ったのは“開発途上”のものばかりだったと考えられる。不動産バブルが崩壊してしまった現在の状況下においては、継続開発するリスクは高い。
極東証券グループに事業を売却できたものの、(事業売却代金とされる100億円のうち、いくらが不動産流動化事業相当分かはわからないが)いずれにしても開発リスクが高いことから、その譲渡金額は非常に低くなってしまったと思われる。
じつはこの不動産流動化事業の売却において、当初、大和ハウス工業グループが積極的であったと伝えられているが、途中で断念したということだ。資産価格の査定など条件面での折り合いがつかなかったといわれているが、もしかすると前述した通り、手を上げてみたもののフタを開けてみれば魅力的な物件が残っていなかった、からかもしれない。
主力であった不動産流動化事業がこのありさまであり、マンション分譲事業においては、事業売却はかなり困難だったと思われる。事実、事業売却できたのは、同社のお膝元である広島エリアのみ。しかもメインバンクであり、広島事業に多くの担保を有している広島銀行が担保価値の維持の狙いもあってか、同行が支援するファンドが引き受けるという“条件つき”である。
住宅バブルの崩壊による供給過多の状況では、残った物件の資産価値は相当低くなってしまうことが考えられ、その金額によっては、債権者への弁済率にも影響が出てくるかもしれない。
今後アーバンコーポは、2009年10月までに7.5%を、その1年以内に残り7.5%の合計最大15%を債権者に弁済していく予定。約2年にわたる清算処理を経て、同社は完全に姿を消すことになる。
倒産ラッシュの2008年。
キーワードは「信用収縮」と「不動産関連」
それにしてもこのアーバンコーポ破たんは、まさに今年の倒産劇を象徴する事件であったといえる。なぜならそれは、今年の倒産劇の最大の特徴が、『信用収縮』と『不動産・ゼネコン業』の2つであったからだ。
http://diamond.jp/series/nagasawa/10054/?page=2
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