そういう意味でも、今年は“激しい変化”に見舞われた1年だったとつくづく思う。
しかし今年3月の時点では、ここまで経済環境が悪化すると予測できた人は少なかったのではないだろうか。アーバンコーポに限らず、3月期決算ではトヨタをはじめ過去最高益をあげる企業も少なくなかったからだ。そのような優良企業でさえ、一気に地獄に突き落とされてしまうという現実。アーバンコーポの転落劇を見て、「明日はわが身」と思う企業も少なくなかっただろう。
事実、今年は不動産・ゼネコン業界に限らず、実に多くの上場企業が倒産に追いやられている。今日現在で、上場企業の倒産は34件(12月19日に民事再生法の申請をしたダイア建設まで)。これは平成14年の29件を上回り、戦後最悪を更新している。ちなみに去年(2007年)の倒産件数が6件だったことを考えると、著しく増加しており、企業を取り巻く環境がいかに厳しかったかを如実に示している。
また、今年の倒産の特徴としてもう1つ注目すべきなのは、上場して間もない会社が多く潰れてしまったということ。
例えば、10月に倒産したエルクリエイトの上場期間は14ヵ月。そして中でも史上最短記録を作ったのは、今年11月に破たんしたモリモトである。その上場期間はわずか9ヵ月。今年2月に上場したばかりにもかかわらず、1年ももたなかった計算になる。この2社ともにマンションデベロッパーであり、まさに今年の経済環境の“激変ぶり”がここでも垣間見ることができる。
この厳しい状況は来年もしばらく続くものと思われる。当然のことながら、企業買収の件数は少なくなるだろう。たとえあったとしても、第51回でも紹介した通り、キャッシュリッチな事業会社による周辺事業の買収が主流になると思われる。しかし多くの企業にとっては、「買収どころではない」というのがホンネかもしれない。
空前の倒産ラッシュとなった2008年。その象徴ともいえるアーバンコーポの清算が年内に決まったことは、非常に感慨深い。今年3月に史上最高益を出した企業が、その年のうちに解体されてしまうという皮肉。あまりのスピードの速さに、ただ驚くばかりである。
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