しかし、いろいろな詳細を見てみると、明らかに国が赤字や採算がとれないにも関わらず、空港発着の利用や公務員の天下りなど、どうみても企業としては利益が出ない体質であることは間違いありません。時代の流れがここに来たという声はあまり聞こえず、同業者の全日空と比べると「民間企業」という考え方は程遠かったのかもしれません。
日航、会社更生法を申請 再生機構が支援を決定2010年1月19日20時34分
会社更生法の適用申請を受け、厳しい表情で記者会見に臨む日本航空の西松遥前社長=19日午後7時49分、東京・丸の内、林敏行撮影
会社更生法の適用申請を受けて共同記者会見に臨む、日本航空の西松遥前社長(右)と企業再生支援機構の西沢宏繁社長=19日午後7時31分、東京都千代田区、林敏行撮影
日本航空は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。官民が出資する「企業再生支援機構」が同日、日航支援を正式に決め、政府が承認した。運航や営業は平常通り続ける。機構は日航を管理下に置き、3年以内の経営再建を目指す。グループの負債総額は2兆3221億円(帝国データバンク調べ)で、事業会社では過去最大の経営破綻(はたん)になった。
会社更生法を申請したのは、持ち株会社で東京証券取引所1部上場の日本航空、中核の航空事業を担う日本航空インターナショナル、金融会社ジャルキャピタルの3社。グループ連結での債務超過額は8676億円(2010年3月末見込み)に達する。東京地裁は同日、更生手続きの開始を決め、管財人に機構と片山英二弁護士を選んだ。
日航は申請を決めた臨時取締役会で、西松遥社長ら取締役全員の同日付の退任を決定。新経営陣は2月上旬発足の見込みで、京セラの稲盛和夫名誉会長(77)を代表取締役会長に招き、新社長は内部から昇格させる方向だ。
政府は、日航の運航継続に理解と協力を求める声明を閣議了解とし、在外公館を通じ、日航機が就航する27の国・地域などに伝えた。
日航と企業再生支援機構によると、マイレージポイントや発行済みの株主優待券は今後も従来通り使える。燃料代など一般商取引の債権、航空機のリース債権などは保護される。一方、日航の株式は無価値になる。東京証券取引所は19日、2月20日に日航株の上場を廃止すると発表した。
機構は、日航の借金減額などで更生法申請前に大手銀行と大筋合意。日本の大手企業では初の「事前調整型」による法的整理手続きと位置づけている。今後、金融機関の債権放棄や企業年金の減額などを実行。政府保証付きの日本政策投資銀行の融資も焦げ付き、少なくとも440億円の国民負担が生じる。
機構は日航に3千億円以上を出資し、日本政策投資銀行とともに6千億円の融資枠を設ける。1兆円近い公的資金枠を使って日航の財務体質を改善。グループで1万5千人超の人員削減など抜本的なリストラも進め、11年度の黒字化を目指す。こうした内容の更生計画を7月に決定し、債権者の同意を得て8月に裁判所の認可を得たい考えだ。
また日航は、米デルタ航空と新たに業務提携を結ぶ方向だ。現在加盟する国際航空連合「ワンワールド」から、デルタや大韓航空などの「スカイチーム」に移る。