この会社はかつて、インターネットの事業を主軸としていましたが、さらにM&Aにより、旧 平成電電株式会社を買収し、その当時の平成電電株式会社を運営してきた
通信事業会社(旧 第一種電気通信事業)です。その後、マイライン事業、直収線事業(NTTを界さなくても直接固定電話から固定電話への自社サービスを受けられる電話サービス)と「見掛け上の」急成長をしてきた会社です。
ある部分ではライブドアやリプラスの急成長過程と大変類似したところがあります。
1つ目の例では、現在のライブドア(当時の堀江貴文代表率いるオンザエッジ)は旧ライブドア(無用インターネットプロバイダ)の事業を買収してその、社名をそっくり引用するという経緯をたどっています。それは破産当時の平成電電(当時の佐藤賢治 代表率いるトライネットインターナショナル株式会社)が旧平成電電を買収して、そのまま平成電電の名前を引用して現在(破産者となっています)に至っています。
もうひとつの例では、リプラスのアセットマネジメント事業は平成電電の直収線事業にあたり、賃貸保証事業であるレントゴー事業(現 株式会社デジタルチェックの傘下となった レントゴー保証株式会社)にあたります。
リプラスはアセットマネジメント事業が破綻の原因となったのですが、平成電電では直収線事業が破綻原因となりました。
また、「手堅い事業」であったリプラスの賃貸保証事業(レントゴー事業)はリプラスの破綻直前に子会社を設立してなんとか火の子を振り払おうとしましたが、それを受け入れる会社(スポンサー)がない為に会社(リプラス本体)から脱出できない状態で閉じ込められた状態となてしまいました。その一方で平成電電での「マイライン事業」はある程度の収益性のある事業だったので、たまたま平成電電が大株主である子会社のドリームテクノロジーズ株式会社 (現 株式会社トライアイズ)へ株式交換により難を逃れたのち、敵対していた「ソフトバンク株式会社」へ譲渡されたという形となりました。
しかし、問題となったのは、無謀な成長の助けとなった「平成電電匿名組合」という、資金集めになります。ほぼ債務超過の財務状況にもかかわらず、有名俳優を起用してCMをバンバン撃ったり、新聞の広告欄に大きく掲載したりして、一般庶民から資金を吸い上げていく形をとっていました。それが破綻直前まで行ってもいました。
その結果延べ1万9千人という「投資家」が著しい大きな損失を被りました。そして、多くの人が「新聞広告」を見て出資の決意をしたということで、出資者の総数の極一部になりますが、朝日・読売・日経の各社に損害賠償請求の訴訟を提起したという経緯です。
しかし、新聞広告を見て出資を決意したという、因果関係はあるものの、新聞社に故意もしくは過失というものが存在しないということで、原告の請求を棄却したという判決となりました。
不動産ファンドには「匿名組合」や不動産信託(REIT)という資金調達方法が多く存在いたしますが、投資をする時は自分が悪くなくても、損害を大きく被ることがありますので、投資をするときには充分に気をつけなければなりません。広告掲載した新聞社の責任認めず 平成電電事件で 東京地裁
2010.2.17 18:13
ニュースのトピックス:民事訴訟
平成18年6月に破綻(はたん)した「平成電電」(東京)の巨額詐欺事件に関連して、紙面に同社の関連会社の出資募集広告を掲載した新聞社にも責任があるとして、出資者約430人が朝日、読売、日経の各新聞社に計約26億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であった。孝橋宏裁判長は「広告掲載は不法行為とはいえない」として、出資者側の訴えを棄却した。
孝橋裁判長は「掲載当時、平成電電と同じような高さの配当率をうたった金融商品はほかにもあったことなどから、各紙が広告内容の真実性に疑いを持つべき状況だったとはいえない。読者に損害を及ぼす恐れは予見できなかった」と指摘。一方で、「民事上の責任とは別に広告を約2年にわたり、繰り返し掲載したことが被害の拡大につながったことは否定できず、各紙は重く受け止めるべきだ」とも述べた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100217/trl1002171813005-n1.htm
(2010/2/17/MSN産経新聞)