当時制定されたころは、やや不動産ミニバブルの時代となっており、景気がよくなる兆候でした。したがって、当時の状況として、労働者から見れば、簡単にサクッと稼ぎができ、使用者(企業)からみれば、必要な時に人材を難なく確保できるということが利点となっており、メリットが大きかったことは言うまでもないのかもしれません。しかし、金融技術の瑕疵(かし)によってリーマンショックのような事件により急速に景気が悪化した今は事情が大きく変わっています。資本主義社会の落とし穴をなんとか修復していかなければならないと思います。
労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑
3月21日7時55分配信 産経新聞
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一昨年秋以降の大量派遣切りをきっかけに平成20年の年末、東京・日比谷公園に出現した派遣村。労働者派遣法改正の原動力となった=平成20年12月31日(中鉢久美子撮影)(写真:産経新聞)
【日本の議論】
[表で見る]派遣の4割が正社員志向 自由より安定、見えぬ将来映す
■規制緩和で増え続けた派遣…「ワーキングプア」の温床に
昭和61年に施行された労働者派遣法は当時、労働者が派遣元から中間搾取されることなどを避けるため、通訳など専門13業務に限り派遣を認めていた。
その後は平成11年に建設、港湾運送、警備などを除いて原則自由化され、16年には製造業派遣も解禁となった。規制緩和の流れの中で派遣労働者は増え続け、20年度の派遣労働者は延べ約399万人と最多となった。
派遣は多様な働き方を可能にする一方、雇用が不安定で、働いても貧困から逃れることができない「ワーキングプア」の温床として問題化した。さらに、一昨年秋以降の不況で製造業を中心に「派遣切り」が相次いだことを受け、昨年10月から労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で法改正に向けた議論がスタートした経緯がある。
長妻昭厚労相は19日の閣議決定後、「政権交代がなければ、こういう法律が出ることはなかった。(不安定雇用に)一定の歯止めがかかると思う」と語り、期待を込めた。
■見た目の差別につながる…
改正案は雇用が不安定になりやすい登録型派遣は、秘書や通訳など専門性の高い26業務や高齢者派遣を除いて禁止。製造業派遣は長期の雇用契約を結ぶ「常用型派遣」を除き禁止とした。日雇い派遣など、2カ月以内の派遣労働も原則禁止する。
ただ、企業や労働者への影響や混乱を避けるため、改正法が公布されてから3年以内の政令で定める日から禁止することとした。さらに労働者のニーズがあり、問題の少ない登録型の一般事務などは2年間の猶予期間を設け、最長5年後の禁止となる。
また、派遣先が偽装請負などの違法な行為をした場合、派遣先が労働者を雇用する意思があるとみなされることも盛り込んだ。これにより、労働者が望めば派遣先に雇用されていると見なされ、雇用をめぐるトラブルが発生した際などに労働者が有利になる。
派遣元が受け取る派遣料金と、派遣労働者の賃金の差額に関する情報などの公開も派遣会社に義務付ける。
労政審の部会の委員を務めた連合の長谷川裕子参与は「登録型派遣と製造業派遣の原則禁止は画期的。派遣先の責任強化が不十分との指摘があるが、足りないことは今後、見直していけばいい」と述べ、派遣切りを防ごうという今回の改正案を評価する。
労政審の約5カ月にわたる議論の末、ようやくまとまった厚労省の原案。
当初は今月12日に閣議決定される予定だったが、派遣先企業が派遣社員を選別する「事前面接」の解禁が盛り込まれていたため、社民党と国民新党が「労働者への差別を助長する」などと修正を求め、19日にずれ込んだ。
結果的に「事前面接」の解禁は削除され、厚労省幹部は「長く雇用される無期雇用に限って事前面接を認めるという内容だった。企業から『長く働いてもらう無期雇用の派遣労働者については、事前に面接したい』という要望があり、無期雇用の促進につながると考えていたのに…」と不満そうに語る。
■「中小企業いじめでしかない」
一連の法改正の動きを受け、製造業大手の中には派遣から業務の一部を丸ごと委託する「請負」に切り替えるなど派遣依存からの脱却を図ろうという動きも出てきた。
しかし、大手ほど体力のない中小企業では規制強化によって迅速な人材確保が困難になりそうだ。
資格検定や講習会を運営する東京都内の企画会社では、実施する検定などの規模に合わせて人材派遣会社から当日のスタッフを確保してきた。
多い時では1日に150人のスタッフが必要になることもあるといい、同社の社長は「多くのスタッフを自前で集めるのは不可能。社員を全国各地に派遣するとなると交通費だけでも相当なコストになってしまう…」と頭を抱える。社長は「一部の製造業の派遣切りばかりが問題視され、労使ともに納得していた部分にまで切り込まれてしまった」と本音を漏らす。
関東地方の氷菓子メーカーでは需要が高まる5〜8月、作業員約200人を増員する。これまでは派遣会社に頼ってきたが、今年は法改正をにらんで派遣の割合を2割削減し、短期アルバイトを雇う方針だ。同社の総務担当者は「人の募集や選考などの業務が増え、コストもかかったが仕方がない…」とあきらめ顔だ。
全国中小企業団体中央会の市川隆治専務理事によると、派遣が禁止されれば企業は季節変動や業務の繁閑に対応することができなくなるという。
「業務がヒマな時期にも忙しい時と同じ人員を雇っておく体力は中小企業にはない。派遣禁止は『劇薬』。必ずしわ寄せがくる。中小企業いじめでしかない」と指摘する。さらに「大企業が生産拠点を賃金の安い海外に移し、中小企業が正社員の残業増で乗り切ろうとすれば結果的に雇用は増えない」と失業者が増える可能性を懸念する。
改正案は非正規雇用から正規雇用への転換を企業に促すことを目的としている。しかし、長引く不況で企業には正社員を雇う余裕はない。
厚労省によると、平成20年6月時点で202万人いた派遣社員のうち44万人が規制対象となるという。民間研究機関「リクルートワークス研究所」は、製造業派遣と登録型派遣が原則禁止になった場合、約18万人が失職する恐れがあると試算する。
■「みんなが正社員になれるとは思えない」
法改正は登録型派遣で働く多くの女性にも影響を与えることになる。
2年前に翻訳の勉強をするために務めていた会社を辞め、現在は派遣の事務職として週3日働く女性(29)は「法改正は製造業の問題だと思っていた。派遣会社は自分の条件に合う仕事を探してくれるので助かる。法改正しても派遣で働いていた人がすべて正社員になれるとは思えない。女性の働く機会を奪わないでほしい」と訴えた上で、疑問を呈する。「周囲には派遣で働く未婚の母親もいる。そういう人たちの将来はどうなるのでしょうか」
大手広告代理店で派遣として働く女性(30)も「家庭も大事なので勤務時間の融通が利く派遣という働き方がよかった。派遣に登録していろいろな会社を見ることはキャリアにもなる。いろいろな働き方があることを理解してほしい」と強調する。
法改正されれば、登録型派遣は秘書や通訳など専門的な26業務に絞られる。ただ、中には「ファイリング関係」や「事務用機器操作関係」といった漠然とした内容もあり、違法派遣の隠れみのとされる可能性も否定はできない。
子育てを終えた女性などの社会復帰を促してきた都内の大手人材派遣会社の経営者はいう。
「これまではそんなにスキルの高くない人でも職場を提供することができた。しかし、これからは相当な知識やスキルを持った人しか採用できない。結果として、女性の活躍の場が狭められると思うのですが…」
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・ 20年後、日本はありますか? 最終更新:3月21日12時1分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100321-00000500-san-bus_all
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