●帝国データバンクが2010/4/15付で家賃債務保証会社についての実態調査の結果を発表しました。
この内容からみると、売上高は日本セーフティーや日本賃貸保証、等が上位を占めており、リプラスから株式会社デジタルチェックに事業譲渡をされた、レントゴー保証株式会社については、売上(保証契約)についてはいまひとつといったところなのかも知れません。しかし、資本の大きさについては全体的に、資本は小さいと指摘されながらも、レントゴー保証株式会社については、日本賃貸保証に次ぐ第二位の資本の大きさとなっており、経常利益も好調であることから、これからという期待していいかと思います。
また、家賃債務保証会社の本店(拠点)としては東京都にあるところが7割近くを占めており、さらに平成22年6月16日を最後の期日とする国会においても家賃保証会社を規制監督する法律ができることも加えて今後どのような展開になるか興味深いといったところです。
しかし、この間の3月に日本弁護士連合会の会長に就任した宇都宮健児弁護士(年越し派遣村名誉会長、反貧困ネットワーク会長)の言及からもあるように、家賃のデータベース化により、貧困層がより住宅を借りにくくなることを懸念しています。このことは現在でも特定非営利法人自立生活サポートセンターもやい(稲葉剛 理事長、湯浅誠事務局長)やレントゴー保証株式会社を中心に設立され一般社団法人賃貸保証機構も同じく懸念しています。
さらに経営悪化や信用不安の影響にかんしては業界最大手であったリプラスの自己破産が大きく影響していると述べており、この影響を無視するわけにはいかないとのことです。
特別企画:家賃債務保証会社26社実態調査
2009年の収入高合計、前年比47.0%増の
215億8600万円
はじめに>>
家賃債務保証会社は、家賃債務の保証を家族や親族等に求めることが困難な人などに対して、そのサービスを提供することで、社会的なニーズを満たしてきた。
しかし、家賃債務保証会社などによる「追い出し屋」が社会問題となるまでは当業界には監督官庁がなく、ようやく国土交通省が実態調査に乗り出し、第174回通常国会(2010年1月18日〜6月16日)において「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」が成立する見込みとなった。
帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(127万社収録)の中から、2009年の収入高、当期利益、所在地、設立年月、資本金が判明している家賃債務保証会社26社について調査分析を行った。同種の調査は2009年4月に続いて2回目。
◇「家賃債務保証会社」は、売上高のうち、不動産賃借人からの保証料収入が当該会社の収入の最大比率を占める会社で、不動産賃借人との間で保証委託契約を締結する会社。不動産転貸借のサブリース会社は除く。
◇賃借不動産は居住用がほとんどだが、一部には店舗・オフィスなど業務系不動産も含む。
◇2009年収入高は、2009年の1月から12月までの間に決算した会社。利益、2009年他の年収入高も同じ。
なお、一部で推測値を含む。
◇12ヵ月ではない変則決算の収入高は、年換算した。
◇設立時期は、原則として法人格が成立した日としたが、休眠期間がある場合は再開した年月。
◇資本金は、2010年4月1日時点。1000円未満は切り捨て。
調査結果>>
家賃債務保証会社26社の2009年収入高合計は、約215億8600万円
2009年の家賃債務保証会社26社の収入高合計は、対前年比47.0%増の約215億8600万円。
家賃債務保証会社26社のうち最も本店が多く所在するのは、東京都の17社で約65%。
家賃債務保証会社26社の平均業歴は、8年5ヵ月。
家賃債務保証会社26社の資本金額合計は、41億6627万5000円。
※調査結果詳細は添付の関連資料を参照
まとめ>>
個人世帯の増加や家族関係の希薄化を背景に、賃貸住宅に関する家賃債務保証サービスへのニーズは高まっている。
しかし、経済環境の悪化などにより家賃の支払いが遅れる賃借人が増加し、代位弁済が急増したこともあり、2008年9月に業界最大手の(株)リプラス(東証マザーズ)が自己破産を申請。(負債約325億7057万円)2009年7月に(株)リアルコ(東京都)が自己破産を申請(負債約1億9800万円)、2009年12月には(株)八丁堀保証(旧:(株)S−net、東京都)が自己破産を申請(負債約1億2000万円)、(株)さわやか保証(旧:(株)スピードネット、東京都)も自己破産を申請(負債約2億7000万円)するなど、家賃債務保証会社に対する警戒感を高めた不動産賃貸業者は、系列の保証会社を設立したり、関連会社に家賃債務保証を行わせたりするなどの対策を取っている。この場合、支払いが正常若しくは延滞発生の可能性が少ない賃借人は自社系列で保証し、相対的にリスクの高い賃借人は外部の家賃債務保証会社に保証委託をすることになるので、独立系を中心とした家賃債務保証会社は、リスク管理のために合従連衡による規模拡大や賃借人のデータベース化を推進することとなった。
賃借人のデータベース化については、「ハウジングプア」を増やす可能性が指摘されており、昨年11月に日本司法書士会連合会が会長声明で中止を求め、今年3月には日本弁護士連合会が会長声明で反対しているが、一方では入居を謝絶されがちの外国人などの間では、正常な家賃支払履歴を示すことにより借りやすくなることを期待する向きもある。また、賃貸人も悪質な賃借人を排除することが期待できることから、その評価は一定ではなく、第174回通常国会(1月18日〜6月16日)において「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」が成立する見込みで、すでに2月から一部企業が運用を開始している。
信販会社は家賃決済サービスに力を入れており、カード会社も家賃債務保証会社との提携などで進出を図っており、業界規模は拡大傾向にあるが、いわゆる「追い出し屋」の存在も指摘されており、住宅の確保という基本的人権について公的支援の一層の充実が望まれる。
● 関連リンク
(株)帝国データバンク ホームページ
http://www.tdb.co.jp/
● 関連資料
調査結果詳細
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0249161_01.pdf
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=249161&lindID=5
(2010/4/15/日経プレリリース)
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