●長引く不況が続けば当然、消費も低迷します。不動産業界(賃貸)も他の業界となんらかわりません。
賃貸業界は借り換えによって収益を伸ばし、またそれに付随する引越業者もその恩恵を受けます。
それがないということであれば、企業の業績は悪化します。
したがって、お互い経営統合をしてスリム化や相乗効果をねらうという形をとります。
ここではCHINTAIとエイブルが統合するということになっていますが、元々この二つの会社は源泉が同じということもあり
統合をしやすい環境にあったのかもしれません。しかし分社独立して長い間それぞれのゆく道をたどっているだけに、統合も一筋縄ではいかないようです。
長引く不動産不況は、賃貸住宅業界をも疲弊させている。
賃貸仲介のエイブルと不動産情報のCHINTAIは13日、経営統合すると発表した。11月に株式移転方式で共同持ち株会社「エイブルCHINTAIホールディングス」を設立し、両社が傘下に入ることになる。
「一体化により、仕入れ・集客・仲介の連携が一段と加速してシナジーが発揮できる」。会見の席上、エイブルの平田竜史社長は統合の狙いをこう説明した。有力な賃貸情報誌『CHINTAI』と、仲介業の直営店舗数で業界トップのエイブル。一見すると強力なタッグに見えるが、額面どおりには受け取れない。
そもそもCHINTAIはエイブルから派生しており、両社の実質的な筆頭株主は同じ。現在、CHINTAIの物件広告のうち「60%がエイブルの物件」(CHINTAIの手塚清二社長)と依存度は高い。はたして規模拡大によるシナジー効果をどこまで出せるのか疑問だが、会見で具体策が説明されることはなかった。
ここ数年の賃貸仲介業は頭打ちで、競争は激化している。両社とも業績が伸び悩んでおり、危機感が統合へと背中を押した格好だ。
管理業でも競争激化
これまでは核家族化に伴う世帯数増加から、少子化でも賃貸ニーズは拡大するといわれてきた。しかし長引く景気低迷が、業界の見方を覆した。
まず、所得の伸び悩みを背景に住み替え意欲が低下。地方出身の学生に対する親からの仕送りも減少傾向で、家賃の低下も続く。当然、付帯事業である引っ越しや室内リフォームも低調で、業界は契約件数減と仲介手数料の下落という二重苦に見舞われているのが実情だ。
そのため現在、各社は薄利ながらも手堅く稼げる家主に対する管理サービスの強化へ軸足を移しつつある。エイブルも集金管理などの管理業務の拡大に意欲的だ。しかし同業のスターツコーポレーションが24時間体制でトラブルを受け付ける独自サービスを展開しているように、差別化が求められている。
今後は業界全体で管理戸数の獲得競争が強まる様相にあり、M&Aの加速が予想される。今回の統合も、生き残りを懸けた再編が待ったなしの状況を示している。
■エイブルの業績予想、会社概要はこちら
http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/1fa82b06440179d39b4780bae22eb2dc/page/2/
(2010/4/23/週刊東洋経済)