● SFCG事件での強制捜査(逮捕)が行われてから1週間が経とうとしています。元々貸金業というものは、本来銀行がメインで行うものですが、銀行サイドからみると、やはり、一般の市民から預貯金を預かっている関係上、資金を貸すところも安全なところと必然的になってしまいます。東京都の主導で「新銀行東京」という銀行がありますが、通常の銀行の方法と違い、担保や企業規模や経営状況ではない見方で中小企業を応援していた部分がありますが、やはりリスク管理という部分は甘すぎてしまう結果となったため、銀行自身が経営悪化という始末になってしまいました。そう考えると、こういった貸金業は中小企業にとって「かつては強い味方となっていました。しかし、先に申し上げた「新銀行東京」と同じく、リスクの高い中小企業にも融資するために、取っぱぐれも少なからず発生します。
そうなるとSFCGやロプロ(旧 日栄)などの一民間企業は当然、回収に徹しなければ自身も倒産を被るわけです。今回こういう事件に発展したのも大島健伸元代表の性格もあるかもしれませんが、こういった業界体質はなんとか改めることも今後の国の重要課題ともなることに違いありません。
社説:SFCG事件 巨額の資産隠し解明を
破産手続き中の商工ローン大手「SFCG」の元社長、大島健伸容疑者ら4人が、巨額の資産隠しをしていた疑いで警視庁に逮捕された。
経営破綻(はたん)したSFCGが昨年2月に東京地裁に民事再生法適用を申請する前、同社が保有する不動産担保ローンの債権約420億円を元社長が実質支配する親族会社に無償譲渡し、資産を不正に流出させた疑いだ。
破産管財人の調べでは、破綻前に2670億円のSFCGの資産が元社長の親族会社などに流れていた。この間、元社長は、月額2000万円の役員報酬を9700万円に増額したことも判明している。
SFCGは08年9月、資金調達先だった米証券会社リーマン・ブラザーズの破綻で資金繰りが悪化し、その後、強引な貸しはがしで世間を騒がせた。昨年2月、民事再生手続きの開始が決定したが、その後、日本振興銀行へ債権を二重譲渡していたことが判明し、手続きは打ち切られ破産手続きに移行していた。
民事再生は、10年前にスタートした再建型の倒産制度だ。経営陣は引き続き経営に携わることもできる。元社長は資産を流出させる一方で、経営者として残り、自らの影響力の保持を図ろうとしたのだろうか。債権者を裏切った罪は重い。
SFCGは、元社長が78年に「商工ファンド」として設立した会社である。中小企業向けの融資で業界最大手となり99年には東証1部に上場した。しかし、過剰融資や連帯保証人からの暴力的な取り立てなどが社会問題化し、同年、国会で元社長は証人喚問を受けた。
外資から調達した資金を高利で貸し出す手法で業績を伸ばした。だが、SFCGは問題行為を繰り返す。資金を貸し出す際、契約者の了解を取らずに不正に公正証書の委任状を取得していたとして、05年には金融庁から業務停止命令を受けた。近年は、貸金業法の改正でいわゆる「グレーゾーン金利」が撤廃され、過払い利息の返還訴訟が相次ぎ、経営環境が悪化していた。
ワンマン創業者として君臨した元社長は、海外のタックスヘイブン(租税回避地)を舞台にした節税対策にも熱心だったとされる。03年には、関連会社分などを含め東京国税局に100億円以上の申告漏れを指摘されたこともある。
経営破綻の裏側で行われたとみられる例のない巨額の資産隠しだ。警視庁には徹底的な捜査を求めたい。
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毎日新聞 2010年6月19日 2時30分
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100619k0000m070121000c.html
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