この事件は、およそ5年前に資金繰りが悪化したことにより「民事再生法の適用申請」を東京地方裁判所に申請したのが事件のそもそもの始まりでした。翌年6月には破産、その翌年の平成19年3月には代表の佐藤賢治元代表と関連会社の熊本徳夫元代表と坂上好治元取締役が逮捕・起訴されたという事でした。しかしこのころ刑事訴訟法の大きな改正があり、「公判前整理手続」という方法が入ってきたため、起訴してから直ぐに公判が始まるわけではなく、その1年後の平成20年に関連会社の熊本徳夫元代表と坂上好治元代表の公判が先にすすみました。そして、佐藤賢治被告人はその年の10月に第一回公判が東京地裁で行われ、翌平成21年に関連会社と平成電電本体の佐藤賢治被告人に懲役刑が言い渡されました。そして3被告人とも控訴し、その結果は全て控訴棄却の判決が言い渡されています。
元々この会社はインターネット企業から電気通信事業への転換を図り、マイライン事業という長距離電話の本道の部分を自社で調達した光ファイバ路線を通すことによって、NTTより格安に電話サービスを提供するという事を展開していきました。そこまではよかったのですが、その後自宅からNTT局舎までの電話線を借りて、最初から最後まで自社の電話サービスをてんかいするという「直収線事業」に入り込んでいきました。しかし、この事業はマイライン事業とは違い、膨大な設備投資が必要となったため、当初の目測より資金調達が必要となりました。
また銀行もこういったベンチャー企業には融資することはすくないので、自社で資金を調達するという「直接金融」という方法を用いました。その手段が「匿名組合(平成電電匿名組合)」という方法です。
投資不動産会社が資金を調達するための私募ファンドと同じ仕組みをとっています。
「平成電電」元社長、2審も有罪
破綻(はたん)した通信ベンチャー「平成電電」の巨額詐欺事件で、通信設備への投資名目で出資金をだまし取ったとして詐欺罪に問われた元社長、佐藤賢治被告(59)の控訴審判決公判が6日、東京高裁で開かれた。中山隆夫裁判長は懲役10年とした1審東京地裁判決を支持、弁護側の控訴を棄却した。
中山裁判長は、佐藤被告が事件を主導したなどとする平成電電関係者の証言を「信用性が高く、佐藤被告に詐欺の故意が認められる」と指摘。「犯行態様は悪質で被害回復もされていない」として、1審判決を支持した。
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判決によると、佐藤被告は平成17年8月、関連会社の幹部と共謀し投資家30人から計3億6千万円をだまし取った。
関連ニュース広告掲載した新聞社の責任認めず 平成電電事件で 東京地裁
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100906/trl1009061522015-n1.htm
(2010/9/6/MSN産経ニュース)