● 年金の運用方法にかなり偏ったことにより大きな損失が出てしまいました。
不動産投資というのは、ミドルリスク・ミドルリターンということを言われていますが、この九州石油業厚生年金基金については、少しハイリスク・ハイリターンを狙った運用方法ではなかったのだろうかと思っています。
この大きな影響は2008年のリーマンショックによるものらしいのですが、年金運用という特殊性を考えてみれば、安全性をやや重視すべきだったのではないでしょうか。
こういう投資や運用は損失が大きくなるとやはり揉め事は止むを得ない状況になると思います。
ポイントとしては当然「重要事項説明」というものを双方とも交わしていると思いますので、その記載内容がしっかりおこなわれていたかどうかという事がポイントとなります。
2011年1月1日 16:59 カテゴリー:社会
▼426社加入の九州石油業基金
九州でガソリンスタンドなどを経営する426社でつくる九州石油業厚生年金基金(理事長・出光芳秀新出光社長、加入する従業員約1万800人)が、不動産ファンドへの投資で約263億6千万円の損失を出したことが分かった。同基金は、運用を信託したりそな銀行(大阪市)を相手に「不動産に偏った投資方法に問題があった」などとして損失額の賠償を求め、12月28日に大阪地裁に提訴した。ただ年金への影響は避けられず、加入者が退職後に受け取る給付額を減らす方針。 不動産ファンドは投資家から集めた資金で不動産を購入、転売や賃貸で得た利益を還元する。同基金関係者によると、2003年ごろから、りそな銀行を通じて不動産ファンド6件に投資した。
08年の金融危機以降は転売益が出ず、特に東京のオフィスビルなどを購入した2件は、10年3月時点で投資した計280億円のうち、263億6千万円の損失が発生。09年3月に約700億円あった基金の総資産は1年で約400億円に減少した。
このうち不動産(約140億円)は、不動産ファンドとの契約で、売却益が金融機関に優先して配分されるため、売れ残った物件が安く売れると基金側の取り分はほとんどないという。「実質的な資産は約260億円しかない」と基金関係者は明かす。
基金側の弁護士は「不動産ファンドへの投資は総資産の5割を超えており、年金資産の運用としては問題がある。元本欠損の恐れのある商品の危険性や仕組みの説明も不十分で、金融商品販売法違反に当たる」と、りそな側の過失を主張する。
同基金が現在の年金給付額を維持するには年約23億円の運用益が必要だが、運用益がなければ、実質的な総資産260億円を取り崩さなくてはならず、計算上はあと11年程度しか給付を続けられないという。このため、同基金は10年2月、加入事業者の掛け金を1・8%引き上げた。
さらに将来の不足に備え、加入者に支払う年金のうち国民年金と厚生年金への加算部分を50%削減する方針。現在の年金受給者約1万3千人への影響は今のところないという。
りそな銀行の持ち株会社である、りそなホールディングスの広報担当者は取材に「訴状を受理していないのでコメントできない」と話した。
●厚生年金基金
=2011/01/01付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/218573
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