●アーバンエステートの続報です。
こういった大規模な消費者被害が発生した時は、当然被害者個々が被害回復のために、会社なりその関係者へ被害の弁済を求めて行動をします。しかし、相手の会社の状況によっては、被害の回復は困難になってしまうことが多い事も少なくありません。
ましてやその相手の会社が「倒産」という事になれば、被害の回復は著しく困難な状況になります。「倒産」という言葉は法律用語ではなく、世間一般の俗語となっています。「倒産」という言葉の起源は企業調査会社の「東京商工リサーチ」が業務の中で最初に使い始めたと言われています。
「倒産」というと会社の事業を閉鎖する「破産」とイメージされることが多いのですが、「民事再生手続中」など、債務の権利を制限することにより会社の再生を図るということも「倒産」ですし、銀行の取引停止(2回目の小切手の不渡り発生)も「倒産」という事になっています。一般的な「倒産」の開始は裁判所が関与する事件つまり「民事再生法適用申請」と考えられています。この裁判所が関与しはじめると、今までは自由に返還請求ができた債権者はかなりの規制を受けます。
少々脱線しましたが、話は戻り、アーバンエステートは、2008年12月には倒産(経営破綻)の状態であったということになります。
そうなると前者の説明通り、住宅を完成して引き渡すはおろか、着工できなかった時の支払金の返金もできない状態だったという事になります。うるさい顧客(債権者)は、倒産(民事再生法適用申請)前に、何度も足を運んで
しつこく返還を求めます。過去の例だと、こういう風におこなった債権者は、倒産後(民事再生後)の返還請求に比べて、かなりの額の返還が受けられていることも少なくありません。一個人の力ではどうにもならない時は、なじみのある弁護士などを通して返還を達成することもしばしばあります。むしろ「弁護士」を使った返還手段の方がより効果があることが多いです。
その方法の一つとして、弁護士が作成する被害者の会(被害対策弁護団)の存在があります。被害者の会は基本的には法人組織ではなく、任意団体(サークル)になります。弁護士が作る被害者の会は、被害におけるその手の得意分野である弁護士が、手を挙げて行う方法や、弁護士会(埼玉県では埼玉弁護士会)に届く声により、その会長やその幹事弁護士が推薦する弁護士を弁護団長にするなどの方法がございます。
また、被害対策弁護団は破産管財人などの弁護士と違い、目的が、被害者の被害回復を主眼に置いています。監督委員弁護士(民事再生法の場合)・破産管財人(弁護士が非常に多い)も被害の回復を試みてくれますが、倒産処理を主眼においていますので、被害回復はどうしても二の次となってしまう事が少なくありません。
倒産後の返戻は破産の場合債権額の1%とかそういった数字となることが非常に多いです。
アーバンエステートは、残余財産が先に報じられた通り非常に少ないこともあり、先に支払が優先される、公租公課や従業員の労働債権(未払い給与)があるため、残余財産からの返戻(配当)の期待は難しいです。
そのため、(アーバンエステート被害対策団を代理人とした)民事訴訟での被害回復が少しでも行えればということで被害回復を図っていただければと思います。委任した被害者も大変かと思いますが、ブログ等を持っている方はその情報や状況を多くの人に知らせて、世間を注目させることがこの被害回復への大きな一歩であることが間違いないと今までの経験則から言えることです。
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アーバンエステート詐欺:「前払い金狙い集客」 被害対策弁護団が会見 /埼玉
09年3月に破産申請した川口市の注文住宅販売会社「アーバンエステート」による詐欺事件で、被害対策弁護団が6日、さいたま市大宮区の弁護士事務所で会見し、ア社の実質的経営者で元会長の永井昭四郎(61)ら4容疑者=詐欺容疑で逮捕=について「前払い金を狙って顧客を集めていた」と強く批判した。
さらに、08年4月以降、永井容疑者が月500万円の報酬を受けたり、ア社が永井容疑者の元妻が経営する飲食店に2000万円を出資していたことにも触れ、「多額の広告費を使って顧客を集め、前払い金を建築費以外に使っていた」と非難した。【飼手勇介】
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アーバンエステート:前払い金「最低200万円」
毎日新聞 2011年1月7日 地方版
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