●ここリーマンショックのあった2008年9月を堺に、倒産のニュースは勿論のこと、毎日就職難や転職の話題がつきることはありません。日本航空を退社して違う所へ転職するとしても、日本航空より労働条件の良いところはみつかりません。それに仮に条件がかなり悪いところへ行ったとしても果たして、日本航空で勤めていたことがどれだけ他の業界で転用できるかも未知数です。またOBの退職年金基金も減算されるとう状況においこまれてきて、最後は裁判所が関与する倒産の会社更生手続という状態となってしまいました。
そこで最も問題になるのが、人員の削減になります。日本航空が「破産」ということであれば、従業員の意思をとわず事業所が閉鎖するのだから、解雇せざるを得ないので、だれもが納得することに収まります。
しかし、事業再生型の民事再生や会社更生法となると、全員を解雇してしまうと何も残らないから、必要な人材だけを残さざるを得ない状況です。
こういった問題は、日本航空だから会社更生手続き開始決定後でもこのような事が行えるのですが、多くの企業は、倒産(つまり民事再生)前から、融資銀行の圧力などもあり、この人員削減は徐々におこなっていくことであります。
通常解雇は「普通解雇」といって、能力がない(これがもっとも大きな理由)ということで会社が解雇することができるのですが、通常安易な事で解雇をすることはできません。従業員が「解雇」を言い渡されて、従業員がそれを文句なく受け入れれば、「解雇」は基本的に成立します。しかし、従業員が「いや解雇はおかしい」と反論すれば、お互い話合う余地がないとなれば、「裁判」にて決着することになります。
この裁判は「解雇無効確認」の裁判といい、従業員が解雇された事実(主に書類など)を添えて裁判所に普通の民事裁判として行うような形となります。
また最近の法律の改正で「労働審判」という制度が平成18年4月から開始され、裁判の前の段階の迅速な解決法となっています。大体3回で決着がつくといいますが、その結果にどちらかが不服となった場合は、その審判は裁判所に提訴することによって無効となります。
「整理解雇、違法で無効」日航の元社員146人が提訴2011年1月19日18時40分
.整理解雇の無効を訴えて日本航空を集団提訴した原告ら=東京都千代田区の東京地裁前
解雇撤回を訴え、ビラを配って支援を求める日本航空元社員の原告ら=東京都千代田区の東京地裁前
提訴後の記者会見にも100人以上の原告が集まり、解雇無効を訴えた=東京都港区
訴えでは、解雇に至るまでの会社側の対応について、「人員削減の目標設定に合理性がなく、労組が提案したワークシェアなどの解雇回避措置もとらなかった。病気欠勤や年齢を人選基準としたのも合理性がない」などと主張。「整理解雇の4要件」を満たしておらず、法的に無効な解雇だとしている。
提訴は、パイロットでつくる日本航空乗員組合と、CAでつくる日本航空キャビンクルーユニオンが呼びかけた。手続き上は、パイロットとCAに分かれ、二つの集団訴訟を進める。
日航はちょうど1年前の昨年1月19日、会社更生法の適用を申請した。日航と管財人の企業再生支援機構は同8月末、今年3月末までに約1万6千人のグループ従業員を削減する更生計画案を地裁に提出。その一環で約1500人を目標に日航社員の希望退職を募った。
その結果、全体では社員1700人以上が希望退職に応じたが、会社側は、パイロットとCAの退職者は目標を下回ったとして、昨年12月31日付でパイロット81人、CA84人の計165人を解雇した。
提訴後に記者会見したパイロットの原告団長山口宏弥さん(58)は「私たちをコストでしか考えず、技術の高さや経験の蓄積を見ていない」と会社側を批判。CAの原告団長内田妙子さん(57)は「一日も早く職場に復帰し、再建に取り組みたい」と訴えた。
19日に記者会見した日航の稲盛和夫会長は集団提訴について、「大変申し訳ない気持ちでいっぱい。断腸の思いだが、1年たたず、更生計画をほごにするのは再生にプラスにならない。誠意を持って皆さんと話していこうと思う」と話した。また、大西賢社長は「(整理解雇の)4要件は十分、満足するように進めてきた」と述べた。
http://www.asahi.com/business/update/0119/TKY201101190353.html
(2011/1/19/asahi.com)
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