●林原の続報です。林原が上場しなかった理由は、不動産やその他の特許権利だけでも資金調達は充分可能という理由から、また同族企業を維持したい理由から上場はあえてしなかったとのことです。
しかし「会社更生法」という透明度の高い再建方法であると、今後本文で「粉飾決算の可能性」が言われているとおり、刑事事件にまで発展する可能性は高いものと考えられます。
ここで重要なのは「債権者」に対してどこまで弁済ができるかということです。民事再生法の弁済率はあの粉飾上場企業の新潟県長岡市の機械メーカーのプロデュースでさえも46%程度の弁済率が行えたのだから、林原もこのくらいまでは行えるのだろうと考えている人も少なくないのかもしれません。しかし「粉飾決算」でしかも非上場でかつ同族企業という身内のものだけに「意外な弁済率」が登場するかもしれません。負債総額1300億円というと過去に粉飾で倒産した電気通信事業の平成電電株式会社(こちらも負債総額1300億円)と類似した部分の展開も考えられます。
粉飾決算「昭和の時代から」 バイオの林原、更生法申請
甘味料の天然糖質トレハロースの開発や抗がん剤インターフェロンの量産で知られる岡山市のバイオ企業、林原(はやしばら)とグループ2社が2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。引責辞任した林原健・前社長(69)が「最も重要な透明化ということを忘れて、事実と異なる極めて不適切な会計処理を行った。昭和の時代から続けてきたこと」と粉飾決算を認めており、今後刑事事件に発展する可能性もある。
林原は私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)による再建を目指していたが、急きょ法的整理に転換した。2日に東京で開いた債権者の金融機関向けの説明会でADRについて理解を求めたが、一部の金融機関が強く反発、私的整理が断念に追い込まれたためだ。負債総額は約1300億円。
更生法申請代理人の森倫洋(みちひろ)弁護士によると、粉飾は1984年以降続いており、売上金や売掛金の水増しなどは288億円に上るという。
昨年11月、資金繰りに窮した林原が主要取引先の金融機関に不正経理の実態を報告。メーンバンクで、林原が大株主でもある中国銀行(本店・岡山市)などがADRでの再生を検討していた。しかし、中国銀などが他の金融機関に先駆けて林原から担保を取るなどしていたため、金融機関の間で足並みが乱れたとみられる。
今回、林原が債権者集会で粉飾を認めたことで刑事事件に発展する可能性もあるほか、メーンバンクを中心に、銀行側も過剰な貸し付け行為がなかったかなど問題が広がることも予想される。
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