●ここ数日は「武富士」の過払い金返還訴訟の話題で持ちきりですが、他の消費者金融も武富士同様に「過払い金返還請求」はされています。
今、債務整理や自己破産などを得意とする、法律事務所や司法書士事務所(破産した「ミレニアム司法書士法人」は不動産投資やその事務が得意としていましたが)がこぞって「過払い金請求」のキャンペーンなどをうたっていますが、それだけ「過払い金」の請求事務は、安定した収益となっています。この傾向はまだまだ続くのかと思います。
「消費者金融」(サラリーマン金融・略称「サラ金」)は一体何のためにあるのか。疑問に思っている人も少なくないと思います。収入が安定していて、貯蓄もしっかりしている体質の人は、消費者金融というのも必要がないのかもしれません。
それは、「借りる人」(つまり需要)があるからです。消費者金融の存在意義がよかろうと悪かろうと、需要(借り手の消費者)があるから、供給(貸し手の消費者金融)があるのです。
よく「銀座(東京都中央区)は土地の購入価格は高いから、その近辺の飲食店の値段も当然高い」とおっしゃる方がよくいます。確かに結論としてはそのような事になってしまうのですが、経済学の論点からすると、その解答の理屈は「不正解」とのことです。
そう考えると、消費者金融での価格とも言える「利息」は、需要と供給の妥協点と考えると、今の上限利息より高い部分をとっていたという事もその時のお客とお店の力関係も含めた利率での決定もなされるのだと思います。
それが、今までそう言ったところが「グレーゾーン」だったけど、最近の最高裁判所の判決などで、きっぱりと、「貸付利息でこれ以上取るのは違法」となったので、もしかしたらその当時の「市場利息」にはあっていたのかもしれませんが、国家の第三者の司法が「それは人間としていけないことだ」とはっきり人為的に決めたので、多くの向こう5年間等の利用者が過払い金返還請求をしだしたというわけです。
消費者金融にとっては、以前の「グレーゾーン金利」の体制で、会社の今後の年間計画や店舗の運営や転職・再就職の受け入れも行なっていたわけですから、その影響は計り知れません。
だから、私としては市場や経済のメカニズムのみからすると、最高裁判所の判断には疑問点もあるのですが、それ以上に、消費者金融(武富士・アイフル・アコム・プロミス・レイク・三和信販 他)や事業者金融(ロプロ・SFCG)の過去に起こしたトラブルや回収の仕方を考えると、「人間としてあるべきではない」という倫理の点も考慮した司法の判断となったわけなので、その結果が「過払い金変換請求」や「過払い金返還訴訟」となって利用者の利益と企業への社会的制裁となっているのです。
だから消費者金融や事業者金融が倒産(民事再生・会社更生・破産)となっても、銀行や東京電力のように国は助けはしないし、倒産関連の法律に則して淡々と処理が行われる訳です。
そこで、それらの「試練」に耐えてきたのが、アコムという事になります。アコムはかつては独立系の消費者金融でしたが、財務状況の悪化などがあるとそこにスポンサーとして三菱UFJフィナンシャルグループが支援して資金繰りや株も持ったりして、安定した消費者金融となってきたわけです。当然三菱UFJ側も個人融資は利益率が高い事業なので、そのお互いの目論見も当然一致しているから、そのような連携ができているのです。
これは、プロミスがSMBC(三井住友グループ)と連携しているのも同様の理屈です。
JPモルガン証券は7月4日にアコム(8572)の投資判断を「Underweight」→「Neutral」に、目標株価も1,190円→1,400円に変更した。
5月の利息返還請求は4月よりもさらに下がり、昨年の夏の水準まで減少した。
総量規制導入から約1年半がたち、武富士の破綻もあった中で、利息返還請求をする既存客の属性がかなりわかってきたようだ。アコムでは利息返還請求の発生確率を顧客属性ごとに予測しやすくなってきたようで、会社側の現在の利息返還引当金の水準に対する確信も高まっているようだと解説。
ただし、貸付金がどこまで減少するかにはまだ不確実要素が多い点には注意が必要と述べている。(W)
[NSJショートライブ 2011年7月5日 12時58分 更新]
http://mainichi.jp/life/money/kabu/nsj/news/20110705262519.html
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