2011年09月13日

大阪地検隠蔽:大坪・佐賀両被告に対する冒頭陳述の要旨

●冒頭陳述の概要があるので記録として下記に残しておきます。



大阪地検隠蔽:大坪・佐賀両被告に対する冒頭陳述の要旨

 犯人隠避罪に問われた大阪地検特捜部の大坪弘道・元部長と佐賀元明・元副部長に対する冒頭陳述要旨は次の通り。(敬称・呼称略)

◇検察側◇

・元検事による証拠隠滅後の状況等

 郵便不正事件の元主任検事の前田恒彦は09年7月中旬ごろ、検事の国井弘樹にフロッピーディスク(FD)の更新日時を改ざんしたと伝えた。10年1月27日の同事件初公判で弁護人が証明書作成時期が検察側主張と矛盾すると主張し、マスコミも大きく報道。国井は不安に感じ、同日ごろ、公判担当検事の塚部貴子らに打ち明けた。

・犯行に至る経緯及び犯行状況等

 塚部と国井は1月30日に公判の主任検事の白井智之に改ざんを打ち明け、佐賀は30日午後5時ごろ、国井から伝えられた。佐賀は「ブツを変えるなんて聞いたことがない」と言い、同日夜、白井と国井の面前で前田に「FDのデータを変えたのは本当か」と電話で尋ねた。前田は「本当です」「6月1日から6月8日に変えました」と述べた。佐賀は故意の改ざんを認識し、電話の後「ちくしょう、何で前田はこんなことしちまったんや」と言って涙を流した。

 大坪は2月1日、佐賀の報告で改ざんを認識。公になればマスコミの激しい批判や内部調査、強制捜査が行われ、検察全体の信頼失墜が予想され、大坪、佐賀の地位を危うくするものだった。大坪はもみ消そうと考え、かん口令を敷くこととし、佐賀も了解し犯人隠避の共謀が成立した。

 大坪は白井から改ざんを早く検事正と次席検事に報告するよう強く求められた後、公判での暴露を懸念し、白井を追いかけ「早まったことをするな。公判で言うつもりなのか」と述べ、事実を告げることを禁じた。

 大坪は塚部らに改ざんを伝えた国井を厳しく叱責。「君は全く危機管理が分かっていない。表ざたになったら間違いなく前田はクビだ。逮捕されるぞ。大阪特捜もなくなるぞ。かん口令だ」と述べた。

 大坪、佐賀は2月1日、もみ消す方策を協議、過失でのデータ改変とすることを考えついた。佐賀は前田に電話で「過誤で説明つかないのか」と確認。前田は「それは説明つけられますけど」と述べた。同2日、大坪は国井に「もみ消しじゃないぞ。あくまで危機管理だ。今回の件は前田君のミステークでいく」と伝えた。大坪、佐賀は国井を伴い、次席検事に「確認作業中の過誤に過ぎない」と虚偽報告した。

 佐賀は8日、前田に虚偽の具体的な筋書きを考えておくよう指示。前田は虚偽の上申書案を作成し、10日に大坪、佐賀に提出した。

・犯行後の状況等

 前田は10年9月20日に大阪地検の内部調査を受けた。大坪は故意か否かは前田しか分からないとして、否認するよう前田に伝えることを国井に複数回指示し、前田にも電話で口止めした。佐賀も前田と国井に口止めした。

◇佐賀被告側◇

 佐賀は10年1月30日、前田から故意の改ざんの告白を受けておらず、電話すらしていない。同年2月1日に問題発覚後初めて前田に電話したが、佐賀は改変は過誤だというストーリーを聞かされただけで無罪だ。

 前田とこのストーリーを打ち合わせた国井の考えを端的に示すメールがある。発信は佐賀が何も知らされていない1月30日午前で「言ってもいないことをPS(供述調書)にすることはよくある。それも証拠を作り上げたり、もみ消したりするという点では同じ。前田を糾弾できるほどキレイなことをしてきたのかと考えると分からなくなる」と記述。国井は早くから改ざんを知り、過誤ストーリーが虚偽と知っていた。国井は最高検の捜査開始後、犯人隠避ストーリーを供述し、本件は立件された。

 佐賀は同日、塚部から改ざんを伝えられたが、国井の説明は「前田さんはやったともやらないとも取れる言い方をする」とあいまいだった。この日、佐賀は前田に電話していない。執務記録やメモにも記録は存在せず、電話履歴など客観的証拠も全く存在しない。

 佐賀は2月1日に前田に電話し、前田は「誤って数字を入力してしまった可能性がある。意図的ではない」と弁解。佐賀はありのままメモし、翌2日、大坪に報告した。大坪と佐賀は(改変前データを記録した)捜査報告書が公判部に引き継がれていることなどから、前田の説明通り過失の可能性が高いと判断した。

◇大坪被告側◇

 10年2月1日、大坪は佐賀から、国井が前田に電話で確認したところFDのデータが変わっているかもしれないと答えたことや、塚部が前田はデータの改ざんをしており直ちに公表すべきだと申し立てていると報告を受けた。大坪は白井、国井を呼んで報告を受けたが、データを直接確認したのではなかった。大坪は事実確認が最優先と考え「君らだけで軽々に行動するな」と諭し、佐賀に事実関係の確認を指示した。

 大坪は前田が故意に改ざんした可能性もあり得ると考え、暗たんたる気持ちだった。改ざんであれば、責任をとって辞職するしかないと覚悟も決め、家族へのメールにも「部下の責任をとって辞めることになるかもしれない」と記載した。2月2日に佐賀から前田が意図的でないと説明していると報告を受け、若干安堵し、家族に「前田のけん、何とか切り抜けれそうだ」とのメールを送った。

 大坪は直接的にせよ間接的にせよ、前田あるいは国井から故意の改ざんとは全く聞いていない。前田は改ざんが大坪らに発覚しないよう隠蔽(いんぺい)を続け、犯行が公になった後に責任を軽くしようと隠蔽が大坪と佐賀の指示だったと虚偽の供述をするようになった。国井は改ざんの秘密を前田と共有し、事実が明るみに出れば懲戒処分の対象となり、犯人隠避や証拠隠滅の共犯に問われかねない状況だった。過誤ストーリーは責任を免れようとする前田、国井によって考えられた。

毎日新聞 2011年9月12日 19時54分(最終更新 9月12日 20時11分)

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障害者郵便割引不正:証拠改ざん 犯人隠避、元大阪地検特捜部長が無罪主張−−初公判

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110913k0000m040069000c.html
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posted by 管理人B at 13:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 検察事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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