●この事件は「平成電電株式会社」へ機器をリースする会社「平成電電設備株式会社」及び「平成電電システム株式会社」へ出資した人の中で「新聞広告を見て」平成電電匿名組合に出資した人がその新聞社に対して「損害賠償請求」を求めている事件についての「最高裁判所」における判決になります。
平成電電(へいせいでんでん)とは、「新電電」と言われる安価な固定電話利用が盛んな、平成の初期に「インターネット」(名称は、トライネットインターナショナル)の会社が、電話の会社(この会社も「平成電電」と言います)を買収し、さらに「直収線事業」という利用者が固定電話の利用に関してNTT以外の会社と直接利用するサービスに乗り出したベンチャー企業です。
しかし、その「直収線事業」が、想像以上の設備投資となるために、一般の投資家から年8%から年10%利息を付けることを売り物とし、資金を募ることとなりました。そしてその総額が約900億円となったのですが、高利回りの配当をするために、新規の資金を募るという「自転車操業」が破産後発覚し、そのことが刑事事件へと発展した結果となりました。
その資金を募ることに関して、平成電電のリース会社は、大手の新聞会社(読売・朝日・日経)の3社に大々的に募集広告を載せたためそれを見て募集に応じた投資家(出資者)が、「損失を被ったのは新聞社が事前に怪しい会社かどうか調べなかったから悪いんだ」という主張をもって損害賠償請求をしてきたという事件となります。
実際に裁判所の判断としては、新聞社にはそこまで調べるような義務はなく、新聞広告の掲載をするのに過失はなかったという結論(判決)となっています。
話は変わり今「安愚楽牧場」に関して、雑誌社がその募集広告を掲載し、それを見て出資したという人も少なくありません。もし「安愚楽牧場」の賠償請求訴訟を起こしても勝ち目は薄いかと思いますが、それでもオーナー債権者が7万人(平成電電匿名組合の債権者は1万9千人)もいれば当然、わずかな数でも雑誌社を訴える人はいるはずです。安愚楽牧場被害者の会(安愚楽牧場被害者弁護団・安愚楽牧場被害対策弁護団)も「ファイトマネー」が入ると分かれば、やはり訴訟は起こすでしょう。
その時オーナーは、本当に勝つものなのか、やっても無駄な訴訟なのかという「見極め」が付けられるかということがとても大切な事となってきます。やる場合はそういう「敗訴リスク」をしっかりと見極めて参加することです。
平成電電新聞広告訴訟、出資者が敗訴、最高裁判所は上告を不受理〜安愚楽牧場被害者も同じ鐵を踏まないように。
平成電電広告訴訟、出資者が敗訴 最高裁が上告不受理
破綻(はたん)した通信ベンチャー「平成電電」の投資詐欺事件に絡み、出資者らが「新聞広告を見て出資したため損をした」として朝日新聞社などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(横田尤孝〈ともゆき〉裁判長)は、出資者側の上告を受理しない決定をした。22日付。出資者側の請求を棄却した一、二審判決が確定した。
ほかに訴えられていたのは、日本経済新聞社と読売新聞の東京・西部各本社。各紙が2003〜05年に掲載した平成電電の投資事業の広告が問題となった。
一、二審判決は、新聞各社がそれぞれ社内の審査部門などで広告を掲載するか審査していたと指摘。「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情はなく、読者に不測の損害を及ぼすおそれを予見するのは困難だった」と判断した。
http://www.asahi.com/national/update/0924/TKY201109240338.html(2011/9/24/asahi.com)