井上工業架空増資事件では、金融ブローカーが6人目として逮捕されました。
増資が本来ならば自社と全く関係のないところが負担するのが規則なのですが、自分のお金を渡しての増資で、しかもそれを(それ自体も悪いことですが)引き出してしまえば、多くの株主を欺いてしまうという結果となるのは当然のことです。
架空増資をしてしまうのも安易な考えですが、それを弱みに漬け込んでしゃぶり尽くす方はもっと悪いということになります。
倒産寸前の会社は経営者が資金調達に必至になり、あちこちから(違法ともいわれるようなところからも含めて)資金をあつめようとします。その中に「法外」とも言われる貸金利息をとるようなところもあるとい割れています。そんなところとも上場企業は絡んでしまうこともあるのです。
しかし、こんな不利なような結果をもたらすことを上場企業たる井上工業がやるであろうか気になるところですが実際は捜査の進展をみてみないとわからないことが多いです。
井上工業架空増資:大半残らず、すぐに引受先へ支払い〜倒産寸前の金策のため法外な貸金とも付き合っていたのか。
中堅ゼネコン「井上工業」(群馬県高崎市、破産手続き中)を巡る架空増資事件で、増資額として発表した18億円のうち、会社側が拠出して還流させた15億円以外の3億円も同社には資本としてほとんど残っていなかったことが関係者への取材で分かった。大半は、引受先の投資組合側に手数料などの名目ですぐに支払われたという。警視庁組織犯罪対策3課は、増資には全く実体がなかったとみている。
捜査関係者によると、井上工業は08年9月24日、金融ブローカーの奥村英(ひでし)容疑者(61)=金融商品取引法違反などの容疑で逮捕=が代表を務める「アップル有限責任事業組合」(東京都中央区)を引受先とする18億円の増資の実施を発表。このうち9億円を資本金に組み込んだとして登記していた。
しかし実際には18億円のうち15億円は自社の資金を還流させたとみられている。残りの3億円は、アップルが、ブローカーの前野森幸容疑者(50)=同=が役員を務める指定暴力団山口組系関係企業などから借りたうえで、井上工業側に支払った形を取っていた。しかし、増資翌日には井上工業側はアップル側に手数料として計1億8000万円を支払ったことが新たに判明。アップルは前野容疑者側に金の大半を戻したとみられる。
井上工業は翌月にも別のブローカーに紹介手数料として1000万円を支出。さらに別の約1億円も取引先への支払いなどに充てられており、増資後も同社の資本はほとんど増えなかった。【前谷宏、浅野翔太郎】
◇6人目を逮捕
組対3課は24日、新たに金融ブローカー、井筒雅信容疑者(64)を金融商品取引法違反(偽計取引)などの容疑で逮捕した。逮捕者は6人目。同課はほかにも関与したブローカーがいるとみて、調べている。
毎日新聞 2011年11月24日 15時00分
【逮捕時の記事】架空増資:容疑の井上工業元社長ら逮捕
【元社長一問一答】井上工業:架空増資容疑で元社長ら逮捕 疑惑関与を否定
【新株の半分が暴力団側に…】井上工業 新たに発行した1億5000万株
【引受先、暴力団と関係認識か…】井上工業元社長、架空増資計画の発表前に
【資金の流れにメス】井上工業破綻劇に新局面
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111124k0000e040074000c.html