2011年12月11日

安愚楽牧場のからくり 資金不足、新規契約で穴埋め、事業計画立案も融資交渉失敗 〜破産で様々なことが明らかに、破産管財人は、旧経営陣や東電へ賠償できる充分な可能性も。

安愚楽牧場が12月9日に破産手続きを開始することにより、様々な調べも始まることになります。調べの中で特に重視することは、やはりお金の流れ(財務内容)の精査です。
 ここにある「監査法人」の報告というものが、旧経営陣が依頼したものなのか、それとも現破産管財人(再生管財人の時も含めて)の依頼によるものなのかはっきりとなっていませんが、
 とにかく、監査法人が今までの事を調べているということになります。

 この報告により、当初はオーナーの資金で真面目に繁殖牛を調達しようとしたのだか、運転資金の調達を金融機関(JAなど)から行う事に失敗したので、現物の牛を少なくしてそれに充てなかったオーナーの資金を「運転資金」に使用したという言い方になります。
 併せて、その牛の調達計画も実際に牛がちゃんと産まれて育つという確実性の低い部分が実現することも必要ということもうたっています。

そのようなことを見ていくと、「自転車操業」であることはほぼ確実なものになっているので、和牛オーナーに対する契約違反は明らかになります。したがって旧経営陣への賠償ができる根拠となります。

 しかし、刑事責任については、当然あるものと予想はされるのですが、これだけでの資料では、刑事責任を問うのにはもう少し時間がかかるという事になります(それは、第一回の債権者集会までに破産管財人の手により今までの財務内容などをもう一度、精査する必要はでてくるのかと思います)
 特に刑事事件では、損害や被害の実態の他に、旧経営陣の「故意性」を明らかにする必要があります。その部分が今後の破産管財人の調査で明らかにしてほしいと思います。

  また、監査法人の報告には東電による影響もあるということですので、それをもとに破産管財人は東電には何らかの賠償請求をしていくものと見ています。
 以前にもお伝えいたしましたが、破産管財人は、刑事告訴まで行う義務はないし、大体の管財人はそこまで行う任務はないので、報告をもとに被害者が行うという事になります。

 今後はこういった今までには分からなかった事実が少しずつ明らかになるかと思います。









安愚楽牧場のからくり 資金不足、新規契約で穴埋め、事業計画立案も融資交渉失敗 〜破産で様々なことが明らかに、破産管財人は、旧経営陣や東電へ賠償できる充分な可能性も。

2011/12/11 18:46

 9日に破産手続きを開始した安愚楽牧場(栃木県那須塩原市)が、和牛オーナー契約収入のほとんどを、契約者への配当や解約金の支払いに充て、事業資金が慢性的に不足していたことが同社の資産内容を調査した監査法人の報告や元経営幹部の証言で明らかになった。同社は2009年以降に農林中央金庫などJAバンクグループや銀行から融資を受けようと、食品加工で稼ぐ総合畜産会社化を目指す事業計画を立案したものの、融資交渉は失敗。不足資金をオーナー契約の拡大で埋め、経営破綻を先延ばししていたようだ。

2011年3月期まで10年間の
キャッシュフロー計算書
(単位、億円)
オーナー契約 6164
食品加工、出荷牛販売 2132
繁殖牛買い戻し(解約) ▲3902
子牛買い取り(配当) ▲1505
オーナー牛育成費用 ▲1924
その他生産コスト
(自社牛育成費用など) ▲671
営業費用、本部費用 ▲272
助成金等収入 112
設備投資 ▲152
投融資 ▲36
※▲はマイナス、監査法人資料をもとに
作成
 ある元経営幹部は「減配や無配にすれば解約ラッシュが起きて、事業の継続はたちまち困難になる。事業を縮小均衡させて立て直すことは資金不足で選択できなかった」と語った。

 事業が実質的に赤字状態であるにもかかわらず、安愚楽牧場は和牛オーナーに対し予定通りの年4〜8%とも言われる高配当を続けていた。

 8月に安愚楽牧場が申し立てた民事再生手続きで同牧場の財産評定を担当した監査法人の報告によると、同社は2011年3月期までの10年間に和牛オーナー契約の新規獲得や更新で累計6164億円を集めた。

 一方で同じ期間中に、満期解約(繁殖牛の買い戻し)に3902億円かけ、配当(子牛買い取り)に1505億円を支出し、契約で集めた資金の9割近くが流出していた。牛へのエサ代や契約農場への預託費用など育成費1924億円の負担を加えると、この期間の和牛オーナー事業の資金収支は大幅な赤字だった。

 報告によると、安愚楽牧場は和牛の飼養頭数(破綻時約15万頭)を近い将来、26万頭にまで拡大、高い付加価値が見込める食品加工、飲食事業も強化する中期計画を作成していた。

 ただ、こうした計画の中身は社内でもほとんど知られず、「オーナー資金の返済負担から逆算した事業規模に過ぎない」(元幹部)ともみられていた。JAバンクや銀行も同牧場から受け入れた預金を担保とする限定的な融資にしか応じず、「交渉は失敗に終わった」(元経営幹部)という。

 安愚楽牧場が抱えた約4300億円の負債のうち、オーナーに対する負債(買い戻し条件付き契約残高)は約4200億円にのぼる。

 時価の10倍前後、1頭400万円以上もの値段で安愚楽牧場がオーナーに販売した繁殖牛の価値は、同社の経営破綻で暴落。9月5日時点での財産評定では、牧場、建物なども含めて資産総額はわずか132億円だ。

 和牛の処分が遅れれば、資産も飼料代に消えていく。東京地裁が11月8日、民事再生手続きの廃止を決定。破産が決まったのを受けて、安愚楽牧場は取引のあった飼料会社や契約農場などに対する和牛のまとめ売りを加速。畜産関係者によると、1頭数万円での処分が進んでいるもようだ。



 和牛オーナー制度のビジネスモデルも分析した監査法人の報告は「数年かけて返金するなら、保有牛が将来獲得する収益から滞りなく返金できた」と結論付け、経営破綻は「福島第1原子力発電所事故による放射能汚染の風評被害などで解約が殺到したためだ」とする経営陣の主張に一応の理解を示している。

 しかし、「返済能力あり」との判断は、母牛が年1頭安定的に子牛を産む優良牧場の成績を残すことが大前提で、安愚楽牧場の実態とはかけ離れている。安愚楽牧場は、繁殖事業の不振で慢性的な牛不足、資金不足に直面し、オーナー契約の伸びに見合う繁殖牛(母牛)を確保できない状態が続いていた。

 消費者庁も11月末、繁殖牛としてオーナーに販売した10万頭前後の牛のうち3〜4割は子牛など繁殖牛ではなかったとして、景品表示法違反(優良誤認)だと認定、違反事実の公表を同牧場に命じている。

 経営陣主導の民事再生手続きが廃止され、管財人主導の破産処理に切り替わったことで、経営陣の責任はあらためて検証される見通しだ。安愚楽牧場の厳しい経営の実情を知りうる立場にあった監督官庁や大口取引業者の責任を問う声も出ている。(編集委員 樫原弘志)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819490E2EBE2E68A8DE2EBE3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
(2011/12/11/日本経済新聞)
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この記事へのコメント
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Posted by !順子 at 2012年08月01日 06:52
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