普通東京電力の株主は主に市場で東電株を市場価格で購入するわけですが、震災が起きる以前に購入した株価と震災後の株価は福島第一原発事故(東京電力が運営)の影響で、東京電力自体が大きく損失を被るということになるので、必然的に株価が下落するということになります。
すると、株主は例えば3000円で買ったものが震災後150円迄下がってしまうと、株主は当然面白くありません。したがって、株主は会社(東京電力)にその責任を追及することになります。さらにやる気があれば、「株価が下がった損失を補てんしろ!」と東京電力に乗りこんでくることもしてきます。
しかし、「株式を購入する」ということは、会社の責任を負うということですから、東電経営者や従業員の行為が東電に大きな損失を与えたからといって、そう簡単には、会社の経営者や従業員に責任をとらせることはできません。倒産や天変地異による会社への損失も株式を購入する時には常識的に「リスク」として認識された上での購入となるからです。
福島第一原子力発電所の事故で、東京電力が巨額の損失を受けたのは、経営陣が安全対策を怠ってきたためだと主張して、株主たちが、歴代の会長や社長などに5兆円余りの賠償を求める株主代表訴訟を、東京地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、福島県の個人株主4人を含む東京電力の株主42人です。
株主たちは「福島第一原発の事故は、経営陣が津波や地震に対する安全対策を怠ってきたために起きた」と主張して、国の委員会が周辺で巨大地震が起きる危険性を指摘した平成14年以降、東京電力の会長や社長それに原発担当の取締役を務めた27人に対し、合わせて5兆5045億円を会社に賠償するよう求めています。
請求した損害の額は、会社の第三者委員会の報告に基づいて計算したということで、株主たちは事故の被害者への賠償金に充てるよう求めています。
原告弁護団の河合弘之弁護士は「日本では、経営者個人の責任を追及しなければ会社の体質は変わらない。裁判を通じて原発業界の集団無責任体制を是正したい」と話しています。
一方、東京電力は「訴訟に関する回答は差し控えたい」とコメントしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120305/t10013495641000.html
(2012/3/5/NHKニュース)