2013年04月30日

富士ハウス(静岡県浜松市)破産:損害賠償請求訴訟 賠償金減額し支払い命じる−−東京高裁判決〜刑事事件不起訴も判決へ有利な方向へ動いたのか。

1審で約5億円弱の賠償を勝ち取った原告側でしたが、被告側がこれを不服として、東京高裁に控訴した判決がでました。
2審(控訴審)の結果は1審の額の約1/5の金額で8900万円の支払いの判決となりました。
 つまり1人当たりの単純な賠償金額は1審判決では約1454万円、2審では269万円です。
 
 富士ハウスは建売住宅(注文して建築して完成したものを売る)の会社です。確保した土地の上に富士ハウスが建物を建てて、完成した時に、お客様(施主)に引き渡して、これで登記をして始めて自分のものになります。代金は契約する時に払うのですが、一括して払う(現金もしくは銀行からローンを組んで)という事はあまりなく、中途の完成毎に、1次支払い・2次の支払いなどと払っていくのが普通です。
 同様の事件で2009年に経営破綻となった「アーバンエステート」(埼玉県川口市)は、「特割」のようなものを示して、代金を全額払わせるようにして「ドカン!」と倒産(民事再生法の適用申請)へ持ち込んだことが記憶に新しいです。

 ここではどのような契約と引き渡しになっていたのかは詳細は知り得ませんが、原点に立ち返って考えてみると、本来なら「全額返却」+損害利息(年5%)というのが本来の筋です。でもそれはあくまでも「会社が生きていたら」という事に限られます。
 
 通常会社というのは株式会社や有限会社のような「有限責任」というのが普通です。それは会社法などの設立の精神から、何かあった時の責任は「会社」にあって「社長(代表取締役)」や「役員(取締役)」への個人的な責任は負わされないというのが「有限責任」の考え方です。
  ですから、加害企業が「倒産」すれば、その責任の所在は原則「チャラ」(無くなる)ということです。そのため、銀行などの金融機関が融資するのには慎重になり、融資する企業へは会社の規模や返済の可能性などをしっかり調査して「倒産しないでしょう」という企業にしか融資しないのが通常です。
 では、「あまり貸したくない」企業へどうやって融資を行うのかというと、会社がもしものこと(倒産がメイン)があった時のためその会社の連帯保証を社長個人が請け負うということをしています。むしろそういう風にして融資をするのが一般的になっています。
 となると、今回の富士ハウスの倒産で会社が銀行に返済ができませんという時は銀行は社長個人に押し掛けるということです。
でもお客様(施主)の場合は、殆どと言っていいほど、会社が倒産した時に支払ったお金を社長が肩代わりするということはありませんしそういった連帯保証契約をしないのが普通です。でも大きな買い物をするわけですから、会社ももしものことで倒産するようなことがあってもお客様に迷惑がかからないようにするという、不動産の保証(保証協会)のようなものに入っているのが普通です。

 今回の件は、先述のような所を一歩踏み入れて、会社が倒産したのは「役員等に故意もしくは重大な過失があった」という主張で賠償請求を行うというものです。「過失で倒産」というのは当たり前の話なので、これを認めてしまうと会社法の精神の「有限責任」というものの意味がなくなってしまいます。だから役員に責任を押させる場合は「故意または重大な過失」に限定されるとうことです。


  そこでは、倒産の認識が役員においてどの時点であったかが重要なポイントとなりました。
一審では2008年11月のリーマンショックが起きたばかりの時、二審では、2009年01月の融資元の銀行が「倒産しそうなんだから民事再生の専門の弁護士に相談しろ!」と言った時なのかというところに焦点があたったということです。

 よく見るとたった2か月の違いなのですが、2008年12月に契約した人においては、その前後の違いで、役員に責任があるかないかの所在が大きくかわるため、賠償責任の決め手としては重要なところになるのです。

 それから1審から2審の判決への判決へと後押ししたものは、「刑事事件不起訴」という事もこの判決に大きな影響をあたえたのではないかと思います。
 刑事事件は民事ではできない証拠を大きく掴んでくれます。でもそれが「無罪」とか「不起訴」ということになれば、その件について民事での被告側は、その件を大きく主張することができます。そういった部分も2審(控訴審)の判断を変えた可能性があります。

 


 富士ハウス(静岡県浜松市)破産:損害賠償請求訴訟 賠償金減額し支払い命じる−−東京高裁判決〜刑事事件不起訴も判決へ有利な方向へ動いたのか。



富士ハウス破産:損賠訴訟 賠償金減額し支払い命じる−−東京高裁判決 /静岡
毎日新聞 2013年04月26日 地方版

 破産した浜松市の住宅メーカー「富士ハウス」の旧経営陣に施主らが損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、ほぼ請求通りだった1審の賠償額約4億8000万円を大幅に減らし33人に計8900万円を支払うよう命じた。

 施主らは「破産必至だったのに集金を続けさせた」と主張。資金不足の予見性が争点で、1審判決は川尻増夫元社長が破産を予想できた時期を「08年11月」としたが、市村陽典裁判長は「主力取引銀行が事業再生を専門とする弁護士に相談することを勧めた09年1月」と指摘。この時期以前の損害の発生は認められないと判断した。

 原告弁護団の青山雅幸事務局長は「判決に怒りを禁じ得ない。一般人の感覚からかけ離れている」と話し、30日以降に弁護団会議を開き、上告するか検討するとしている。【荒木涼子】
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20130426ddlk22020169000c.html
(2013/4/26/毎日新聞)


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posted by 管理人B at 17:13| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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