2013年05月02日

質店偽装2社に保全命令、福岡地裁へ債権者破産申し立て〜「国庫仮支弁」という国が一時的に立替が認めた珍しい案件

年々日本は「高齢者社会」になりつつあり、その割合も顕著になってきています。そのため、15歳から65歳までと言われる「生産年齢」と言われる人口の割合もすくなくなって、65歳の高齢者を生産年齢の3人で支えるというような社会形態になってきています。65歳定年制になるとは言え、まだまだ中小企業では60歳定年制という形が多いのが現状です。
 そこで、高齢者にとって必要となるのが「年金」です。でもその年金は決して充分なものではありません。労働するにもいかなし、生活資金に困った時は、消費者金融へと借入を行う人も出てきます。それは決していいことではありません。消費者金融も企業規模を小さくしたり、銀行傘下となったりして貸し出しも慎重におこなっているところ
も少なくありません。だからもうここでも門前払いを食らった年金受給者は無登録の貸金業へと手を出してしまう人も少なくありません。

 その結果の一つがこの「質店偽装」の事件です。貸金業も近年大きく法律を改正し、貸出金利も制限をはっきりと設けたり、貸金業主任者という制度を置かなければならない法律も施行され、過大な利息で借主を悩まされるということは少なくなってきています。
 しかしそれは表で法律に則って営業している貸金業者であって、登録していない業者つまり「闇金融」ではそんなのはお構いなしです。
その被害者が一万人もいて合計八十億円もの被害をうけているのだから、今の「年金制度」や「生活保護」の制度は勿論、高齢者社会の国や自治体からの支援が充分でないことが浮き彫りにされます。

 さて、今回この「恵比寿」は何の会社なのかは知りませんが、「ダイキンエステート」というところは名前から「不動産業」になるかと思います。それが、なぜか無登録の貸金を始めだし、それが軌道にのったのでしょう。つぎからつぎへとお客がとりつき、大きな取り扱い金額ともなりました。
 それに「質屋」というのは「貸金業」とはまた違った法律があり、質草(お金を借りる担保となるもの)の価格から貸し出せる金額を割り出す事になるのですが、全く価値のない質草(例えば100円ショップで購入した消しゴム)を10万円と見立てて担保にして、10万円を借りるというような取り扱いで、貸金を行なっているということです。
 ですから、仮に消しゴムが10万円したとすれば、それと同じ評価額に近い対価で借りられますが、消しゴム自体に本当の価値がないため、無担保で借りて返済額は合計20万円となれば、利息は期間の計算もありますが1年後の返済であれば年100%の利率となります。これはもう法外利息といえるしかありません。

 結局そういうところから借りれば借主も自身が破綻します、その被害の声があがり、摘発となるとなり、返金をもとめられましたが、お金がなくて返済できないということで逃げ回っていましたが、この度の破産申立(債権者破産)で破産が実現しました。

 この破産をするのに「予納金(よのうきん)」というものを準備して、裁判所へ「破産申立」をこぎつけて、はじめて、裁判所で破産申立が審理されて「破産手続き開始決定」となります。それは、債務者自身が破産申立をすれば「自己破産」となりますし、債権者が申立をすれば「債権者破産」ともなるわけなのですが、それにはどちらかがその「予納金」をおさめなければなりません。会社で破産しようと思っている社長などは、債権者から詰め寄られて「ないない」とは言っても、しっかりと「破産するだけの資金」は隠しておくのが普通です。それをしなければ、ずっと債権者から「返せ返せ!」と詰め寄られるばかりです。それも用意できない債務者は「夜逃げ」をするか、「のらりくらり」でにげるだけです。

 ところで債権者破産においては、通常金融機関などの法人が多いのですが、今回の場合は借主の被害者というところです。ただでさえお金がないのに、破産申立の費用を準備しろと言われてもだせるはずがありません。そこで、国が一時的に立て替えてくれるという制度で、見事に実現したわけです。その制度の前にも「司法協会」のような裁判の費用を貸し付けてくれる機関もありますが、それはあくまでも「勝算」や「返済」が見込まれるという事に限るので、今回の件の場合果たしてその「予納金」相当の額を取り戻すことができ、司法協会に返済できるかといえば、難しいところです、そういうリスクがあるところには、貸すことなんかはできません。

 その難点を解決したといえるのが今回の「国庫仮支弁」ともいえるのだと思います。
裁判とか司法とか普通の生活にはあまり縁のないことかと思われている方も少なくないかと思いますが、一生のうちにこういった司法(事件)に関わる割合は決して少なくありません。他人事と思わず、少しは関心をもたれると何かあったときに被害の拡大は防げるかと思います。


質店偽装2社に保全命令、福岡地裁へ債権者破産申し立て〜「国庫仮支弁」という国が一時的に立替が認めた珍しい案件

質店偽装2社に保全命令、債権者破産申し立て

 年金を担保にした違法な融資で被害を受けたとして、「恵比寿」(福岡市博多区)、「ダイギンエステート」(同)の債権者21人が福岡地裁に破産を申し立て、地裁が保全管理命令を出したことがわかった。両社の財産は地裁が選任した保全管理人の弁護士が管理することとなり、両社が自由に処分できなくなった。

 30日に記者会見した被害者弁護団によると、地裁は、破産手続きの費用を一時的に国が支払う「国庫仮支弁」も認めた。日弁連によると、この制度の活用は全国的にも珍しいという。

 福岡県警は昨年10月、両社が質店を装って年金受給者に金を貸し付けた疑いがあるとして、貸金業法違反(無登録)容疑で捜索。弁護団は、同県を中心に年金や生活保護の受給者ら約1万人が約80億円の被害を受けたと指摘している。弁護団は2日午後1時、9日午後2時から、福岡市中央区の県弁護士会館で、被害者説明会を開き、今後の被害回復に向けた手続きなどを説明する。

(2013年5月1日  読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20130501-OYS1T00309.htm
(2013/5/1/読売新聞)


ことば:破産法23条
毎日新聞 2013年05月01日 東京朝刊

 ◇破産法23条

 破産手続きにおいて、申立人の資力や破産者の財産の状況などを考慮して必要と認める時は、手続きにかかる費用(予納金)を国が立て替えること(仮支弁)ができる。その場合、申立人に予納義務はなくなり、立て替え分は破産者の財産から償還されることになる。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130501ddm041040159000c.html
(2013/5/1/毎日新聞)


(参考)
出資金回収:予納金高く、「被害者」債権者破産を断念
毎日新聞 2013年04月20日 07時30分


美容サロン事業などへの投資を勧めるハートサービス社の資料など=藤沢美由紀撮影
拡大写真
 元本保証と高配当をうたい、会員制美容サロン事業への出資を名目に全国の理美容店経営者らから約6億円を集めて事業を停止した山梨県大月市の会社を巡り、出資者らが「債権者破産」を申し立てたところ、甲府地裁が指定した予納金を集められず手続きを断念したことが分かった。高額の予納金が障害となり救済や真相解明が遅れがちになる例で、関係者からは「金のない人にまた大金を課す制度は酷。司法が役割を果たしていない」と失望が広がっている。【藤沢美由紀】

 事業を停止したのはハートサービス社(小俣洋市社長)。2008年の設立で、女性専用の会員制美容サロン「リビラブ」5店舗を東京や滋賀など全国4カ所で運営。会員は年会費を前払いして利用するシステムで人気を集めたが、昨年12月17日に突然全店を閉鎖した。

 関係者によれば、小俣社長らは11年ごろから、「10万円を預けて私の著書を同業者に売れば30%を配当する」と「本のオーナー」名目での投資を勧誘。その後は3万円を支払った上で、「サロン事業に投資すれば元本を保証し4カ月後から7カ月間は投資額の5%を配当する」と約束。10口100万円を超える「事業投資オーナー」に誘う手口で金を集めていたという。

 出資者らの「被害者連絡会」は昨年末、債権者破産を申請。予納金のカンパを募ったところ約130万円が集まった。ところが連絡会側によると、甲府地裁は予納金を350万円とし、3月25日までに予納しなければ申請を却下すると通知。連絡会側は甲府市内の弁護士から「200万円でも管財人を引き受ける」との内諾を取りつけて上申書を提出したが、地裁の姿勢は変わらず3月下旬に申請を取り下げたという。

 連絡会の代理人弁護士は「全てを調査して金の流れを把握できるのは管財人だけ。このままでは真相が闇に葬られる」として3月末に甲府地検に出資法違反容疑で告訴状を提出した。小俣社長は毎日新聞の取材に「倒産はしない。まだ準備中だが、まずサロンの会員に返金し、その後出資者にも返す」などと話している。

 ◇「2次被害の恐れも」代理人弁護士

 詐欺的とみられる消費者被害事案では、これまでも高額の予納金が債権者破産申し立ての際のネックになってきた。
出資金回収:予納金高く、「被害者」債権者破産を断念
毎日新聞 2013年04月20日 07時30分


美容サロン事業などへの投資を勧めるハートサービス社の資料など=藤沢美由紀撮影
拡大写真
 内閣府の消費者委員会委員を務める山口広弁護士によれば、元本保証をうたいアフリカでの金採掘事業を名目に約2000人に社債約75億円分を販売したとして、消費者庁が2010年に消費者安全法に基づき初めて社名を公表した「ワールド・リソースコミュニケーション」(東京都、旧社名=アフリカントラスト、アフリカンパートナー)のケースが今回と似ているという。

 ワールド社の場合は被害弁護団も結成されたが予納金が500万円以上と予想されたため申し立てを断念。IP電話事業への投資名目の詐欺として09年に幹部社員6人が逮捕された「近未来通信事件」では1900万円に上り、申し立てに苦労したという。山口弁護士は「被害者からすれば、配当の見通しも不明なのにお金を出すのは非常に厳しい。弁護士としても無責任に出させるわけにいかず、呼びかけづらい」と話す。破産法には申立人の資力などを考慮し、費用を仮に国庫から出せる規定があるが、適用例はないとされる。

 破産手続きを断念した出資者の代理人弁護士は「会社が生きている以上、2次被害の恐れもある。裁判所の姿勢は官僚的すぎる」と批判する。


(参考)
 【ことば】債権者破産

 債務者自身が申し立てる自己破産と違い、債権者が破産手続きの開始を裁判所に申し立て、債務者を強制的に破産させて資産を回収すること。手続きは主に裁判所が選ぶ「破産管財人」が進める。申し立てには管財人の事務手数料などに使われる「予納金」が必要で、額は負債総額により裁判官が定める。弁護団が被害者を集めて申し立てるケースが多い。
http://mainichi.jp/select/news/20130420k0000m040135000c2.html
(2013/4/13毎日新聞)



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posted by 管理人B at 00:15| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 倒産(その他不動産会社) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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