東京地裁がある破産事件において「破産公告」をしわすれたということです。その原因は裁判所の担当職員による「手続き忘れ」のミスによるものとのことです。
「破産事件」などの「倒産事件」は民事裁判の一種として取り扱われ、部署は「民事第20部」という名称の東京地裁の部署が扱っているということは、倒産事件を体験しているひとなら有名な部署かと思います。他の部署は、法廷で「口頭弁論」というやり方で原告・被告という立場の人がやりあうことを扱うのですが、この部署においては「倒産事件(民事再生と破産)」を扱っており、当事者も債権者(自称債権者も含む)と債務者が裁判所を交えて債務者の財産の分配をどのようにするかということをおこなっています。
ところで、「裁判」というのは「時間」の扱いにおいては、法律上の内容などもあり、非常に「デリケード」なので、1秒でもダメなものはダメと扱うのがこの世界の「常識」です。
ですから、刑事裁判(刑事事件)においては、ある犯罪を犯しても決められた期間日本の中で逃げきれば、その後に起訴されても「刑事責任」は問われない(つまり「時効の成立」)という決まりにより「利益」を受けることができます。
その一方で、上訴(今回の裁判に不服があり上級の裁判所に裁判を行うよう求めること)するにも、期限があり、「裁判の判決の日の翌日から14日間」という決まりも設けられています。そして、その期間を「忘れて」しまって間に合わなかった場合、さらに覚えていても、その期限の日に少しでも間に合わせることができなかった場合、その「上訴」は無効になるという「不利益」を被ります。
その間に合わない理由というのは、「その期日を間違えていた」とか「忘れていた」「書類は用意できていたのだが机の上に置きっぱなしだった」などが、多数を占めるということです。
法律事務所・特許事務所・司法書士事務所などにおいては、当然少ない数ですが、たまに、こうした「ミス」が起き、依頼人において「多大な不利益」を被ることがあります。法律上の「救済策」は一切ないので、その「責任」は「代理人」である、それらの事務所が全て行うことになります。その損害は莫大なことも少なくありません。そのためこれらの事務所の運営は、このことに特に神経を注がれます。
ところが、こういった「ミス」が「裁判官」の場合、訴訟法上で何らかの「救済策」は用意されており、「抗告」とかそういった「形式裁判」で是正することもいくらかできますが、あくまでも「法律上」で規定されている事でなければならないし、そういった「規定」が想定できていないという事もありえます。
従って、最も求められるのは、こうした「ヒューマンエラー」(人的なミス)を予め発生させない「システム」を構築させていること、もし発生したとしてもなんらかの是制策が法律上設けられていることがとても大切で、1人の個人的な責任を追及されてしまうような裁判所の運営は当然非難されるべきです。
破産公告、手続きミスで1カ月遅れ 東京地裁、処分検討〜地裁職員個人の責任よりも「間違えない対策」が必要なのではないか。
2013年5月29日11時39分
破産公告、手続きミスで1カ月遅れ 東京地裁、処分検討
東京地裁が、企業73社の破産手続き開始の官報への公告を、本来掲載すべき日から約1カ月遅れて掲載していたことが分かった。担当職員が手続きを忘れていたという。地裁は職員の処分を検討している。
破産法は、裁判所が破産手続き開始の決定をした後、債権の届け出期間や破産管財人などを直ちに公告しなければならないと定めている。
地裁によると、73社は4月3日に破産手続きの開始が決定。翌4日に国立印刷局に各社のデータを送るはずだったが、担当職員が送信を忘れた。地裁は今月7日にミスに気づき、同局にデータを送信。本来は4月18日付で掲載されるものが、今月15日付になった。
地裁は、債権者らに個別に連絡し、ミスを説明したという。官報への掲載前に債権者集会が終わってしまったケースはなく、現時点で債権の届け出が認められなかったなどの実害は確認されていないという。
http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY201305290086.html(2013/5/29/朝日新聞)
posted by 管理人B at 11:05| 東京 ☁|
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