大阪府警の北堺警察署での捜査において、「誤認逮捕」がなされました。しかもそれは、検察まで来て起訴され、逮捕から85日間も勾留されていたということです。初公判の日は決まっていたようなのですが、続行して検察から無罪を主張するのか、不起訴にして事件を終結させるのか、どちらか迷っていたようですが、結局「不起訴」ということで処理をしたようです。
「刑事訴訟法」において、検察の公訴の取り下げは第一審の判決まで行うことができるとされています。したがって、初公判の日を迎えて、第2回、第3回と継続されているときに突然「取り下げ」ということも可能となるのです。一度取り下げた「公訴」は再度行うことはできません。
そういったことからなのかもしれませんが、今回の検察の選択は「取り下げ」での対応となります。無罪となった時は「刑事補償」ということで、「刑事補償法」に則った補償がなされますし、取り下げであっても法務省の規定による「被疑者補償規定」(今回は起訴されてしまったことですが)など「刑事補償」同等の補償がなされるかと思います。
なぜ「破格の金額」の賠償を求めるかというと、これは捜査機関の責任をしっかり追及することが必要になるからです。
以前捜査機関の故意過失で公判請求に至らせてしまった「郵便不正事件」の村木厚子さんの件は有名ですが、殊に「国家賠償請求」においては3700万円でしたかその値段が「妥当な請求」だったために、そのまま被告の国側が認めてしまい、「どうして逮捕起訴」に至ったのか、その責任あるものへの本当の追及がなされないまま終わってしまいました。
大阪府警北堺署が窃盗事件で無関係の男性会社員(42)を逮捕した問題で、起訴後に釈放された男性が26日、「公開の法廷で捜査の経緯を明らかにし、裁判所に『無罪』と認めてほしい」などと、現在の心境をつづったコメントを弁護人を通じて出した。
男性はコメントで「冤罪(えんざい)をなくし、今後、犯人と決め付けた捜査も見直してほしい」と注文。その上で「起訴を取り消されると、なぜ85日間も勾留されたのかを知ることができない」と訴え、大阪地検堺支部に法廷で潔白を証明するよう求めた。(2013/07/26-18:22)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013072600823
7月20日 19時18分
逮捕の決め手とした防犯カメラの時間の設定にずれがあったことを見逃していたことが原因で、男性は85日間にわたって勾留されており、大阪府警察本部は「極めてずさんな捜査だった」としています。
大阪・北堺警察署はガソリンスタンドの防犯カメラの映像などを決め手として、堺市の40代の会社員の男性を、盗まれたカードを使ってガソリンを入れたとして逮捕し、ことし6月大阪地方検察庁堺支部が起訴しました。
しかし男性の弁護士が調査したところ、給油カードが使われた時間帯に、男性はガソリンスタンドから6キロほど離れた高速道路の入口を車で通過していたことが分かったということです。
弁護士からの指摘を受けて、警察などが改めて調べたところ、防犯カメラの設定時間が数分間進んでいて、男性はカードが使われた時間帯より前に給油していたことが分かったということです。
調べに対して、男性は「身に覚えがない」などと一貫して否認していて、大阪地検堺支部は事件とは無関係だったとして今月17日に男性を釈放し、裁判所が初公判の期日を取り消しました。
男性は釈放されるまでに85日間にわたって勾留されていて、検察は今後、起訴を取り消すか裁判で無罪の判決を求めるか検討することにしています。
大阪府警察本部は「アリバイや裏付け捜査が十分ではなく、極めてずさんな捜査で、誤認逮捕であることはほぼ間違いない」としています。
男性の弁護を務める赤堀順一郎弁護士は「男性は勤務先の会社の休職を余儀なくされるなど、回復しがたい不利益を受けた。重大なミスを犯した警察と検察の責任は極めて重く、今後適切な検証が必要だ」と批判しています。
事件とは無関係の男性が逮捕・起訴された今回の問題。
防犯カメラの設定時間のずれや男性のアリバイを見逃す極めてずさんな捜査が行われていました。
警察は、ガソリンスタンドに残っていた販売記録から盗まれたカードが使われた犯行時刻をことし1月13日の午前5時39分と断定。
防犯カメラには同じ時刻に給油する男性の姿が映っていたため、警察はこの映像を決め手として男性を逮捕しました。
しかし、男性の弁護士が調べたところ、防犯カメラの設定時間が正しい時刻よりおよそ8分、進んでいたことが明らかになったということです。
男性は実際には犯行時刻より前に給油していましたが、警察は防犯カメラの設定時間のずれを見逃し男性を逮捕していました。
また、弁護士が調べたところ、犯行時刻の1分後に男性の車がガソリンスタンドから6キロあまり離れた高速道路の出入り口を通過した記録が見つかりました。
しかし、警察は男性のアリバイになるこの記録を、捜査段階で入手していませんでした。
さらに、初めから男性を犯人と思い込み、同じ時間帯にガソリンスタンドに来ていた別の車やほかの販売記録についても十分に調べていませんでした。
今回の問題では、事件捜査で今や不可欠となっている防犯カメラに過度によりかかる捜査の危うさと十分な裏付け捜査を怠った捜査側の姿勢が、重大な人権侵害を生むことを改めて浮き彫りにしました。
男性の弁護を務める赤堀順一郎弁護士によりますと、男性は長期間、勾留されたことで疲れて、精神的にもまいった様子だったということです。
釈放されたあとはほっとして安心した様子を見せ、「支えてくれた家族と弁護士に感謝しています」と話していたということです。
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・ 誤認逮捕 ガソリン販売記録の時刻にもずれ (7月21日 4時24分)
(2013/7/20/NHKニュース)
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