2013年09月29日

元大阪地検特捜部長ら二審も有罪 郵便不正証拠改ざん隠蔽事件〜これだけの罪を犯しながらなぜ「執行猶予」なのか。検察は余計な捜査をしないで警察に任せていればいい。

 郵便不正事件において、大阪地検特捜部の担当検事が「証拠改ざん」をしてしまい、さらにその証拠を公判の場に持ち込んでしまったという事は周知された事件です。
 その件については、事実の揺るぎはないようです。

 しかし、その証拠(フロッピーディスクの日付)を改ざん(「この日付だったら有罪にもちこめるのに」、と願望しているうちに、「(前田恒彦当時の担当検事の手が証拠に手を付けてしまって改ざんしてしまった」)したあと、「どうしようか」言う事を上席に相談したということです。
 上席とは今被告人として審理中の当時の大坪弘道元特捜部長と佐賀元昭元副部長になります。

 今回の裁判で真偽が争われているのは、前田元検事が改ざんした報告をどこまで上席に伝えたかということになります。

  検察側による起訴事実は、被告人らは、前田恒彦元検事が証拠改ざんの申出をしたにもかかわらず、それを隠ぺいして公判にもちこむように指示したことです。

  結果として、第一審はその内容を全面的に認めて判決を下しましたが懲役1年6月でしかも「執行猶予3年」ということです。
  この起訴内容が事実であれば(裁判所が下すのだから事実ということになりますが)懲役1年6月は非常に軽い罰です。さらに「執行猶予」がつくことは社会正義が著しく反することです。


 裁判所が「執行猶予」をつける理由は検察の組織体系の不備などによるという内容のことらしいのですが、実際のところ「執行猶予」をつける理由は、起訴事実が完全な証拠の裏付けがあるかどうかということなのだと考えています。

 「執行猶予」というのは判決の確定のあと下された判決内容を実行するまでの「猶予」期間なのですが、その猶予期間の間に罰金以上の刑などを犯さなければ、本来の刑の実行はなされないということが現在の法律での運用です。

 つまり、刑務所に入らないで矯正するというものです。

検察が証拠を改ざんするということは、公正な裁判での判断に著しい誤解が生じ、本来無罪であるべきものが罪を着せられ、生涯台無しになるということです。
 
 それが「執行猶予」ですまされてしまうのは到底考えられない事です。

 なぜ、「執行猶予」がついたのか、それは、証拠の裏付けが不充分、つまり、「ほんの少しの割合で、証拠(起訴事実)に疑いをさしはさむ余地がある」ということなのではないのでしょうか。

 ですから、裁判官が違っていれば「無罪」もしくは「審理の差し戻し」も行われたのかもしれません。
しかし、これだけ世間を騒がせた事件ですから、当の検察(最高検察庁)も審理をした大阪地裁・大阪高裁も何らかの処置(お仕置き)をしなければならないという心理状態になるのかと見られます。しかし状況証拠から「果たして本当にやったのか」という疑問にもかられます。そんな時の最も座りのよい判決は「執行猶予付き」ということに行きつきます。万が一無実の証拠が出てきた時にその「被害の回復」行為がすくなくてすむからです。

 通常一般企業でもこういった「不正行為」がおこなわれるのであれば、断固拒否しそれでも上席からの強要をするのであれば、これは内部告発や犯罪として、警察や検察などに告訴するのが当たり前です。当の検察がこのような事をやっている事態おかしなことですが、裁判所の判決理由も「特捜部の威信を懸けた事件の公判の遂行や、検察組織を守るため隠蔽した」では、理由になりません。悪いことは悪いのです。



 裁判のニュースしか見ていないのであくまでも推察の域にしかなりませんが、これだけの罪をおかしておきながら「執行猶予」がつくという判決では、「審理がつくされていない」ということに他なりません。
 検察は本来起訴だけに始終徹する事であり、やたらに捜査に乗り出すことは事実上難しい話です。通常は警察で捜査して、検察の刑事部などに送検して、公判は別の公判部の検事が立ち会いをします。しかし、こういった「特捜部」が行うものは、1次捜査した人間(今回は前田恒彦元主任検事)が公判の立会迄もやっていることがあるようです。当然、刑事訴訟のシステム自体不都合が起こるはずです。






元大阪地検特捜部長ら二審も有罪 郵便不正証拠改ざん隠蔽事件〜これだけの罪を犯しながらなぜ「執行猶予」なのか。検察は余計な捜査をしないで警察に任せていればいい。


元大阪特捜部長ら二審も有罪 証拠改ざん隠蔽事件


 大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽事件の控訴審判決で、大阪高裁に入る元部長の大坪弘道被告=25日午後

【関連動画】

元特捜部長ら二審も有罪
 大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽事件で犯人隠避罪に問われた元部長大坪弘道被告(60)と元副部長佐賀元明被告(52)の控訴審判決で、大阪高裁は25日、懲役1年6月、執行猶予3年とした一審大阪地裁判決を支持、2人の控訴を棄却した。中谷雄二郎裁判長は「特捜部の威信を懸けた事件の公判の遂行や、検察組織を守るため隠蔽した」と指摘した。

 元部長側は上告する方針。元副部長側は今後、判断するという。

 争点は一審に続き、前田恒彦元検事(46)=証拠隠滅罪で実刑、出所=が証拠品のフロッピーディスクのデータを書き換えたのを、故意の改ざんだと認識していたかどうか。

2013/09/25 19:16   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013092501001447.html
(2013/9/25/共同通信)




(参考)
前田恒彦2013年08月19日 07:00陸山会・虚偽報告書事件の再告発に関する雑感
 
私の記事に基づき、市民団体が「最初の虚偽報告書」の件で元検事らに関する告発状を提出した。

そもそも今の検察には自浄能力などないので、どんな告発を出そうとも、捜査を尽くさず、必ず不起訴にするだろう。

例えば、再告発の件は、既に問題の報告書そのものが廃棄されている可能性も高く(特に元秘書らの逮捕状取得直後)、そんな報告書は存在しないという理由を付け、告発不受理にすれば終わりだ。

仮に報告書が残っていたとしても、重要なのは元検事の私に対する告白が真実か否かという点ではない。

私が元検事から告白を受けたことは間違いなく、私自身、当時、これを周囲の関係者に伝えており、そのことを裏付ける客観証拠も存在する。

しかし、あくまで虚偽公文書作成罪の成否を判断する上では、「報告書の記載内容そのものが事実に反するか否か」が分水嶺となる。

その点は元検事と元秘書の供述が相反するし、前回と違って取調べ録音もないから、私の事情聴取など必要とせず、直ちに「嫌疑不十分」として不起訴にできる。

ましてや、前回同様、元秘書が再取調べを持込レコーダーで録音させてほしいと要求すれば、これ幸いと拒否し、「最重要人物の取調べ不能」を理由として、より簡単に不起訴で落とすことができる。

これらは私としても当初から織り込み済みの話であり、私の言う「第二幕」とは、今回の再告発とは全く別の事案にほかならない。

いずれにせよ、私が公の場に出て何かを語る機会は、検察審査会による証人尋問(検察審査会法37条)しかないと考えているし、もし検審から要請があれば、全面的に協力するつもりだ。

もちろん、検審=国民が証人尋問を実施してまで真相を知りたいと思うか否かにかかわる話だが、各弁護士会としても、さすがに今後は「ヤメ検弁護士」を審査補助員に据えるといった愚行に出ることもないだろう。
http://blogos.com/article/68405/
(2013/8/19/blogos 前田恒彦元検事による執筆)

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posted by 管理人B at 11:13| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 検察事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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