出資法違反:投資会社K&A代表ら５人を逮捕 愛知県警~素人的な手口にみえるので詐欺での立件は可能なのか

　投資会社「K&A」の元経営者が愛知県警に逮捕されたということです。経緯を見てみると、このファンドが資金消失（配当が出来なくなった）5月に倒産宣言をし、その後6月には東京地裁へ自己破産の申請をしています。

　　こういったところからみれば、K＆Aは「プロの詐欺師」とは言い難いのかと思います。本当の詐欺師であれば、夜逃げや民事再生などで一旦ごまかし、破産の申請をすぐには行わないかと思います。

　ここではこうした理屈を何度もとりあげていますが、倒産でも「民事再生法（手続き）」は監督委員というこの倒産事件においての監視役がいるものの、経営者は引き続き経営を続投します。またここで行われた「破産」や再生型倒産の「会社更生法（手続き）」は経営陣は総退陣し、その残務処理などは「破産管財人」が行う事になっています。

　ところが稀に事業を継続しない（清算）目的なのに「民事再生」を選択する企業もあります。そういったところは、いきなり「破産」を行うと、不正が明るみに出やすいため、債務者主導型である「民事再生」という選択をするのか、「のらりくらり」でそのままごまかすかという事が多いです。

　つまり、この投資会社において、「配当ができなくなりました。資金もありません。お手上げです」といっていきなりの破産にもちこんでいるということや、募集の際に「元本保証」などをうたっているのは、仮に詐欺師であったとしても「素人系」と見ています。

　結果的には、元代表だけでも容疑（被疑事実）を素直にみとめているようですし、今の詐欺が多くなっている時代に「元金保証」と大々的にうたってお金を集めるのは素人詐欺師そのものです。

　ただ、気になるのは１００億円集めた事件で１２００万円だけの刑事事件になっているというのは、（今後勾留期限が切れる２３日後には再逮捕の予定を組んでいるのだと思いますが）刑罰を加えるのにかなり少ない金額のように思えます。

　今回の事件において「出資法違反」に抵触する部分と、今後目論見とされている「詐欺罪」に抵触する部分の行為は重複しているわけではありませんので、「詐欺罪」の適用による逮捕も考えられますがやはり被害者にとっては「詐欺」での立件を警察に求めているものなので、今後の進展をみていきたいです。

出資法違反:投資会社K&A代表ら５人を逮捕　愛知県警~素人的な手口にみえるので詐欺での立件は可能なのか

出資法違反:投資会社代表ら５人を逮捕　愛知県警
毎日新聞　2013年10月03日　14時18分（最終更新　10月03日　19時36分）

　高利回りを約束した「少人数私募債」を投資家に販売し、多額の現金を集めたとして、愛知県警生活経済課や中署などは３日、投資会社「Ｋ＆Ａ」（名古屋市中村区）代表の川合成秋容疑者（５２）ら同社幹部５人を出資法（預かり金の禁止）違反の疑いで逮捕した。

　県警は、川合容疑者らが２００７年以降、全国２４都府県の約１０００人から計約１００億円を集め、うち約８００人に約８５億円分を返還していないとみて追及する。

　逮捕容疑は、１１年３月１０日〜４月２６日、同県常滑市の無職女性（７７）ら５人に私募債の購入を持ちかけ、「年６・８％の利息を支払う。３年後には必ず元金を償還する」などと約束し、現金１２００万円を集めたとしている。川合容疑者ら３人が容疑を認め、２人が否認しているという。

　被害弁護団は近く、川合容疑者らを相手取り、損害賠償請求訴訟を起こす方針で、詐欺罪での告訴の準備も進めている。荒尾直志弁護団長は３日、「事件の全容解明と、少しでも多い被害回復を目指す」と話した。

　Ｋ＆Ａは０９年１１月設立。資金繰りに行き詰まり、今年５月から配当を停止し、同６月１３日付で東京地裁に自己破産を申請した。【三上剛輝、稲垣衆史】
http://mainichi.jp/select/news/20131003k0000e040244000c.html
(2013/10/3/毎日新聞）