それはどうしてなのかは真実はわかりません。状況からして、初期段階での旧経営人での証拠隠滅等の対策だったのだと勘ぐられることがわかるかと思います。
その後において民事再生手続きが進行したのですが、旧経営人から監督委員がその管財人に替わった時に管財人がその時の財務状況を精査したら、牛の餌代で残余財産が食い尽くされていて「顔が真っ青」だったことの印象が強く残っています。そのため、直ちに破産手続きに切り替えたという経緯がありました。
その当時(2011年11月頃)安愚楽牧場に残っていた財産などから割り出した、配当率は0.5%とされていました。つまり100万円出資の人においては、5,000円の配当ということになります。
破産管財人の努力は大きかったものと見られますが、配当の原資となる破産財団が大きく増えた要因は、東京電力からの補償金とされています。
補償金は決して満足できる金額ではありませんが、その補償金を得られたことにおいては、その現状において「詐欺」ということが刑事事件などで明確にされていなかったことも幸いとされているのかもしれません。もし破産管財人が「詐欺」ということを大きく認めてそれを公表しているのであれば、東京電力からの「補償金」がさらに減額されていた可能性も充分に考えられます。
「詐欺」であれば、原発の被害とは関係のない話に持っていかれるからです。
しかし、この事件が詐欺として起訴された場合、現在審理されている「特定商品預託法違反」事件とは時間のかけ方や準備やそれに費やす費用も検察・被告人側も膨大になり、お互い「特定商品・・・」の罪で意気投合していれば、検察としてもそれ以上のアクションはしない方針なのかもしれません。ましてや「無罪の可能性」が少しでも指摘されれば、検察は消極的になってしまいます。
だからと言って被害者やその関係者は別の手を返して追及したり捜査機関のケツを叩かなくてはなりません。
そうは言っても被害者の活動で目立つのは一部のブロガーだけのようで、関心の高い部外者(安愚楽牧場の出資などとは関係のない人)が「安愚楽牧場」について知ろうとしても、どういった事件でどういう経緯で成り立って、逮捕・公判の状況を知る私的でも情報公開をしている活動がありません。類似している被害であるMRI被害者の関連を比較しても、「一枚岩」になっていない部分も少なくないような気がします。
その上裁判長は次回の日程しか伝えず、それ以降(論告求刑の期日前迄)の日程は決まっているはずなのにあえてなのか告知もしませんでした。
この裁判全体が裁判所・検察・(当然ですが)弁護側の3者とも「めんどくさい事はさっさと終わらせたい」という空気をヒシヒシと感じさせます。
それはどうしてなのか、大きな声では言えませんが、もう少し吟味させていただきたく思います。
2013.10.11 18:42
経営破綻した安愚楽(あぐら)牧場(栃木県那須塩原市)の特定商品預託法違反事件をめぐり、元社長の三ケ尻久美子被告(69)=同法違反罪で公判中=ら旧経営陣3人に対する詐欺罪での刑事告訴について、東京地検は11日、嫌疑不十分で不起訴処分とした。弁護団は処分を不服として、検察審査会に申し立てる方針。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131011/crm13101118450006-n1.htm
(2013/10/11/MSN産経ニュース)
毎日新聞 2013年10月11日 20時52分
http://mainichi.jp/select/news/20131012k0000m040060000c.html
(2013/10/11/毎日新聞)
(東京都)
[ 10/12 10:56 NEWS24]
http://news24.jp/nnn/news89067529.html
10月12日 朝刊
経営破綻した「安愚楽牧場」(那須塩原市埼玉)の特定商品預託法違反事件で、東京地検特捜部は11日、元社長の那須塩原市埼玉、三ケ尻久美子被告(69)ら旧経営陣3人が刑事告訴されていた詐欺容疑について、嫌疑不十分で不起訴処分とした。これで捜査が終結した。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20131012/1379170
(2013/10/12/下野新聞)
http://news.tbs.co.jp/20131011/newseye/tbs_newseye2028214.html
(2013/10/11/TBS)
2013/10/11 19:35
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1104G_R11C13A0CC1000/
(2013/10/11/日本経済新聞)
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「破算財団が大きく増えた要因」は、消費税の還付金が173億であったのが大きく、東京電力からの補償金は24億です。
大雑把に見て、破産配当5%というのは残余
資産換価0.5%で、消費税還付で4%、東電補償金で0.5%といったところです。
東電補償金は主として牛肉の価格下落に対する補償であって、これについては破綻以前2011年7月時点の安愚楽牧場からの通知文書にも載っていて予期されていたところであり、これを「管理回収したのが破産管財人であった」という事になるかと思われます。
お世話になります。安愚楽牧場の事件の件で詐欺罪については不起訴となりましたが残りは告訴した人が「検察審査会」に申し立てるということかと思います。
審査会のメンバー11名のうち0.72の8名が「起訴相当」という議決を2回しなければならず、ある程度ハードルが高いものとなっています。
さらに起訴(「準起訴手続」で公判維持は裁判所から指定された弁護士が担当)された場合、有罪になるというケースはあまりありません。それだけ検察の起訴の精度が高いという裏付けにもなっているのかとも言われています。
しかし、詐欺罪について有罪か無罪かの前に検察審査会では「起訴相当」の議決をされる可能性も充分にあるかと思います。その後は公判で!ということになるかと思いますが、裁判の場で色々と事実を垣間見ることができるので、せめて公判にもってこれればとも思います。
ご指摘をいただきありがとうございます。また、端的な大変わかりやすいご説明ありがとうございました。
24億円というと全体から見て計算すると0.5%になりました。「消費税の還付」が破産財団を引き上げた大きな要因だったのですね。「消費税の還付」だと破産管財人の当然の範疇だから、「腕がいい」とは言い難いかと感じました。
牛肉の下落に関する補償となると「最小限の補償」だったのかと今のご指摘で改めて考えさせられました。また何かございましたらご指摘いただけると幸いです。ありがとうございました。
消費税還付の根拠は、下記のようなものであったのかと推察します。
1、債権届提出をもって買戻請求が発生した
2、安愚楽の会計処理上、買戻は仕入計上である
3、計上した中に仮払消費税が含まれる
4、仮受消費税−仮払消費税=納付額である
5、上記4の収受差を還付せよ
4000億余の買戻を現預金で行った場合には、上記の主張は当然としても、実際に支払ができないにも係わらず、この主張を通したのは「破産管財人の腕」と言えるのではないかと思われます。
また、東電補償金について東電側は、「牧場が出荷する牛の風評被害や出荷制限は対象になる。出資は事故とは何ら関係ないため、あくまで牛の出荷に関する侵害に賠償は限定される」という姿勢であり、破産管財人の請求も「JA基準に則って」と発表されているところから、この面で「腕を揮う」機会はあまりなかったと考えられます。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22936720110830
なお、消費税還付については結果のみで過程が公表されていないので、上記根拠はあくまで推測であることをお断りしておきます。
2011年8月30日の発表で、安愚楽牧場に対する補償の範囲についての認識を明らかにしているのは、同牧場がオーナーの新規契約を売上として計上する会計処理を行っていた事から、前年度750余億あったオーナー売上の減少についても「売上減」として補償対象になるという解釈を封じるために、「牛の出荷」限定の釘をさしたものと思われます。
すなわち、「和牛オーナー制度」がいかなるものであれ、それについては「事故とは何ら関係ない」と言うのが東電側の姿勢です。
全く同意できませんね|:3ミ
むしろ管財人サイドの投稿かと思うぐらい。
二束三文で牧場の資産を売り渡し、再意見を提出すれば、多少時間がかかれども上乗せできたと思われる補償金を放棄した管財人に感謝する被害者は短期決戦を望む老い先短い団塊及びそれ以上に過ぎないかと思いますがね|:3ミ
そもそも「passerby」って日本語で「通りすがり」でしょ。無責任者の代名詞だと知っててお使いなのでしょうか。
この称号が許されるのは、私が仮名として名乗っている「あの人」ぐらいかと思いますが(嘲笑)
詳細の追加ありがとうございます。
こういった「破産」における管財人の処理の過程において、「消費税の還付」の請求は、破産管財人として必ず請求している実績があります(安愚楽牧場に限らず)
でもその多寡は管財人の主張やその事務能力によるのかと思います。
passerby 様が管財人の消費税還付に関する実績の評価をされていることも私としても評価はできるかと思います。
こういった大型の倒産事件の管財人をやる弁護士はそれ相当の実力がなければならないので、「消費税の還付」請求は当たり前のこととしても、それなりの返戻ができているわけですからそれなりの仕事はされているのだと思います。
あと幸いなのか残念なのかわかりませんが、そのほかに「消費税の還付」の他に、税金関係では、国税当局の「公租公課」の債権届けが必ずと言っていいほど存在します。そのため「消費税の還付」はあっても「公租公課」で最優先で持っていかれる部分もあるため、本来なら5%という配当もそのうちの2%位は「公租公課」で持っていかれるはずだったのかもしれません。
実際この安愚楽牧場は国税当局には「赤字」だという事を毎年もうしでていたのだということなので、この「公租公課」で持っていかれるということはなかったという事を聞いています。
そのことも幸いして、破産管財人の管財業務の機関も短くなっているということもあるのかと思います。
あと東電についての今回の補償はお伝えいただいたことで、「事故とは関係のない補償」という事もわかりました。
東電が安愚楽牧場に対しての加害行為はこれをみると「軽微だった」というように解釈されたんだなと思いました。逆にいうと、被害者が追加の賠償をできる余地があるのではないかとも考えられます。
貴重なご意見ありがとうございます。
破産管財人の財産処分行為(今回の安愚楽牧場においては、生存している牛を他の業者に二束三文で売却してしまったということ)
は、破産管財人の独断可能行為ですが、もう少しなんとかならなかったのかというのも出資者の立場に立って考えれば強く思うところです。
実際には、破産管財人も「残余財産(破産財団)」が無くなればやる気もなくなるので、このまま牛を高く買ってもらうところを探しながら「餌」を与え続けるよりは、「損切り」を覚悟で牛を二足三文でもいいから「引き取って」もらったほうが、破産財団に与える影響は少なく安全策と考えたのだと思います。
破産管財人も裁判所から選任されたとはいえ、営利事業ですから、破産財団を大きくして配当を多くしたい気持ちはあっても、自身に入ってくる「ギャラ(管財人報酬)」を多く獲得するということにも必然的に動くのかと思います。
そういった事も考慮にいれて総合的な判断としたものと思います。
三ヶ尻らは控訴するのでしょうか。
控訴すると刑が確定せず、まだ伸びますよね。
いいかげんに受け入れろっていう感じですが、
刑事事件でお金が戻るということは万がいちでもあるんでしょうか。
ご連絡途中になりすみません。
ご指摘があり回答させていただきます。
当初このまま刑が確定するのかとおもっていたのですが、被告人らは控訴しましたね。
この様子だと最高裁まで上告するものと見ています。
それは減刑と執行猶予を求めるためです。
お金持ちにとっては、刑務所で2年10ヶ月(実際は80日分は未決勾留で控除されます)
過ごすよりは、執行猶予で隠し財産で暮らしたほうがいいですからね。それと比較しても弁護士費用や訴訟費用をかけても戦う価値があるのかとおもいます。
刑事事件でお金が戻るということはあります。それは執行猶予などの減刑のために出資者に弁済を試みるところから「戻る」という可能性はほんの少しですがあるかもしれません。
途中の書きかけですみません。またよろしくご愛顧お願いします。
いつもご愛顧いただきありがとうございます。安愚楽牧場の債権者の窮状を訴えるにはやはり多くの人に安愚楽牧場の今回の破産劇を理解してもらわなけえれば多くの人に味方になってもらえないかと思います。そういう意味では誰でも平易にわかりやすく理解できるようなブログ執筆を心がけています。そうすることで世論が味方についてくれるのではと期待しています。
ありがとうございます。
安愚楽牧場の被告人に対して告訴した人が検察から不起訴処分(詐欺罪)という通知を受けたのでそれを不服として検察審査会に審査の申し出をしたということになります。
現時点では理屈的には可能ですが起訴になった場合、検察ではなく、裁判所が指定した検察官役の弁護士(指定弁護士)がそれ以降の公判を維持することになります。
検察審査会の審査をする人は一般の選挙権のあるとからくじで選ばれた人が行うので「一般人」の常識の検知から起訴相当、不起訴不当などの判定をし、起訴相当が2回行われれば、公判請求となり通常の裁判と同様に行われます。ただ、あくまでも「一般人」の感覚であってプロの法曹の感覚ではなく、裁くのはこの詐欺罪の場合はプロの裁判官のみによるものなので、有罪にならない可能性も充分にあります。
民事裁判の方は進捗状況の詳細はわかりかねますが大阪と兵庫の一部の出資者が破産になっていない役員等を相手取り損害賠償訴訟を起こしているようです。他の地域の出資者(被害者)はまだのようですし、国を相手取る提訴(国家賠償請求訴訟)もまだの模様です。いずれは提訴しないといけないものです。しかし証拠等が揃わないと時間もかかりますし攻めることも難しいのでそのあたりは「証拠」とその責任を負うものをしっかりとしなければならないのかと感じます。
ところで、確定申告をすると安愚楽牧場に納めた税金が戻ることはあるのでしょうか。そのような話を聞いたことがあります。