2013年11月19日

美白化粧品「白斑」症状損賠訴訟の第1回口頭弁論(東京地裁) カネボウ化粧品側、争う姿勢〜「欠陥」があるだけで責任はあるが、被害賠償がどこまで認められるかが難しいところ。

 カネボウ化粧品の「白斑」問題において損害賠償訴訟が提起されましたが、その関係の第一回口頭弁論が東京地裁でありました。

 この口頭弁論において、被告カネボウ化粧品は、「請求棄却」(つまり原告の訴えは認めないということ)を求めています。

 通常民事訴訟においては、民法第709条の規定により、その加害者に「故意」もしくは「過失」があった場合はその損害(被害)を請求できるということになっています。

 別の例でいうと、夜の見通しのわるい道路で標識もないところに自動車が速度20kmで走行していたところ、似たような速度で走っていた自転車がたまたま自動車が通過してたところで急に進路変更をしたためにその自動車に轢かれて死亡してしまった。

 ということがあったとします。

 この時、自動車の運転手は、刑事・民事・行政関係で責任を負うことが想定されます。
しかし、それらの責任を負うには、それなりの「因果関係」と「責任の所在」を立証しなければなりません。

 刑事責任を追及する場合、業務上過失傷害罪や最近できた「自動車運転過失致死傷罪」の適用をするには、運転手に最低でも「過失」があったことを立証しなければなりません。
 また民事責任の場合も先述の通り、相手の「過失」を証明しなければなりません。
よく、自動車事故が発生した場合、人(自転車の運転も含む)が悪くと自動車には過失がないのに「自動車がわるい」という事を言われることが多いです。その根拠は自動車賠償責任法における「自動車保険」(強制保険)というものの規定についていっていることなのだと思います。
 つまりこの自動車賠償保険(強制保険)は、その自動車で事故が発生した場合にその因果関係があれば、
その事故の補償をするということです。いわゆる「無過失責任」ということで特別な規定がもうけられていますが、その他の刑事事件などの適用は通常のルールで処分されなければなりません。

 今回の場合は民事責任(損害賠償請求)です。通常の損害賠償請求訴訟は「因果関係」と「責任の所在」を立証をすることによってはじめて、相手の非を認めることが可能となり、被害の度合いの証明で、賠償額を認定することができます。
 「因果関係」はカネボウ化粧品の該当商品をつかったので、塗ったところが「白斑」になってしまった。
という事を明らかにすればたいていわかりますし、他の被害者などでも総合的に勘案すれば、裁判でみとめられるかと思います。

 しかし、相手に「故意」または、「過失」があったという事を証明するのは至難の技です。
被告カネボウ化粧品の商品をつかって、「白斑」に至った過程において、具体的にどこに「過失」があったかを探すことも大変な労力がいることです。
 被告の立場からすれば、現在の化学の常識を踏まえたり、厚生労働省の規定を遵守しておこなった上でこうなったということであれば、なんとも残念な出来事です。
 でもそれ以上に残念なのは、この商品を利用したお客様です。

 そこでこういった「矛盾」のようなことがあってはならないということで、民法以外の法律「製造物責任法」の規定で、責任の所在が通常の民法などでは「過失」が必要条件であったのが、この法律では「欠陥」があったことだけで、「責任がある」ということを明確にしています。
 その結果、カネボウ化粧品の該当商品の使用により「白斑」になったということがある程度証明できれば、それ以上の「過失」をさがすまでもなく、賠償をみとめることができるということです。

 そうなると、今回の訴訟で責任があるのは、どうみても被告である「カネボウ化粧品」であるのは明らかになります。

 しかし重要なのは、「どれだけ請求金額を裁判所が認めてくれるか」ということです。
今回の原告は41歳の女性1人で4800万円の請求をしているということです。
 この「白斑」の被害が、ある程度年数が経てば完治(なくなってしまう)ものなのか、それとも生涯に渡って、残るものなのか、これによっても認める金額が違ってきます。
 現状ではこれはわかりません。

 この4800万円の請求は今の現状から見ても多大な請求になるのかと思います。素肌や手足を晒して行う必要性のある仕事であれば、この金額だけでは足りない可能性もあります。41歳の年齢の方なので「水着グラビアアイドル」などをやっているとは思えませんが、その人を取り巻く状況においてでも損害額は大きく変わってきます。

 とにかくこの「白斑」がまずは治るものであってほしいものです。カネボウ化粧品はいち早く親会社の花王と一丸となって、その被害拡大を全力をもって防ぐことが必要です。



 

美白化粧品「白斑」症状損賠訴訟の第1回口頭弁論(東京地裁) カネボウ化粧品側、争う姿勢〜「欠陥」があるだけで責任はあるが、被害賠償がどこまで認められるかが難しいところ。



「白斑」症状損賠訴訟の第1回口頭弁論 カネボウ側、争う姿勢
 
これまでに1万6,000人以上に「白斑」の症状が確認されている、カネボウの美白化粧品をめぐる問題で、損害賠償を求める女性が、怒りの訴えを行った。
「不信感もあるし、怒りですよね。こういう肌になってしまって。もっと早く、被害の訴えがあった時に、回収なり何かすれば、こんなふうになっていなかったと思う」と語るのは、カネボウ化粧品の美白化粧品を使い、肌がまだらに白くなる白斑の症状が出た41歳の女性。
この女性は、カネボウに4,800万円の損害賠償を求めていて、18日、東京地裁で、第1回の口頭弁論が開かれた。
カネボウを訴えた女性は「きょう始まったというんですかね...。まだ始まったばかりだから、わからないけれど、(カネボウ側には)ちゃんと対応してほしいですね」と話した。
女性は、カネボウが自主回収するまで、およそ2年にわたり、白斑症状の原因とみられる「ロドデノール」を含む化粧品を使用していた。
18日の弁論で、カネボウ側は、ロドデノール配合の化粧品により、白斑の症状が出たことは認めたが、白斑が治るかどうかが重要な争点であると主張。
「今後、研究により、新たな知見が示されるのを待って、的確な認否、反論をする」とし、請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
カネボウを訴えた女性は「(手は)真っ白です。全然変わらないです。腕は、このへんが白かったのが、少し色素が戻ってきているかなと。外出とかも、手も恥ずかしいですし、出すのが。電車とかも乗れないです、恥ずかしくて...」と話した。
18日午後、カネボウは、白斑の症状が確認された人の最新の数を発表した。
先週発表分に比べ、167人増加した1万6,608人に白斑の症状を確認し、3,401人については、完治か、ほぼ回復しているという。
また、この白斑問題については、18日から被害弁護団が、被害者への無料電話相談を始めた。
受け付けが始まった午前10時には、電話が一斉に鳴り、治療費などの相談が行われた。
この電話相談は、18日と28日の2日間行われ、12月7日には、補償などについての説明会を開くという。

無料電話相談は、「カネボウ白斑被害110番」(次回28日、午前10時から午後4時まで。03-5302-2714、03-3539-3380)まで。
(11/18 18:45)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00258053.html



カネボウ、賠償請求の棄却求める 美白化粧品で白斑訴訟
2013年11月18日11時05分

 【小松隆次郎】カネボウ化粧品の美白化粧品を使ったせいで、肌がまだらに白くなる「白斑(はくはん)」の症状が出たとして、東京都内の女性(41)が同社に約4800万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、東京地裁であり、カネボウ側は自社の化粧品と女性の白斑との因果関係を認めた。ただ、賠償責任がどの程度あるかが不確定だとして、請求棄却を求めた。

 カネボウ側によると、日本皮膚科学会が白斑の発症メカニズムや治療法などについて研究・検討を進めており、その結果を待って具体的に反論するという。

 訴状によると、女性は2011年7月、白斑症状の原因とされる美白成分「ロドデノール」を含む化粧品の使用を開始。同9月ごろから顔や首、手に白斑が出始めた。カネボウが自主回収を決めた今年7月まで使用を続けていた。

 カネボウによると、白斑の被害者は1万6千人を超えるが、うち約3400人は症状が回復したという。いまのところ訴訟に発展しているのはこの1件のみ。カネボウは被害者に対し、治療費や慰謝料などを支払う意向を表明している。
http://www.asahi.com/articles/TKY201311180046.html
(2013/11/18/朝日新聞)

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posted by 管理人B at 17:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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