2013年12月09日

安愚楽牧場の元社長に懲役3年求刑 和牛商法事件~反省の色から、3年の刑は難しくても、「実刑」は免れない予想。

 遅くなりましたが、安愚楽牧場に関する刑事事件の公判(論告求刑)が東京地裁でありました。
「論告求刑」(ろんこくきゅうけい)というのは、検察官が今まで公判において証明した(証明しました)ことのまとめになります。その他に被告人・弁護人が主張していることの意見や指摘(「これは受け入れられませんよ」などということ)をして、最後に検察が処罰したい罰条と具体的な刑を裁判所に申し上げるということです。

 ですから、あくまでも「論告求刑」というのは、検察官の意見にすぎないので、裁判所はそれに関わらず自由に判決を出していいということになります。


 今回検察が起訴した事件は2010年9月からの出資した分と2011年7月(倒産宣言直前)までの分の2つの事件です。でも事件上は2つの事件なのですが、旧経営陣がやったのは起訴に上がっている被害者の数(たしか198人でしたか⇒正確には192人ということです。)つまり被害者がいる回数やったということになります。

 罪状は「特定商品預託法違反(不実の告知)」です。
この罪は「2年以下の懲役または、罰金100万円」という罰則内容です。

 ですから、最高刑は懲役2年になります。しかし、前述通りこの事件は同じ罪を被害者の数だけおこなっています。しかも100回以上です。法律上複数回以上行った場合は、最高刑を1.5倍課すことができるということになっています。
 ですから、最高に科せる内容は懲役2年×1.5倍=懲役3年 つまり懲役3年迄科すことができるということです。

 検察としては、(予想通りでしたが)、懲役3年の求刑は、元社長の三ヶ尻久美子被告人に対して、その法律の範囲内で最も重い分を求刑したということになります。
 同様に元専務の大石勝也被告人に対しては懲役2年6月を求刑しましたが、これも同じ理屈になります。

その後の判決は2014年(来年)の1月9日になるということです。

 どのような判決が推測されるか、
あくまでも当方の独断ですが、三ヶ尻久美子被告人には懲役2年もしくは2年6月の実刑
              大石勝也被告人にたいしては、1年6月か2年の実刑


 というところだと思います。

 判決は通常検察の求刑の8割が相場とも言われており、そのようになることも多いのですが、検察の主張の半分ということだったり、逆に検察の主張より重くなることもあります。

 被告人が有利になる状況としては、被告人は罪を認めて反省しているところがあり、捜査の方も(見かけ上ですが)協力しています。そのため、刑罰の重さが若干軽くなると考えられます。

 被告人が不利になる状況としては、被告人自ら刑事事件上の被害者に対して「弁済」を未だしていないということです。これらの旧経営陣は個人的にも破産しており、その財産で分配するというやり方も幾分裁判所の心象をよくする点も考えられますが、これは被告人自ら望んでおこなったことではなく、必然的にそうなったということなので、情状には入らないかと思われます。

 さらに、公知されているように、この事件の被害額は1億円を超えるような大きな額です。そういった事情からすれば、「執行猶予」ということは「ありえません」。

 恐らく被告人・弁護人としては、実刑になったとしても、一応の刑の軽さから、判決内容を不服として、控訴することはないかと思われます。

 したがって、判決の1月9日(木)を入れた15日目の1月23日(木)に判決内容が確定するものと見ています。

 失礼な言い方になるかもしれませんが、大掛かりな大事件の割には、淡々とこじんまりした裁判と言っても過言ではありません。
 裁判を傍聴しても込み入って調べない限りは裁判長の名前しかわからないし、同様に立会いの検察官もどこのだれなのかわかりません。
 検察も裁判所もどうも「逃げ腰」のような印象がしてなりません。

 今後これらの刑事事件の資料が、現在進行している民事裁判や、(もしかしてやるのかも)と言われている「国家賠償請求」の重要な資料(証拠)として使われるのかと思われます。
 

 この投資案件に出資した人の被害者は73000人で、「戦後最大の消費者被害」とも言われています。
出資した人の属性は様々ですが、最低30万円という額での投資も可能なため、20代などの若い年齢の部類の出資者もおります。逆に60代・70代の年金受給をしている高齢者も多くおります。
 当然ですが、大金持ちの人もおります。

 海外旅行へバンバン行っている出資者や贅沢な暮らしをしている人においては、あまり助けたいとは思いません。逆に前述のとおりに小さいころからおこずかいを貯めてきたもので出資してしまった人や、高齢者において、少ない年金ではとても辛く、蓄えも利率の非常に少ない銀行預金より少しでも有利なところにお金を貯めて行きたいということで、安愚楽牧場に出資してしまったという人も決して少なくありません。

 少し金融知識のある人やそういった方面に長けている人から見れば、「自己責任」という主張も多くみられます。しかし、よほど注意深くもしくは勉強をしていないと今の日本では、こういった事を見抜くのはむずかしいし、その被害回復にも非常に手間暇がかかります。
 それに今回のように非常に「大規模な詐欺」事件と言われていても、旧経営陣が巧みなだけに本来処罰されるべき内容の「詐欺罪」でも皆、指を加えてみるだけになっている状況です。

 残念ですが、今後もそういった傾向は変わらないでしょう。

被害者の方においても、なにも行っていない方においては、集まりを企てる・参加する・裁判に傍聴するだけでもいいですし、「考えるだけ」でも少しでもなにかできれば、今後の展開も変わるかと思います。「戦後最大の消費者被害」とあぐらをかいていては栄光を勝ち取ることはできません。








 









 
              

 

 




安愚楽牧場の元社長に懲役3年求刑 和牛商法事件~被告人らの「見かけの」反省の色があるため、3年の刑は難しくても、「実刑」は免れない予想。



安愚楽牧場の元社長に懲役3年求刑 和牛商法事件
2013年12月5日19時16分

 2011年に経営破綻(はたん)した「安愚楽(あぐら)牧場」による和牛商法事件で、特定商品預託法違反(不実の告知)の罪に問われた元社長の三ケ尻久美子被告(69)と元専務・大石勝也被告(74)の公判は5日、東京地裁で結審した。検察側は三ケ尻被告に懲役3年、大石被告に懲役2年6カ月をそれぞれ求刑。弁護側が執行猶予つきの判決を求めた。判決は来年1月9日。

 両被告は、10年9月〜11年7月、保有する牛の数が契約件数に比べて大幅に足りないのに、勧誘の際、十分な数の牛がいると偽ったとして起訴された。検察側は「うその勧誘を続け、大規模な消費者被害を招いた」と非難。弁護側は「牛を増やす計画だったが、東日本大震災や原発事故の影響で破綻に追い込まれた」と主張した。意見陳述で三ケ尻被告は「だますつもりは毛頭なかった。本当に申し訳ありません」と傍聴席に向かって頭を下げた。

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甚大な消費者被害」安愚楽事件、元社長に懲役3年求刑
 
12月6日 朝刊

 
 経営破綻した「安愚楽牧場」(那須塩原市埼玉)の旧経営陣がうその説明で出資を勧誘したとされる事件で、特定商品預託法違反(不実の告知)罪に問われた元社長の三ケ尻久美子被告(69)らの論告求刑公判が5日、東京地裁(芦沢政治裁判長)で開かれた。

 検察側は「巧妙な隠蔽工作をして勧誘を続け、甚大な消費者被害を招いた」と三ケ尻被告に懲役3年、同罪に問われた元役員の大石勝也被告(74)に懲役2年6月を求刑。弁護側は「十分反省している」と執行猶予付きの判決を求め結審した。判決は来年1月9日に言い渡される。

 検察側は論告で、安愚楽牧場が1995年ごろから繁殖牛が不足し和牛オーナー制度の顧客全員に牛が割り当てられない状態だったと指摘。三ケ尻被告らは顧客らに発覚しないよう架空の牛を割り当てるなど工作したとし、「犯行は常習的で計画的かつ巧妙」と強調した。

 また既存オーナーへの配当のため勧誘を続けたとし、「経営に必要な資金を集めるという動機は極めて利己的で酌量の余地はない」とした。

 一方弁護側は、架空の牛の割り当ては一時的なもので増頭計画があったと主張。東京電力福島第一原発事故による風評被害など外的要因で計画が狂わされたとし、「犯行は悪質でない」と訴えた。

 最終意見陳述で三ケ尻被告は「オーナーをだますつもりは毛頭なかった。多大なご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ありません」と謝罪。出資者らが集まった傍聴席を振り返り、深々と頭を下げた。

 起訴状によると、2人は経営破綻前の10年9月〜11年7月ごろ、実在しない牛の識別番号を記載した契約書を送って出資を勧誘した、としている。

 安愚楽牧場は11年8月に経営破綻した。負債総額は約4330億円。うち約4200億円は全国の出資者約7万3千人(県内約2千人、債権額116億円)への負債だった。

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20131206/1434739
(2013/12/6/下野新聞)


安愚楽牧場:元社長に懲役3年を求刑 東京地裁
毎日新聞 2013年12月05日 20時31分(最終更新 12月05日 22時39分)

 安愚楽(あぐら)牧場(栃木県那須塩原市)による特定商品預託法違反事件の公判が5日、東京地裁(芦沢政治裁判長)であり、検察側は同法違反(不実の告知)に問われた元社長の三ケ尻久美子被告(69)に懲役3年、元幹部の大石勝也被告(74)に同2年6月を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は来年1月9日。
http://mainichi.jp/select/news/20131206k0000m040045000c.html
(2013/12/5/毎日新聞)




安愚楽元社長に懲役3年求刑
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 安愚楽牧場(那須塩原市)の和牛オーナー制度を巡り、特定商品預託法違反(不実の告知)に問われた旧経営陣2人の公判が5日、東京地裁であり、検察側は、元社長の三ヶ尻久美子被告(69)に懲役3年、元役員大石勝也被告(74)に懲役2年6月を求刑した。被害者らは意見陳述書で、「被害者を冒涜(ぼうとく)した」と厳罰を求めた。一方、弁護側は執行猶予付きの判決を求め、結審した。判決は来年1月9日。

 検察側は論告で、三ヶ尻被告は1995年頃、オーナーたちの契約する繁殖牛が実在の数を上回っていると従業員に指摘され、2007年頃までの間、繁殖牛以外の肥育牛などを割り当てるよう指示して、出資を募っていたと指摘。同年以降は実在しない牛に架空の番号を割り当てたとし、「もともとだますつもりで、虚偽は一過性のものではない」と指弾した。

 さらに、農水省による09年の立ち入り検査では、架空の牛の存在を知られないように改変したデータを提出したことも明かし、悪質性も追及した。300万円を出資した男性は意見陳述書で、「子供の養育費、老後の生活資金を奪われた。怒りと悔しさがこみ上げる」と厳罰を求めた。

 これに対して弁護側は、口蹄疫(こうていえき)問題や東日本大震災後の風評被害後、解約者が後を絶たなかったことを挙げ、「一時的に架空の牛を割り当てた」と主張。15年頃までに牛を増やす計画があったなどとし、「将来、オーナーに牛を割り当てることができると認識していた」と、情状酌量を求めた。

 三ヶ尻被告は最後に意見を求められ、「震災後、牛の価格が暴落し、資金繰りが苦しかった」と述べて、「東京電力の賠償金がもっと早く得られていれば倒産はしなかった……」と唇をかみしめた。そして、「多くの人にご迷惑をかけた」と傍聴席に向かって深々と頭を下げた。

 傍聴席からは、「うそだ」との声が漏れ、公判終了後には被害者の女性が、「私たちのお金は戻ってくるのか」と三ヶ尻被告に詰め寄った。

(2013年12月6日  読売新聞)
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http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20131205-OYT8T01466.htm
(2013/12/6/読売新聞)

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この記事へのコメント
いつもお世話になっております。
法律や裁判のことを全く知らない私や被害者にとって、このように専門的なことを分かりやすく教えて下さるリプラス様にはとても感謝しております。
これからも、宜しくお願いいたします。


ところで
>起訴に上がっている被害者の数(たしか198人でしたか)

新聞ニュースでは192人となっておりますが?
「あぐら物語日記」カテゴリ:預託法違反ニュース
http://roko1107.blog.fc2.com/blog-category-122.html
Posted by roko at 2013年12月10日 01:09
roko 様

 いつも大変お世話になります。
ご指摘の方いただきありがとうございます。

訂正の方をさせていただきました。
 正確な数値は、面倒腐がらず、やはり把握しておくものだと思います。

 安愚楽牧場の方も刑事事件としては終盤にさしかかっているのかと思いますがやはり、被害をうけられた方においては被告人の処罰以上に被害の回復をしていただくことがとても大切なことかと思います。

 必ずしも仮に詐欺で起訴判決の確定となったからといって、今回の罪状より被害の回復においても、決して良い解決になることではありませんので、今回の刑事裁判の如何にかかわらず、今後の民事訴訟などでの被害回復にご注視されるのが吉なのかとおもわれます。

 



 引き続きよろしくお願いいたします。
Posted by 管理人C at 2013年12月10日 16:46
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