先週の11月4日の話になります。
食中毒事故により店舗や会社の運営ができなくなり清算となった、「焼肉酒家えびす」は、その被害者に対しての補償が充分になされない形の可能性が大きくなってきています。
それは会社の資産をもって、弁済に宛てようとしても、債権者となる人が多くの債権額と被害者への弁済額を合わせた額が資産を大幅に上回る「債務超過」という結果となるからです。
そこで、焼肉酒家えびすを運営する「フーズ・フォーラス」においては、もう会社の運営をやめるということで、裁判所を通さない方法での倒産処理である「任意整理」という方法で行うことにいたしました。
しかし、先にも述べたように、金融機関をはじめとする債権者は被害者を優先する債権分配に反対をしめしているため、ここでの、処理は不成立に終わる事となります。
そうすると次の段階は、「清算型民事再生手続き」という言い方に近いのかと思いますが、「特別清算」(とくべつせいさん)取る方向でいくとのことです。
しかし、その場合であっても、「特別清算」での計画案(協定案)可決のハードル(債権者数の過半数かつ総債権額の2/3以上の賛成)が高いという事もあるため、そこでの清算手続きは成立しない可能性も充分あります。
そのため、その場合、それ以降は「破産手続き」となるわけですが、その破産手続きも、金融機関を含む一般債権(この被害者の弁済金も「一般債権」とみなされる事になるため)結局のところ、本来の被害額を全額弁済できるという見通しは全くないことになります。
そのため、食中毒の被害者において、全く非がないのに、被害弁済が全額なされないのは、当然「たまったものではない」となるので、
その被害回復を図るために、被害者当事者自身が「被害者の会」(焼肉酒家えびす食中毒被害者の会 など)という名称で被害回復に向けた活動をすることになります。
食中毒の被害者及び被害者の遺族は、その被害の条件は同じであり弁済はどのようなことであっても被害者を中心として公平になされるべきであるから、それなら、同じ目的の者同士が団結して交渉するのが得策なのだから、被害者の活動サークルである、「被害者の会」をつくるという結果となるのです。
比較的少人数の被害者であれば、被害者自身が中心となって、行なっていく活動で、そこに弁護士が代理人として追随していく形になるのかと思います。
しかしこの場合死者が5人でも患者が170人ということであれば、被害者主導型の被害者の会より、弁護士が主導となる「被害対策弁護団型」の方が結果的にやりやすいかと思います。
それ以降を注視していきたいと思います。少しでも被害回復となればと願うばかりです。
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