安愚楽牧場元社長ら、初公判で起訴内容認める〜被告人も捜査機関にとっても「特定商品預託法違反」での起訴の方がお互い都合がよいということなのか。

　安愚楽牧場の旧経営陣に対する初公判から２日目が経ちました。次回期日は１０月２１日（月）13:15〜17:00で東京地裁１０４号法廷になります。２４日の初公判では、整理券を受け取った人の１割強位の人が残念ながら傍聴できなかったということだけだったり、また報道機関宛てに設けられた優先席も恐らく1/3とかそういった数に減少するので、２回目から論告求刑の手前の公判までは、抽選なしで傍聴できるものと見ています。次回期日以降は被告人らの情状証人（刑を軽くするための証人）が出廷するとのことです。
　今後は、量刑がどのようになるかということに注目がいくのかと思います。

　　今回の起訴に対する要点は、安愚楽牧場は、牛を繁殖させる数とは関係なく、出資者をガンガン募ったところ、「契約数が実際に対応するだけの牛の数より大幅に超えていた」ということです。
　そして被告人らは、平成１９年のふるさと牧場の事件発覚の時から「牛の数が足りないのはやばい」と思い始めました。そして、三ヶ尻久美子元代表は「牛が足りないと困るのよね、（牛が）いなくてもいいから、割り当ててちょうだい。」と口にしたため、大石勝也元取締役は、それなら契約番号（耳番号）を従来の６桁から下３桁をあたらに増やしました。さらに、実際に契約と牛が結びつくものを９桁のうちの増設した下３桁を０００として、一方契約に対して架空の牛での契約は下３桁が００２という風に区別して、契約者にその番号を通知したということです。この一連の行為は大石元取締役の発案で三ヶ尻久美子元社長が了承いたしました。
　それが被告人らの主張だと「いずれ牛を多く産ませて００２について実際の牛をむすびつけるつもりだ。」という事でした。それは「一時的な止むを得ない処置で苦渋の選択」ということなのですが、倒産時には契約数が１０万頭分の契約にたいして実際に居る牛が６万頭ということだったので、果たしてそれが「一時的な止むを得ない処置」だったのか信ぴょう性が疑われるところです。それから被告人の弁解（弁護人が主張）としては、架空契約の「一時的な止むを得ない処置」に起因するところの経緯は、BSE問題・ふるさと牧場・口蹄疫そして東日本大震災の放射性セシウムなどの度重なる風評被害が牛を繁殖させる計画をその都度大きく狂わせたということでした。もし東日本大震災の問題がなければ平成２７年頃迄には２３万頭まで繁殖させることが充分可能だったとも述べて（弁解して）います。

　ちなみに、検察側の証拠提出である甲第７号証によると三ヶ尻久美子元代表の報酬は年３６００万円、５年で２億８０００万円、同様に甲第８号証での大石勝也元取締役の５年間での報酬は６１００万円ということです。
　そして、弁護人らからは、（三ヶ尻久美子元代表は）大石さんと力をあわせて一生かけて償いたいということでした。

　　
　
　これらの要点からすると、特定商品預託法違反での処罰には充分事足りる状況証拠ですが、これが「詐欺罪」ということとなると遥かに検察側の証拠がまだ足りないものと推察されます。また被告人らが逐次牛を増やす努力（契約数以上に）をしていたにもかかわらず、前述する「不慮の出来事」に遭遇したため、牛が増えずまた解約する人も増えたので計画が大きく狂わされ、そして最後の「東日本大震災の放射性セシウム事故」がなければ、平成２７年頃での２３万頭計画も実現可能という努力（見掛け上かもしれませんが）が詐欺罪を構成する「だますつもり」という故意を阻却（そきゃく）するという結果になるのかと思います。通常過去の刑事裁判においても、こういった弁解はあるのですが、裁判所（裁判官）からは、「実現不可能な計画」「絵空事」とも指摘されて、検察側が主張する別の被告人らの行動や状況証拠をつみかさねて、被告人らの弁解を撥ね退けるということを行います。

　今回はの冒頭陳述では、既に明るみに出ている「過去９年間税務署には赤字で出資者には黒字で示していた」ことや、新しい出資金を牛ではなく、過去の出資者への元本返済や配当に充てたという「自転車操業」の事にも触れられていないので、結局弁護人らの主張している「牛を増やす努力」「契約と牛とのひもつけを正常化に戻す努力」がそのまま捜査段階から捜査機関に納得させられたため当初捜査機関がもく論でいた「詐欺罪」への立件を断念したものとみています。

　今回の起訴となっている事件においては、迅速にすすめられ判決に至ってしまうし、ほぼ争いの無い事件なので、公判中に新規の証拠がでてきて、「詐欺罪」に訴因変更することは考えられません。

　今後の追起訴は確率は低いですが、直前に募集した「オーナーだけに特別という、平成２３年７月募集分の４８万円出資で６カ月後に５２万円になって戻ってくる」という募集案件が「詐欺罪」に問える可能性はあるのかもしれません。ただ前述のように、平成２７年間頃への２３万頭計画や不慮の風評被害をうち消すだけの状況証拠（過去９年間税務署へ赤字届だったこと、や自転車操業など）が提出できればということになります。

　ただそれには今回の何倍以上の「マンパワー」が警察には必要です。そこまで手が回るかというところも情けないですが事件解決の鍵となります。
　

　

　　
　
　
　 

ニュース元・資料

概要）安愚楽牧場 特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反被告事件第一回公判（平成25年9月24日）東京地方裁判所104号法廷

 

概要）安愚楽牧場　特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反被告事件第一回公判（平成25年9月24日）東京地方裁判所104号法廷

　昨日（平成25年9月24日（火））になりますが、和牛商法の元祖とも言われる「安愚楽牧場」の旧経営陣2名（三ヶ尻久美子　元代表取締役、大石勝也元取締役）に
関する被告事件（刑事裁判）が東京地方裁判所104号法廷で行われました。
　本当はニュースソースなどを背景にあれこれ考察したいところなのですが、これをやると何日もかかるので「イメージ的な考察」ということで「ザックリ」とやっていきた

いと思います。

　この公判の開廷時間は13時30分〜16時02分で約2時間半です。（途中休憩があってその時間が15時06分〜16時25分）

この裁判を傍聴するには、「傍聴券」が必要で、それを得るために、裁判所の所定の場所に13時迄に集合しなければなりません。早く来ても遅く来てもいいのですがとにかく

13時に来ることが重要です。

　東京地裁104号法廷は「最も大きい法廷」97席ありますが、そのうち「特別優先席」があって、傍聴席から向かって左側約18席が「報道関係」の優先席で（座席に白色のカバーが掛けられています）。その前方の左側前6席と右端の2席の8席が被害者（検察の起訴状に搭載されている）の優先席になります。
　安愚楽牧場の刑事事件の土俵に乗れなかった被害者（検察から見れば「被害者」としてみていません。）や関係の無い一般の人や「新聞社やテレビ会社」には及ばないマスコミなどは、一般傍聴席になります。この傍聴席の数が70席となっています。

　今回の一般傍聴70席に対して、応募してきた人数90名といわれています。つまり倍率は1.28倍ということになります。約10名のうち8名は傍聴ができるという確率です。

見事傍聴券を獲得した人はその「整理券」を104号法廷前迄持参して104号専用の待機場所入場時に整理券が渡されさらに法廷に入場の時にその整理券を係員に渡して入場する

という流れです。

　13時半少し前からは、テレビ会社（NHKが今回代表で撮影）による被告人入場前の法廷状況の撮影が行われ、そのあと、被告人が13時半に入場という運びとなりました。

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　【被告人入場13時30分】
　　　　被告人（三ヶ尻久美子元代表；「久美子」と呼称　と大石勝也；「大石」　元取締役；「大石」と呼称）が入場してきました。
（以降は「敬称略」で記載）

　　　6月から現在に至って保釈されていないので、両名とも腰縄と手錠を付けて入場してきました。入場の仕方も裁判所の図らいなのか「牛」をイメージした入場となっており、最初に久美子を挟むように前後に廷吏がつき、そのあと大石があとを追うように入場してきました。
　服装は久美子が上下灰色のスウェット、緑色のサンダル履きに靴下をはき、頭髪はチョコレートブラウンに髪をそめているものの根元が5センチほど白くなっていて、逮捕勾留期間の約3か月の時間を計っているかのようでした。両者とも身長は155cm位同じ背丈でした。

　大石の方はスーツ姿での入場で青のサンダル履きで靴下をはいている状況です。

　【裁判所での配置】

　　壇上は裁判長中央、右陪席（裁判官から見て右）が男性30代後半くらい、左陪席（裁判官から見て左）が女性で20代後半位
　　傍聴席から向かって左側が検察官（2名）、右側が弁護人前席3名、後席6名ですべて男性。弁護人側の前面に久美子が廷吏に抱えられて着席
　　また大石は傍聴席の柵を越えた横長のソファーに廷吏を挟んで着席。その際腰縄と手錠は外される。

　　傍聴席はほぼ満席ですが、1〜2席位空きがあり、50代〜60代の傍聴人が多いです。見たところ、男女半々の割合です。
　　　

　【人定質問13:33】
   
      被告人は証言台の方へ向かい右が久美子で左が大石になります。
　　
　　　　久美子（三ヶ尻久美子〜みかじりくみこ）　生年月日、昭和19年6月17日、本籍は東京都杉並区和泉
　　　　　住所は栃木県那須塩原市埼玉
　　　　　現在は無職。
　　　

　　　　大石　（大石勝也〜おおいしかつや）　　　生年月日　昭和14年6月10日　本籍神奈川県川崎市宮前区
　　　　　住所、埼玉県深谷市東方
　　　　　現在無職

　 【起訴状朗読13:35】
　　
　　（趣旨）
　　検察官（前方）　起訴状は7月9日分及び、7月29日付追起訴分

　　　１、平成23年4月〜平成23年7月分の募集契約分
　　　　　ウチダ××他69名に対して、案内を送ったが、それにはQ&AのQ「私の牛は本当にいますか」　A「はい、います」と記載されていた。
　　　　　

　　　　　　その後契約において契約証を送付した。そして契約数に対する牛の数が大幅に少なくなっていた。にもかかわらず、既に契約されている牛のミミ番号を（6桁の番

号の末尾に新しく000と追加し）000としたうえで、それに重複させて架空の番号（6桁の番号の末尾に002と追加し）をつけて、その番号を通知した。

　　　　　また、カネコ△△　他36名に対し、ても同様の行為をした。

　　　適用罪名、特定商品等の預託等取引契約にかんする法律違反、刑法第60条他

　　２、平成22年9月〜平成23年1月分の募集契約
　　　　スズキ□□他86名　（に対してもど同様に行う）

　　【罪状認否　13：42】
　　　※裁判長から黙秘権等の説明
　　　
　　　裁判長「7月9日及び7月29日の公訴事実に間違いはありませんか」

　　　　久美子；7月9日分→間違いありません。
　　　　　　　　7月29日分→間違いありません。

　　　　大石　；7月9日分→間違いありません。
　　　　　　　　7月29日分→間違いありません。

　　　　弁護人（久美子側）→被告人と同様
　　　　弁護人（大石側）　→被告人と同様だが、起訴状の釈明がある。

　　　　※2名とも証言台から定位置に戻る

　　　【証拠調べ　13：44】

      検察官（前方）；被告人三ヶ尻久美子の経歴；東京都出身で高校卒業後、不動産会社等に就職する、平成2年に当時被告人（三ヶ尻久美子）の夫が他界したため、そのあ

とを継ぐ形となる。

　　　　　　　　　　；被告人大石勝也の経歴；和歌山県出身で東京の大学を出て、就職したのち安愚楽牧場に就業、その後安愚楽牧場から離れるも、再び就業。就業形態は

、有限会社AICからの派遣など様々な形をとっていたが、安愚楽牧場から「顧問料」という形で報酬をもらっていた。

　安愚楽牧場は、平成23年8月9日に民事再生法の適用申請をしたが、その時の牧場は直営が40か所、契約形態が350あった。その時の牛の数が１６万６０００頭ということで、

、出資者が７３０００人であった。
　安愚楽牧場の和牛オーナーの資料請求は電話・はがき・ファックスで請求し、「まきば営業部」というところがメール便で顧客に送付していた。
　その資料の内容に「Q　私の牛は本当にいるのですか」
　　　　　　　　　「A　います」
　　　　ということが前提で（和牛オーナー制度の）契約をしていたが、平成１７年「ふるさと牧場」の不正等が発覚した。その時大石は、「安愚楽牧場」も同じような事を

やっているので「ヤバイ」と思った。
　　　大石は、本来（和牛オーナーの牛を特定する耳番号が）６桁であったものを下３けたで増やして次のようにした。
　　　　　　　　　　　AAAAAA（改訂前の６桁のみの番号）→　AAAAAA000(契約者と実際の牛が結びついている番号）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　AAAAAA002（架空の牛の番号）

　　　　　というようにした。この件は久美子に提案して了承を得た。

　　【三ヶ尻久美子弁護人冒頭陳述13:58】
         被告人三ヶ尻久美子弁護人；被告人は平成3年の自由化、平成6年の小林市の第3セクターコスモス、そして平成10年にはホテルフローラルの事業を始め様々な取り組

みをしました。しかし、平成8年頃和牛預託制度を悪用した商法、平成13年BSE感染、平成19年ふるさと牧場事件、平成20年の月刊現代の掲載記事（安愚楽牧場は公表の数の牛

がいないのではないかということ）、平成22年の宮崎口蹄疫、平成23年の東日本大震災による福島第一原発での被害と、度々の「風評被害」に（安愚楽牧場）が見舞われ、そ

れに伴い（和牛オーナーの）解約する人が出てきました。そのため事業計画が崩れてしまった。平成19年に「一時的に」であるが、契約者と実際の牛の数が結びつかなかった

ため、架空の番号である耳番号の下3けた「002」を付与するという苦渋の選択をした。
　また、東日本大震災の風評被害がなければ平成27年には23万頭にする計画まで実現できたはずだ。平成23年4月東日本大震災の風評被害の影響で牛（食肉）は1キログラム

1500円から200円に大暴落した。最後まで継続するつもりでいたが、民事再生を選択した。

　オーナーに対しての「002」は一時的な処置であり、騙すつもりはなかった。

　【大石勝也弁護人冒頭陳述14:05】

   被告人は、勤務していた住友関連から経理等の役務で安愚楽牧場に就業した。平成6年8月頃から取締役として、就任するも、平成15年に辞任した。再び平成23年に執行役員

に就任。
　　主な業務は業務の管理等で大石が雑誌の掲載等もチェックしていた。募集広告は雑誌等の掲載なので顧客に考える時間を与えた。
　　個人の破産では自動車・マンションを競売した
　現在は年金のみの生活をしておりその他の収入は無し。平成24年ソケイヘルニアを患いうつ病で入院。
　本件において深く反省して三ヶ尻さんと力をあわせてお詫びをしたい。

　【検察側証拠説明14：14】
     甲第1号証〜甲第34号証；検察が集めた資料・証言等
　　　甲第35号証〜甲第438号；被害者の供述；主に刑事（警察官）からあなたの出資した耳番号「002」は架空の牛だったという事を知らされ、騙されたという気持ちでいっ

ぱい、厳罰を望む旨。

　　【休憩　15:06-15:25】

     【検察側証拠説明15:25】
　　　乙１９号証〜31号証；三ヶ尻久美子被告人からの検察官等への供述。
　　　乙２１号証〜3７号証；大石被告人からの検察官等への供述。

     【次回予告16:01】
     次回公判は10月21日　13時15分〜17時迄、本日と同じ104号法廷
　　　弁護人からの情状証人の予定。

　　　【終了16:02】

（注）本記録を信用しての損失を被っても責任等は一切負いかねます。聞き取り等不明な部分等もあり誤字脱字及び内容等が誤っている可能性もございます。重要な情報は各自ご確認をお願いします。

安愚楽牧場特定商品預託法違反被告事件、2013年9月24日に初公判 東京地裁104号法廷

本日（9月24日）は安愚楽牧場での旧経営陣に対する初公判があります。
結局のところ、今までの逮捕・再逮捕・起訴などの状況を見てみると、被告人らは恐らく罪を認めて、早期結審をするものと見ています。この裁判が終わってしまえば、この件においては「詐欺罪」に問われることは著しく困難と見られるし被告人側もそういったスタンスで取り組んでいるものと思います。また検察側も処分保留となっている増淵進元取締役を検察側の証拠に取り入れるなどして、この問題を丸く収めるようとしていることが推察されます。それでも、なんとか少しでもここから情報を得て今後の被害回復につながればと思います。
　

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