2013年09月09日

安愚楽牧場事件 元社長らの詐欺容疑での立件見送りへ〜仮に「詐欺罪」で問う事ができたとしても、被害回復は一応別の話。

安愚楽牧場事件 元社長らの詐欺容疑での立件見送りへ〜仮に「詐欺罪」で問う事ができたとしても、被害回復は一応別の話。

 安愚楽牧場事件において、やっと刑事事件の土俵にたどり着いたということだったのですが、その罪は当初目論んでいた「詐欺罪」ではなく「特定商品預託法違反」ということで、その内容は、実際の牛の数を偽って説明したということでした。

 しかし、過去の類似した事件をみても、安愚楽牧場のような事業実態のあった企業の経営陣に「詐欺罪」を適用したことは異例でも珍しくもなく当たり前のものも多いです。

 なぜ、検察や警察は詐欺罪での適用を断念したのかはわかりませんが、「有罪判決を得るのに充分な証拠がない」ということが第一の要因なのかと思われます。

 被害者にとって、詐欺罪の適用とならなかったからといって、その被告人らは「破産」していることもあり、直ちに「もらいが少なくなる」という結論にはなりませんが、その後においての民事訴訟などにおいて、この出資に責任を負うべきものの証拠をつかむのが難しくなるということになるのかと推察されます。

 民事訴訟(賠償請求訴訟)に必要な証拠は主に先に進行している「刑事事件」から得られることが非常に多く、捜査機関が集める証拠と民事訴訟においての代理人弁護士が集められる証拠には格段の差があります。したがって、民事訴訟の場では先に進行している刑事事件で提出された証拠を援用するケースがとても多いです。

 今回の被告人らは、個人的にも「破産」となっています。恐らく、特段の管財業務に不都合な点がなければ最期報告の時においては、「免責」という結果になるのかと思います。
 この免責を得てしまえば、あとは刑事訴訟において被告人に不利益に傾いても最大刑務所に3年(最高刑の1.5倍)入れば、その後は過去の債務に囚われない身となり、全く新しい人生を送ることとなります。

 今回の公判の場合恐らく、3年の懲役を科せられるのかはわかりません。それに、起訴から初公判までの期間が2か月と「公判前整理手続き」をやる前提としての期間は非常に短いかと思います。
 つまり、三ヶ尻久美子被告人らは、起訴された内容については認めており争いがないということが推察されるので、早期に結審し判決となるのではないかということです。
 被告人らは現在はどのような生活をしているのかわかりませんが、この経緯から、保釈されている可能性も考えられます。
 詐欺罪で納得のいかない告訴人(被害者)は、検察審査会に審査の請求をすべきでしょう。検察は勝訴が確実でなければ起訴はしません。だめでもともとでもやってみることは大切です。
 




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2013年09月07日

安愚楽牧場元社長ら24日初公判 東京地裁〜結局「詐欺罪」ではなく、「特定商品預託法違反」を問われるだけであとは闇に葬られるということなのか。

 安愚楽牧場の旧経営陣が逮捕されてから約2か月強が経ちました。そしてその最初の最大勾留期限である7月半ばには逮捕された3名のうち2名が起訴となり、1名が処分保留で釈放となりました。
 それからの現在迄の期間は約2か月弱になります。

 そして初公判の日迄含めると最初の逮捕案件で起訴した日から「2か月」ということになります。かつての「刑事訴訟法」の運用では、起訴されてから大体1か月後には「初公判」という運びでした。ところが、平成19年頃刑事訴訟法の改正がありました。それは、刑事裁判を迅速化するための目的が含んでいました。それは、「公判前整理手続き」というもので、裁判所の主導のもとで検察・弁護人の3者で争点を明確にし、初公判の期日から証人尋問の日程などその後の「論告求刑」(検察側がこれまでの公判の主張をまとめて結論し、求刑迄行うもの)の手前まで事前に決めてしまおうというものです。

 軽微(懲役3年以下の罪など)な事件や被告人が罪を認めて争いが無いような事件(公判でもこのケースが非常に多いです)は、だいたい起訴されてから1か月や2か月に「初公判」という運びになるのですが、重大な事件や多額の被害事件・被告人が全面的に争うなんていう事件では、公判の回数も予め増えることになるので、それに比して「公判前整理手続き」の期間が必然的に長くなるのが普通です。
 例えば、堀江貴文氏が被告人であった「ライブドア事件」は証券取引法違反(現在の金融商品取引法)で起訴から初公判迄約9カ月の期間がありました。
 これは全面的に争う姿勢があったので、起訴から初公判までこれだけの開きがありました。

 一方安愚楽牧場に関しては前述の通り「約2か月」という期間です。実際に被告人らは公判で罪を全面的に認めるのかそれとも一部でも争いをするのかわかりませんが、このような起訴から初公判までの期日が「2か月」という短い期間であれば、「全面的に認める」ということも充分に考えられます。

 今回起訴されている罪である「特定商品預託法違反(不実の告知)」は最高で懲役2年(重くしても懲役3年)です。「認めている」ということにもなれば、懲役2年の実刑かそれ以下もしくは執行猶予付きということも最悪の場合考えられます。

 ところで、憲法第39条をはじめとする刑事訴訟法などにおいては「一時不再理」ということがうたわれています。「一時不再理」(いちじふさいり)とは、確定した判決やその事実について、もう一度審理をされることは許されないという事です。

 今回の場合、特定商品預託法違反ということで、起訴をされていますが、本来起訴されるべき罪状は「詐欺罪」だったのかとおもいます。それが「証拠不十分」ということで、それより軽い罪の本件にとどまっているものとかんがえられます。今回の刑事事件において、被告人らが争う姿勢を見せなかった場合は、年内にも判決が言い渡され「確定」なるものとかんがえられます。
 そうなった場合、その件において別途検察が「詐欺罪」で起訴することは考えずらいということです。

 本来警察や検察では、「詐欺罪」として起訴したかったのかもしれません。そのため以前から「特定商品預託法違反」で起訴することが充分であっても「一時不再理」などの都合上、早期にこの罪で起訴はしなかったのかもしれません。

 実際にはどのような結果になるかはわかりませんが、「詐欺罪」の適用は非常に困難になることが予想されます。










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2013年07月29日

安愚楽牧場元社長ら3人を告訴 関東近県の1都10県出資者28人、詐欺容疑で〜破産管財人の報酬や逃げ切りオーナーに対する返戻は難しい。

 先週、群馬・栃木での出資者が旧経営陣でかつ破産手続き中の3名を「詐欺罪」で告訴したということですが、
今度は1都10県(関東甲信越)の出資者が「告訴」したということです。
 群馬・栃木の告訴においては、その県で構成されている地元の被害者弁護団を通じて告訴したようですが、ここで告訴したのは「全国・・・」の被害者弁護団の委任者が弁護団を通じて告訴した模様です。これも同じ「詐欺罪」で告訴ということらしいです。

 最近の安愚楽牧場の「告訴」の記事に関しては「受理された」という文字が強調されています。現在の「刑事訴訟法」をちゃんと運用するのなら、告訴の申出に対しては、文書は勿論、口頭であっても「受理」するのが当たり前のことなのですが、それをまともにやってしまうと、警察事態の身動きができなくなってしまいます。

 したがって実務上では、当の警察から、「文書でやってくれ」とか「できれば弁護士を通してくれると・・・」なんて言われる事も多々あるようです。これは警察だけではなく、裁判の世界でも同じで、特に「民事訴訟」などにおいては、「本人訴訟」といわれていても、弁護士を代理人として付けない「本人」だけの訴訟の場合、色々と書式の不備なども多々あるため、民事訴訟においても「弁護士」を代理人に付すことを必須にしようという案も出てきている次第です。


 話は戻り、今回の告訴も「受理」されたということなのですが、この理由は、もうすでに捜査として着手しているという意味もあるからです。(詐欺罪として逮捕する方針だからということではありません)

 ところで、昨日の7月28日東京の某所で「あぐら被害者の会」という「被害者団(被害者が主体となっている被害者の会)」の集会(会合)が行われたということです。

 そこでやや話題になっていることがあり、ひとつは、安愚楽牧場の破産管財人(渡邉顕弁護士)の「報酬が8億円と高額だから返戻させた方がいい」ということ、もうひとつは「逃げ切りオーナー(被害がなく元本及び利子が契約通り戻ってきた人)の元本及び利子は、そのあとから応募したオーナーの分の出資金でまかなっているいわゆる『不正利得』なので、その分を返戻させたい」
 の2点になります。

 どうしても、こういった事件においては、破産管財人の報酬などに「物言い」をつけられる方がいらっしゃり、世間の考え方からすれば、その意見はいつのところでも出てきます。結論からいうと、両方とも「非常に厳しい」です。

 破産管財人の破産財団からの支出行為は勿論、その報酬も、債権者数や規模、やそれにかかる時間など他の案件などと比較して、客観的に裁判所が判断して決定をくだしたものなので、算定の仕方や世間相場と大きく間違っていない限り、返戻をするのは難しいかと思います。

 また、「逃げ切りオーナー」の件に関しては、仮にその後の出資者のお金を元本の返還や配当に回していたとしても、逃げ切りオーナーに関しては、その事情(自転車操業であること)を知っている(つまり「悪意」があった)ということでない限り、その逃げ切りオーナーに対する返戻を求めるのは難しいかと思います。
 この安愚楽牧場のシステムが上記の通り「自転車操業」であり自分の出資したものが逃げ切りオーナーの元本や配当につかわれたという明確な証拠があった場合であっても、現在の和牛オーナーの「契約」方法が最悪であっても「詐欺」が成り立つ程度までであり、さらに逃げ切りオーナーはほとんどが「善意」(自転車操業であることを知らない)であるから、返戻は難しいということになります。

 これがもし可能となるのは、契約の際に暴力的な行為をされて、意思を制圧されるという「強迫(きょうはく)〜意思の制圧ができない位の押し付け」があったときに限られるということになります。

 恐らく安愚楽牧場の和牛オーナーの契約は「詐欺(自由意思)」であるかと思いますので、民法の「契約」の公式からは無理ということになります。


  つまり

    契約(強迫)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(悪意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
    契約(強迫)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(善意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
    契約(詐欺)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(悪意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
   ●契約(詐欺)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(善意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できない。

  上記の4つのパターンから最後の●がほとんどかと思いますので、「返戻できない」ということになります。




 



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