先週、群馬・栃木での出資者が旧経営陣でかつ破産手続き中の3名を「詐欺罪」で告訴したということですが、
今度は1都10県(関東甲信越)の出資者が「告訴」したということです。
群馬・栃木の告訴においては、その県で構成されている地元の被害者弁護団を通じて告訴したようですが、ここで告訴したのは「全国・・・」の被害者弁護団の委任者が弁護団を通じて告訴した模様です。これも同じ「詐欺罪」で告訴ということらしいです。
最近の安愚楽牧場の「告訴」の記事に関しては「受理された」という文字が強調されています。現在の「刑事訴訟法」をちゃんと運用するのなら、告訴の申出に対しては、文書は勿論、口頭であっても「受理」するのが当たり前のことなのですが、それをまともにやってしまうと、警察事態の身動きができなくなってしまいます。
したがって実務上では、当の警察から、「文書でやってくれ」とか「できれば弁護士を通してくれると・・・」なんて言われる事も多々あるようです。これは警察だけではなく、裁判の世界でも同じで、特に「民事訴訟」などにおいては、「本人訴訟」といわれていても、弁護士を代理人として付けない「本人」だけの訴訟の場合、色々と書式の不備なども多々あるため、民事訴訟においても「弁護士」を代理人に付すことを必須にしようという案も出てきている次第です。
話は戻り、今回の告訴も「受理」されたということなのですが、この理由は、もうすでに捜査として着手しているという意味もあるからです。(詐欺罪として逮捕する方針だからということではありません)
ところで、昨日の7月28日東京の某所で「あぐら被害者の会」という「被害者団(被害者が主体となっている被害者の会)」の集会(会合)が行われたということです。
そこでやや話題になっていることがあり、ひとつは、安愚楽牧場の破産管財人(渡邉顕弁護士)の「報酬が8億円と高額だから返戻させた方がいい」ということ、もうひとつは「逃げ切りオーナー(被害がなく元本及び利子が契約通り戻ってきた人)の元本及び利子は、そのあとから応募したオーナーの分の出資金でまかなっているいわゆる『不正利得』なので、その分を返戻させたい」
の2点になります。
どうしても、こういった事件においては、破産管財人の報酬などに「物言い」をつけられる方がいらっしゃり、世間の考え方からすれば、その意見はいつのところでも出てきます。結論からいうと、両方とも「非常に厳しい」です。
破産管財人の破産財団からの支出行為は勿論、その報酬も、債権者数や規模、やそれにかかる時間など他の案件などと比較して、客観的に裁判所が判断して決定をくだしたものなので、算定の仕方や世間相場と大きく間違っていない限り、返戻をするのは難しいかと思います。
また、「逃げ切りオーナー」の件に関しては、仮にその後の出資者のお金を元本の返還や配当に回していたとしても、逃げ切りオーナーに関しては、その事情(自転車操業であること)を知っている(つまり「悪意」があった)ということでない限り、その逃げ切りオーナーに対する返戻を求めるのは難しいかと思います。
この安愚楽牧場のシステムが上記の通り「自転車操業」であり自分の出資したものが逃げ切りオーナーの元本や配当につかわれたという明確な証拠があった場合であっても、現在の和牛オーナーの「契約」方法が最悪であっても「詐欺」が成り立つ程度までであり、さらに逃げ切りオーナーはほとんどが「善意」(自転車操業であることを知らない)であるから、返戻は難しいということになります。
これがもし可能となるのは、契約の際に暴力的な行為をされて、意思を制圧されるという「強迫(きょうはく)〜意思の制圧ができない位の押し付け」があったときに限られるということになります。
恐らく安愚楽牧場の和牛オーナーの契約は「詐欺(自由意思)」であるかと思いますので、民法の「契約」の公式からは無理ということになります。
つまり
契約(強迫)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(悪意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
契約(強迫)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(善意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
契約(詐欺)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(悪意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できる。
●契約(詐欺)⇒旧経営人(出資金を元本配当に使用)⇒逃げ切りオーナー(善意)⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 返戻できない。
上記の4つのパターンから最後の●がほとんどかと思いますので、「返戻できない」ということになります。
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