安愚楽牧場に関する事件において、今回の逮捕劇が起こる前にも何十人、何百人の人が警察への相談や「被害届」はもちろん、「詐欺罪」での処罰つまり「告訴」を求めたことと思いますし、報道でも「出資者10名が愛知県警に告訴」「群馬県内の出資者が警察に告訴」などということが時々報じられていたし、また「弁護団が告訴」などという文言が目に入ったこともありました。
何回か本ブログでも「言葉の違い」を述べてきましたが、
「告訴」(こくそ)は被害者が加害者に対して処罰を求めるために捜査機関に申告すること。
「告発」(こくはつ)はその被害とは関係ののない第3者が加害者に対して処罰を求めるために捜査機関に申告をすること。
が定義となっています。
そのようなことから考えると「告訴」と「告発」の使い分けは重要な事に当然なります。
したがって、今まで報道にあった件は、
出資者(被害者)が処罰(「詐欺罪」)を求めて「愛知県警」に告訴などということだったかと思いますので、
恐らく、各地の弁護団が委任者である出資者(被害者)に状況等を説明したり、もしくは出資者自身が「たまらんから警察に告訴したいです」という事を弁護団に要望したということなのだと思います。
そして、弁護団が告訴状を書いて、警察に申告するのですから、あくまでも弁護士が登場するのは出資者の「代理」にすぎません。弁護団の弁護士が(出資者の名前でなく自分の名前で)処罰を求めていることはなかったかのように思います。
今回の場合は「告発」となっていますので、弁護団長である紀藤弁護士が自分の意思で警察に処罰を求めたということになります。
被害者においては、「海江田氏を訴える位なのに、なんで告発してくれないんだろう」とか「なんで今頃?『いつやるか
今でしょ』のノリじゃないの?」などと言っている人もいるのかとおもいますが、
「弁護士の告発」は被害者の告訴とは違い、かなりの「裏付け」がされていなければ、難しいとされています。後で「これ違うよな、と警察などから言われた時に」出資者で法律の素人であれば、処罰に値すると思い込んで行うのであるから、それなりの違法性はなく問題にはなりません。しかし、弁護士の場合は、プロの法律家でありますから、告発時に「これは絶対に有罪だ」という心象を形成していなくてはなりません。
そのため、「これは絶対に有罪だ」となったのが、逮捕劇が起こったときなので、この度の「告発」になったのだと思います。
そういう意味で考えればMRIインターナショナルのMRI被害弁護団が「告発」(事件の被害者ではない弁護士自らの刑事処罰の申告)をしているということは、かなりの勇気のいることになることがわかるかと思います。
ニュース元・資料