投資運用会社MRIインターナショナル(米国ネバダ州)への出資者が資金を返還して欲しいということで、東京地方裁判所に提訴し、審理に入ったところ、ある事がネックとなり、実態審理の結果よりも前に、出資者(原告)の請求を棄却するという判決となりました。
それは「管轄裁判所」が違うということでした。要するに、「日本の裁判所では審理できないので、やるのであれば、被告(MRIインターナショナル)のあるアメリカでやってくれ」ということでした。
MRIインターナショナルは米国に本社があり日本に支店(のようなもの)が東京都千代田区永田町にあります。しかし、日本にある支店(拠点)が単なる拠点に過ぎないというようなものとなっているということです。
さらに、契約書における「紛争が起こったときの解決場所」つまり「合意管轄裁判所」は本社所在地がある「米国ネバダ州」とするということで双方の合意が取られています。
以前にも当の裁判の結果の考察でお伝えしましたが、「契約書」で双方合意したからと言って必ずしもその通りにいくとは限りません。その管轄裁判所が正しいかどうかは最終的には裁判所が判断します。
今回の場合は契約のやり取りやその経緯をみれば、米国の本社が管轄権となると東京地裁が判断しました。なにか別の条件などがあれば、東京地裁で審理を行うことも可能ですが、原状をみるに米国のネバダ州で行うのが妥当だということが、その他の人の意見も多方にあります。
しかし、MRIインターナショナルは日本の金融商品取引法に基づく要請に合意しており、第二種金融商品取引業者としての登録も済ませています。
そのため日本でも合法的に営業活動が出来るということになります。
「第二種金融商品取引業者」もあれば、当然「第一種金融商品取引業者」というものもあります。
その違いは何かといえば、第一種は流動性の高い金融商品を扱うもの(流動性の高い金融商品は法律で「第一項」の中に規定されています)であれば「第一種金融商品取引業者」でなければなりません。一方「第二種金融商品取引業者」は流動性の低い金融商品で同じく「第二項」で定義された金融商品になります。
もう少し違う見方をすれば、第一種は街角にある証券会社(みずほ、野村など)の上場株式や投資信託・国債・公社債などを扱うような業者にあたり、第二種は主に私募債などを扱う業者にあたるということになるのかと思います。
そこで今回の「第二種金融商品取引業者」の問題点や抜け穴のようなことが浮上したというわけです。
上記の第一種と第二種の具体的な区分けの意味合いで気づくことは、第一種というのは「旧 証券取引法」にあたる業者のことで、第二種は証券取引法の枠外つまり、「野ざらし」というような状態でした。
ですから、旧証券取引法上の時代にMRIや「匿名組合」などのような金融商品を扱って販売するのは、普通の雑貨のお店と同じく自由に許可を得なくても誰でもできるような時代のものとなっていました。
そのような経緯もあり、第二種金融商品取引業者に関する規定は、「なにか不都合があったら」新たに規制を儲けるという「後手後手」の行政監督が現状です。
話はMRIそのものに戻ると、MRIの問題点は一つは拠点の問題、日本の業者ともなっているのに、日本での実態上の営業拠点がない、もう一つは、投資の勘定をはっきりと分けていない、分けていても手を伸ばして拝借したりすることが容易である。この2点になります。
第一種の業者の場合はそのような事はなく、日本にも拠点(現地法人)はあり、投資の勘定も単に書類だけではなく、投資資金は「信託銀行」のようなところにガッシリと保管したりなど、それなりの規模の会社のため行なっています。それを二種にもしっかりと適用させようというのが今回の狙いということです。
それに最も懲りたのは、恐らく証券取引委員会が米国まで手間暇かけて調査しなければならなくなった事を考えると、行政の資源や税金の使用の面からももっとも早く手をつけたかった一件などではなかったかと思います。
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