ダイエーがいよいよ、本格的にイオンの傘下となりました。「本格的な傘下」とはつまり「イオン」の完全子会社化ということになります。
かつての「ダイエー」は小売業の王者とも言われ、スーパーマーケット業界の国内「最大手」でありました。1970年代だったでしょうか。それまでの小売業の王者は「百貨店」であるのが当然の時代であって、その頂点にあったのが「三越」でした。
その後も「ダイエー」は常に上を目指していて、コンビニエンスストア「ローソン」の運営もはじめて、さらにスーパーマーケットやコンビニの決済に独自のクレジット会社をつくって運営した先駆けも「ダイエー」でした。
プライベートブランド「saving(セービング)」を先駆けたのも「ダイエー」でした。
やはりスーパーマーケットの「王者」の貫禄を感じました。
でも「ダイエー」のような常に上を行く「急成長」企業は、どこかなにかの拍子でつまづくと、それが仇になって「急転落」をしていくものなのです。それが「企業」の運命というか摂理なのです。
今でもたまに「ダイエー」を利用させていただいていますが、新鮮味もなく地味なので「みじめ」さを感じます。「ダイエー」じゃなきゃダメなんですっていうのが今のダイエーには無いのです。
今の現状は、ダイエーの筆頭株主が「丸紅29%」で「イオン20%」の保有なので、イオンがてこ入れをしている・支援をしているといっても筆頭株主は丸紅なのだから、当然丸紅の顔色を伺いながらの支援しかなりません。丸紅の方も株をもっていて、食品資財の仕入れ元となっているのですが、肝心の店舗運営まで手が回せるような企業ではないので、丸紅もイオンも中途半端な利潤追求にしかならないのは、目に見えています。
ですから、どちらかが主導権をゆずるような形を取らなければ、日々「経費がかかる」ダイエーは丸紅やイオンにとって「お荷物化」となってしまいます。
したがって、丸紅とイオンの相談の結果、イオンが丸紅の株式を公開買い付け(TOB)することで、イオンが今まで以上に自由うにダイエーをいじるくることができるようになるということになります。
今後イオンとダイエーはどのような展開をしていくかというと、今のイオンの発表ではダイエーの上場は維持し、従業員の雇用は維持していき、不採算店舗の廃止とダイエー独自のブランド商品をイオンのブランドに替えるということなのですが、いずれは、「ダイエー」という名前の店舗は消えていき、完全「イオン」化になるのも時間の問題なのかと思います。でもそのようにしないとイオンは今後より上を狙う事は難しくなります。
「イオン」はグループの名称でもありスーパーマーケット「イオン」の名称でもあるのですが、今現状で営業している「イオン」のイメージは「大規模なショッピングモール」というイメージがあります。それは大都市の駅前に存在している「百貨店」の存在が郊外に移ったようなイメージというか機能しているものなので、それは「百貨店」を上回る規模の名称「SC:ショッピングモール」という事になるのかと思います。
けれども、あちこちのイオンをのぞいてみると、埼玉の越谷にあるような「イオン越谷レイクタウン」のようなものもあれば、かつての「ジャスコ」と言われていた中堅スーパーの時代のスーパーも「イオン」という名前をなのっているので、どれがショッピングセンターで、どれが普通のスーパーなのか「イオン」というだけで名称がつきにくいのも事実です。
ですからすべてのイオンが「ショッピングモール」のような店舗であるわけではないのですから、「ダイエー」を中小のスーパーとして存続させるのも一つの手ではないかと思います。それで消費者は「イオン」をショッピングモールと頭の中に位置づけて、「ダイエー」を中小スーパーと位置付けてより利用しやすくなると思われます。
またイオンが現在展開しているのは、至る所に大規模なスーパーマーケットが多いので、時と場合と目的つまり「TPO(ティーピーオー)」があまり使い分けられていないような気もします。
一方のセブンアンドアイグループは、やたらに「新しい展開」をしておらず、既存の店舗・企業をそのまま活かしているような部分も多々あります。それに金融(銀行やクレジットカードやプリペイドカードなどの)への参入もイオンやダイエーに比べて、非常に遅いのですか、やたらに「急成長」を目論んでいることはなく、経営方針もかつてのダイエーやイオンに比べても非常に手堅いです。スーパーを取り巻く時間遍歴をみてもイオンがブランドを「イオン」に統一していこうという「ごり押し」が強くみられているのに対し、セブンアンドアイは傘下の百貨店の西武やそごうの素材をそのまま生かし、かつコンビニのセブンイレブンもそのブランドでそのままの継続をしているので、イオンは経営には急成長のリスクが大きく伴なっているような気がします。
さらにCMなどのプロモーションでは、イオンが女優の武井咲をメインに起用しているのに対し、セブンアンドアイはアイドルグループのAKB48とエ―べクスの「スーパーガ―ルズ」の併用をしています。
コスト的にはイオンの方が人的な部分も含めて経費を使っていないような部分もあるのですが、武井咲がなにか不祥事(不倫疑惑や喫煙疑惑など)でも起こして週刊新潮や文春などにかきたてられてしまうと当然イオンのイメージもくずれてしまいその火の子までを消すまでも労力を必要としてしまうリスクも存在します。
一方セブンアンドアイの方は、AKB48に不祥事があれば、スーパーガールズをメインにして、もうひとつサブとしてアイドルグループ(例えばモモクロやモーニング娘。など)を起用すればいいのですし、そこまでいかなくても、不祥事メンバーだけつまみ出すだけでも火の粉はおさまりますし、
そういう意味ではセブンアンドアイは、「ポートフォリオ」(リスク分散)が上手いのではないかと思います。
イオンが大胆に急成長していく部分は尊敬の念を持つのですが、その一方で「だいじょうぶなのかな?」っていう心配もあるのが今のイオンの現状です。
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