「いつかはゆかし」とは、アブラハム・プライベートバンク社(東京都港区)が扱う積立金融サービスです。
投資する金融商品はこの会社が扱っているのではなく、アブラハム・プライベートバンク社が海外に出回っている金融商品を探して「これはいける!年10%の利回り!!」というものを会員となった顧客に提示して、顧客はその商品が気に入れば投資するというものです。
つまりアブラハム・プライベートバンク社は商品を作ったり販売するのではなく、自身とは利害関係のない高利回りといえる金融商品を勧めて運用してもらうという「投資助言業」という業務を行なっています。
一般に言う「証券会社」は第一種金融商品取引業・第二種金融商品取引業、そして投資助言業という金融業の免許を持っています。第一種は上場株式・公社債などの流動性の高い金融商品、第二種は私募債などの流通性の低い金融商品の業務となります。
話は戻り、アブラハム・プライベート社(アブラハム社)の扱う「いつかはゆかし」という金融サービスは、毎月年10%の商品に積み立てて1億円を目指そうという代物です。
報酬は、アブラハム社が勧めた商品に投資した残高の約1%を年間報酬として差し出すというものです。
ここまで見れば、アブラハム社のサービスを利用することは当然リスクは伴うものの、投資のプロの目から見た判断で行うのですから、素人と言える投資家においてはとても頼もしく、利用を一考する価値は充分にあるかと思います。それでも天変地異やリーマンショックのような経済事変が起こればプロの目から見た投資でも下手すると紙くず同然になる恐れもあります。でもそれは、お互い納得してのことだから仮にそうなっても揉め事は発生するかもしれませんが、額面どうりの事をやるわけですから、それはそれで織り込み済みです。
しかし、蓋を開けてみれば、アブラハム社の行っている内容が違っていました。それは「無免許業務」です。先述においては商品を勧める(提示する)だけでの助言に限るものでしたが、実際は、提携している金融商品のみを勧めて(紹介して)さらに紹介先から、所謂「キックバック」という紹介手数料を受けていたということです。こうなると「助言」ではなく、金融商品取引業と同じ事になり現状の免許外の事をやっているということになります。
それ以上に困ることは、幅広い高利回りの金融商品を公平な目で見て提示助言するのではなく、「売ってくれ」と頼まれたものを紹介勧誘していたということです。
それも英国領マン島のハンサード社の金融商品をメインとしていたようです。これでは全く契約内容が違います。当然契約解除してもいいということになります。
過去の事象に照らし合わせれば「詐欺」という可能性も充分に考えられますが、現状の「詐欺」は財物をだまし取ろうという目的が明確にされなければ成立しないのが現状です。従って法律違反となるのは「金融商品取引法違反(無登録営業)」で司法よりお咎めを受けるのみとなります。
さらに今回の場合は早期発見や警告の意味もありますので、金融庁の行政処分(指定したものについて営業停止)にとどまっている状態です。
これがそのまま営業を続けていればどうなったかはわかりません。しかし、本来のスキームとは違い、自身の範疇にあるものを紹介するというものですから、一層年10%の利回りを維持できるかは眉唾ものです。証券取引委員会が見逃していたら大規模な消費者被害に発展する可能性は充分にあります。
そこまできてしまうと、アブラハム社に責任をとってもらおうとして訴訟で勝訴判決をもらうことは充分に可能かと思いますが、勝訴しても会社自体が経営破綻してしまえば出資した金額を戻させる(損害賠償をさせること)は非常に困難な状態となります。
こうなった時によく評論家のような人が出てきて、「ファイナンシャルリテラシーが低いからこうなる」とか「今時、年10%なんてありえないのです。」という事を上から目線で批評する場面をよく見受けられます。
また、そういう人にどうしたらいいかと相談しても返ってくる答えは、「投資は自己責任」「スケベ根性出すからいけないんだ」「欲かいちゃダメ」という答えにもならない「お叱り」を受けるだけで、結局なんの解決も無く途方にくれるという事もよくある話です。
でも、ここまでエスカレートする過程では、多くのマスコミ(新聞・経済雑誌・テレビCM・広告代理店)が関わるため、その生成された結果においては、消費者から見れば「とても信頼のある頼もしいもの」に見えてしまいます。ですから、よほど専門家や投資のプロと言えるような人でもなければ、引っかかってもおかしくはありません。
その過程でマスコミや行政機関は歯止めをかけられずある種「騙されて利用(加担)させられた」ということになりますが、最終的な損失を被るのは、その商品を利用した消費者であるわけですから、「マスコミ」や「行政機関」がよく考えないで利用させられるから、当然知識に乏しい消費者が騙されることになるのです。
その上、金融を学んできたようなファイナンシャルプランナーも同じ消費者として騙される人もいるわけですから、普通の消費者が引っかかるのは当然のことです。
さらにアブラハム社も毛頭詐取しようとは思っていなく、なんとかして顧客を集めようと過剰な方法でおこなってしまったわけだと思いますから、尚更、悪質性があるのかわからない部分に来てしまうのです。
勿論、「怪しい金融商品」に引っかからないためには、消費者が賢く勉強することが最も大切なのかもしれませんが、それ以上にマスコミや行政機関が利用(加担)させられないようにするのは当然のことです。
何か起こってから倫理綱領をつくろうとか、金融商品取引法を改正使用とかそういったことだから、金融被害が年々起こってしまうのです。
ニュース元・資料
posted by 管理人B at 06:27| 東京 ☀|
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